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ハルカナ  作者: ゆる


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第十一話 赤い雨

いつもご愛読ありがとうございます!


私達三人はリビングに向かった。

しかし、そこにはお父さんやお母さんの姿はなかった。

「…あれ?お父さん?お母さん?」

「…美月。」

私は美希の表情で察した。

遺体も無ければ、なんの痕跡もない。

あるとすれば、食卓に並んでるカレー皿が三つ。そして、もう一人の美月が作ったという気色悪いカレーの入った鍋のみだ。

何故こんな思いをしなければいけないのか分からなくなってしまう。

色々考えすぎて、もはやどの感情の涙かも分からない。

この時私は、なんて愚かなのだろうと自分を責めた。

「…桜井さん、この食器や鍋は?」

「…影が作ったカレーらしいよ。」

よく見るとカレー皿には一つだけ手を付けていない物があった。

天川君はそれを見て何やら考え込んでいる様子だった。

「…なんで一つだけ。まあいずれにしても、食器や鍋は片付けておいた方が良いかも。桜井さんのお父さんやお母さんの所在を確認されるまでは時間の問題。直に警察も捜査に入ると思う。その際、万が一カレーに何か入っていたとしたら?鍋についてる指紋は影であっても桜井さんのものとなってしまう。」

そうか、私と影は同一人物。指紋も合致してしまう可能性が高いということか。

「…でも全部洗い流したらどうかな?」

「…いや、排水管に内容物が付着して調べられたら終わりだよ。例え内容物が無くても成分は残ってしまうからね。そのまま袋とかに入れて何処かに捨てた方が良い。当然、僕達の指紋もつけないようにね。」

私は天川君の言う通りに大きめのゴミ袋に鍋や食器類を乱雑に入れた。

その間美希や天川君は他の片付けをしてくれていた。


「…天川君。これからどうするつもり?」

「…正直、今選ぶべき道は一つしかないと思っている。美希さんはどう思う?」

「奇遇ね、私も一択よ。美月のドッペルゲンガーが消えたのは大きい。悩ましいけど、今後私や他の人のドッペルゲンガーまで現れたらと思うとキリが無い。だから、ここは一旦…。」


私達は粗方片付けを終え、家を出た。

「…美月話があるの。」

美希が険しい表情を浮かべ、こちらを見つめていた。

「美月のドッペルゲンガーを倒せたのは大きい。でも、このままじゃ美月の両親も死んだままなの。」

「…うん。わかってる。戻るんだよね?」

美希と天川君は頷いた。

そして、三人は互いに背を向けてナイフを持ちながら語った。

「三人で一緒に自害なんて聞いた事ないよ。」

「うん、僕もさ。」

「なんだろう、あまり怖くない。」

三人は最後に笑い合った。そして、頸動脈を深く切った。

三人の血飛沫は、赤い雨のようだった。



二○二五年 七月二日 午後十三時半

「…つき…美月!」

私は肩を揺らされ目を覚ます。

そこには美希がいた。

「…あれ?美希。」

「分かる?戻って来たんだよ?」

私は美希の言葉にハッとして周囲を警戒した。

ここは草むらの中、反対側には天川君が隠れているのが見えた。

「ここは…私のドッペルゲンガーが来た時の。」

「そう。美月のドッペルゲンガーが現れたらその場でとどめを刺す。天川君も了承済みだよ。」

私は頷いて返事をした。

しかし、五分…十分…と待ってももう一人の私は現れなかった。

「…そろそろ現れてもおかしくないはずなんだけど。」

「…そうだよね。」

次の瞬間だった、目の前に現れたのは逢沢桃だった。

「…え?桃?何で?」

「…多分私達を追って来たんじゃないかな。殺すために。」

すると、美希は草むらから立ち上がり、逢沢桃の所へと歩いて行った。

「…桃。何してるの?」

「あ、美希!!あれ?美月ちゃんは?」

桃は周囲をキョロキョロと探している。

「美月に何の用?」

桃はキョトンとしていた。

「え?なんのって…二人が居なくなったって富士見先生が言うから皆探しに来たんだよ?」

美希の警戒が薄れ、学校方面を見ると多くの生徒や先生達がそこにいた。

『桜井さーん!渡辺さーん!』

『美月ー!美希ー!』

色々な所から皆の声が響き渡る。

「な、なんだ…そういうことか。そういうことなら…」

「美希さんッ!ダメだッ!罠だ!!!」


ビチャッ!ザーッザーッ。


一瞬の出来事であった。

背を向けた美希から血飛沫が振る。

美希の背には大きな傷跡があった。

「…ふふ。かくれんぼは終わり。そこに一人…そしてそこに二人。ふふふ、みぃつけたぁ♥」

逢沢桃の表情は赤く染まり、血を舐め回して喜ぶ姿はまるで悪魔だった。

ふと学校の方を見ると、多くの生徒や先生の姿は薄く消えていった。

ドッペルゲンガーが私達に幻覚を見せたのだとすぐにわかった。

「天川君ッ!」

「桜井さんッ!動かないで!僕がッ!!!」

天川君が手に持っていたナイフで思い切り首を刺した。

意識を失う天川君が消えると目の前にノイズがかかった。


©¿♯✰✤✿♬ღ▪❀♩♩❀♦★¬♣­­--¬♣¨¯­­--□♡✬◁◇◆●◐◁△♢■△▼♡△▽▼♪#~#'@↓∨'>@’「/¿()」

バチバチッ!ガンガンガンガンッ!

ツーッツーッツーッツーッ


「…つき…美月!」

私は肩を揺らされ目を覚ます。

そこには美希がいた。

「…あれ?美希?」

「分かる?戻って来たんだよ?」

「ちょっと待って、今美希は…。」

「私は桃に殺されて死んだ。大丈夫、覚えてるよ。かぁ〜油断したぁ!」

奥の草むらには天川君が隠れている。

美希の死に戻りなのか、それとも天川君が自害した事でこのような現象が起きたのだろうか。

それに今の音、前に美希に電話した時にも聞こえたような…。

すると目の前に再び逢沢桃が現れた。

今回は誰も飛び出したりせず様子を伺っていた。

逢沢桃は周囲を警戒しながらスマホを取り出して、誰かに電話をかけた。

『…もしもし。すみません、見失いました。…いえ、すぐに探します。はい。』


あれ?この会話や電話のタイミングって。

「…私のドッペルゲンガーが出た時と同じ会話してない?」

「美月、せーので捕まえるよ!」

急な美希の「せーのっ!」にたどたどしくもタイミングを合わせた。

それを見ていた天川君も同時に飛び出した。

三人で逢沢桃に飛び掛かり、身柄を拘束した。

天川君と美希が身体を押さえていても、抵抗力がかなり強かった。

「暴れんなよ!この偽物!」

「うるせぇ!クソビッチ!離せよッー!!!」

私は逢沢桃のスマホを奪い、スマホを耳に当てた。

「…もしもし?」


ツーッツーッツーッ


「…ダメ。もう切れちゃってる。通話履歴には…え?」

「桜井さん?どうしたの?」

「電話の相手が…」

私は二人に通話履歴を見せた。

そこには【長谷部 優】と表示されていた。


次回 第十二話 またね

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