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ハルカナ  作者: ゆる


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第十四話 芹沢涼太

いつもご愛読ありがとうございます!

第十四話も投稿できちゃいましたー!

二○二五年 七月三日 十六時半


屋上

いつもこの時間はここに居る。

ここまで野球部やサッカー部の掛け声が聴こえる。

フェンス越しに野球部の練習を見ていても戻りたいとは思わない。

右肘を怪我してしまった俺にはあそこに居場所なんてない。

だが今は、あの事件に巻き込まれて忘れかけている。

なぁ、桜井…渡辺…。

お前らは今、何をしているんだ。


屋上のドアは一つしかない。

そのドアの開く音が聞こえた。

振り返るとそこには、桜井と渡辺が立っていた。

「…もうバレたのか。」

俺の小声は聞こえていないようだ。


「…や、やぁ涼太ー。」

は?ふざけるなよ。なんだよその面は。

一丁前に気使いやがって。

「…一応聞く。なんの用だ。」

目を合わせる気はない。目を合わせると本音で話せる気がしないからだ。

普段から絶妙な距離感を保ち、彼女達を見ていた。

何度も事件に立ち向かう彼女達を。

「…涼太。芹沢亜由美さんの事なんだけど。」

あぁ、そっちか。なんだ。

「…あぁ。不倫して子供を殺した人、確かに俺の叔母だけど。」

「…涼太。そんなこと聞いてるんじゃないの。」

「…何も言うな。叔母はここにいる。」

俺は、恥晒しの叔母の住所を桜井に渡した。

「最後に一つだけ。桜井、渡辺すまなかった。」

「…涼太。なんの謝罪なの?」

俺は桜井の言葉を無視して屋上を後にした。


ーーーーー


二○二五年 七月二日 二十三時

工事現場で渡辺の死体を見た。

そして、何故俺は渡辺の部屋にいる。

渡辺の布団、衣類。匂いだけで頭がどうにかなりそうだ。

渡辺が死んだっていうのに、なんで俺は涙を流して興奮してるんだ。

頼むから誰か時間を戻してくれ。

この時の俺はどうかしていた。

渡辺の声真似をしながら桜井に電話をかけた。

時間の問題だが、桜井は安心したようだった。

俺は渡辺を殺した奴を許さない。

絶対に探し出してやる。


二○二五年 七月六日 十八時

「…やっと見つけたよ。」

「…は?」

俺は今、長谷部優と下校している。

「…優、面貸せよ。」

「…まあいいけど。」

俺と優は無言で足を進めた。

バスに乗り、渡辺の殺された工事現場へと向かった。


「…なぁ優。渡辺は此処で死んだんだ。」

「…そう…なのか。」

「…なぁ優。どんな気持ちだ。」

「…なにがだよ。」

「人を殺した気持ちだよ。どんな気分なのかおしえてくれよ。人を殺して平然と過ごす秘訣でも教えてくれよ。」

「…お前、何言って。」

俺は、優を包丁で刺した。

優の悲鳴が響き渡る。

だが、この路地裏は人があまり通らないで有名だ。

「…なぁ優。痛いか?痛いだろ?あぁ?」

何度刺したか分からない。

優の悲鳴が無くなったのは何時だったかさえ覚えていない。

「渡辺、仇は……はぁ?」

幻覚だろうか。殺した優の死体はそこに転がっているのに、何故目の前に優が立っている。

誰かこの状況を説明してくれ。

「…あの。すいません。これ僕ですよね?何で殺したんですか?」

俺は声が出なかった。

言葉が見つからなかったのだ。

「…?あ、なるほど。」

もう一人の優は、息をしていない優の胸から包丁を抜いた。

そして、ポタポタと垂れる血を見てこちらを見返した。

「…あなた、今どんな気持ちですか?」


……は?

それさっき、俺が優に聞いた…


グサッグサッグサッグサッ

何度目で意識を失ったっけ。

もう痛覚も無いや。


俺がこの事件の真相に気が付いたのは五回目の時だった。

優には本体と偽物がいて、偽物が渡辺を殺したと知った。

何度も調べて、何度も死んで。

回数を重ねて、偽物の正体は影と知った。

そして今日、ようやく影を倒した。

「…なんだよ。お前、塩に弱いのかよ。」

なんでそんな単純なんだよ、中々見つからない上にそんな強くて。その弱点が塩って。

「ふざけんじゃねぇよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

何回ループしたと思ってんだよ。

何回俺も皆も死んだと思ってんだ。


この時、俺は十二回目のループで漸く優の影を倒した。


ーーーーー


その翌日、屋上へ来たのが桜井と渡辺だった。

桜井。お前の隣には渡辺がよく似合う。

なあ、桜井。今度はお前も守ってやってくれ。

ズキズキと頭痛に悩まされながらも、見ることの出来ない心に置き手紙を置いたのだった。


次回

第十五話 芹沢亜由美

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