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ハルカナ  作者: ゆる


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第十話 ドッペルゲンガー

いつもご愛読ありがとうございます!

第十話 ドッペルゲンガー お待たせいたしました。

楽しんで頂けると嬉しいです!

【ドッペルゲンガー】

ドッペルゲンガーとは、自分にそっくりな分身、またはその幻覚を指す言葉です。神話や伝説では、ドッペルゲンガーを目撃すると死の兆候、超常現象として扱われることもある。


三人が見たもう一人の桜井美月。

まさにドッペルゲンガーなのではないだろうか。

ドッペルゲンガーは桜井美月に限らず、美希までも疑いがある。

ドッペルゲンガーはどのような条件で出現しているのだろうか。


それらは一度見たからといって再び会える訳ではない。

では、何故ドッペルゲンガーについての調査を先にしたのだろうか。という話になってくる。

優先的に解決へと導きたいという全会一致による結果であった。



七月二日 二十時二十分

既に日は落ち、車のライトや街灯が街を照らす。

結局、桜井美月のドッペルゲンガーは見つからなかった。

「今日の所は解散しよう。」

天川君の言葉に甘え、各々自宅へ帰ることとした。

天川君が全員を送ると言ったが、申し訳ない気持ちが勝ち遠慮した。

その代わり、家に着いたら必ず連絡を取ることを約束した。

「…これでよし。」

天川君がチャットでグループを作ってくれた。

グループ名欄には【チーム死に戻り】と表示されている。

「…なんかやだ。」

美希の一言に天川君はショックを受けたようだった。

こういう日常会話はいつぶりだろうか、私は思わず涙が流れた。

「天川君泣かした。」

「えぇ!?僕?」

早くこんな日常に戻って欲しいと心から思った。


七月二日 二十時五十分

「ヤバいヤバい、門限ギリギリ。」

私は急いで家の玄関を開けた。

息継ぎをしながら「ただいまー!」と大きな声を出した。

すると、リビングから誰かが小走りでこちらに向かって来ているのが分かった。

それは母だとすぐに分かった私は目を閉じて下を向いた。

「遅くなってごめんなさい!」

…沈黙が流れていた。

薄目で母の方を見ると、母は片手でくちをおさえ何かに驚いている様子だった。

「…お母さん?顔色悪いけどどうしたの?」

「…どうしたのって…あんた、なんで。」

母が何に驚いているのかよくわからない私は、背後、足元、天井と辺りを見渡した。

すると、母は我に返って私に耳打ちをした。

「…リビングにあんたがいるのよ。」

私は母と同じ顔色になった。

恐らく母は仕草を見て、私が本物の美月だと確信したのだ。

私は思い切りリビングのドアを開けようとした。

すると、母に手を止められた。

「…美月、待ちなさい。」

母は小声で話を続けた。

「…あなた、何か知ってるの?」

「何も知らないけど、今日私も自分と同じ顔をした人を見つけたの。その時は美希と天川君って男の子も見ていたの。」

母は少し無言で考え事をしている様子だった。

「…あなた、一先ず美希ちゃんと天川君?に連絡しなさい。それまで私が何とか食い止めておくから。」

「…お母さん。」

私はスマホを取り出し、一旦外へと出た。


「おぉ!美月のカレー美味しいよ!」

「そうでしょ!頑張って作ったの!」

母は静かに食卓テーブルへと戻った。

「お母さん?誰だったの?」

「…配達よ。お隣と間違えてたけどね。」

「…ふーん。」


私はスマホでグループチャットの【チーム死に戻り】を開いた。

そして、今の状況について文字を打った。

既読1…2とすぐに確認してくれた事がわかった。

すると、天川君からの電話が鳴った。

「もしもし。」

「あ、桜井さん?大丈夫?」

天川君は走りながら電話をしているようだ。

「…今、近所の公園。お母さんが時間稼いでくれてる。」

「わかった!すぐに向かうよ!美希さんも向かってるって!」

そう言うと電話は切れてしまった。

スマホを鞄に仕舞うと、突然背後に気配を感じた。

すぐに振り返るとそこにはもう一人の桜井美月が笑顔で立っていた。そして、手や頬に血が付いている事がわかった。

「…あんた、まさか!」

「お母さん嘘つくんだもん。酷いよね〜。悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて…殺しちゃったよ。」

私は言葉が出なかった。

私や友達が死ぬことはあっても、両親が死んだのは初めてだ。

もし私が帰らなければお父さんもお母さんも生きていたのではないか。

なんでこんなことになったのだろうか。

「で、何?親殺したから逃げた私を追って来たの?」

「まあそうだね。お前を殺さないと私が生きられないもの。」

「あんた何者?」

もう一人の私は、ニヤニヤと人の顔を舐め回すように見ていた。

「私は私。桜井美月に決まってるじゃない。」

「…本物では無いでしょ。」

「本物になるの。今から。」

この女は本当に何を言っているのだろうか。

全く理解が追いついてこなかった。

「さっきから何を言っているの。」

「うるさいから教えてあげるよ。私は、あんたの影から出てきたもう一人の私さ。ついでに言えば、憎しみ嫉みの塊さ。」

私はふと自分の影を見ると、そこにあるはずの影が無くなっていた。

「ちょっと、なんで?なんで影がないのよ!」

「私が影だからさ。でも安心しなよ、あんたを殺したらあんたは私の影になるんだから。」

ドッペルゲンガーの正体、それは自身の影。

であれば、もう一人の私はいつどのタイミングで影から出てきたのだろうか。

「あなたはいつどうやって出てきたの?」

「ちょっと、どうせ死ぬのに質問多くない?そこまで答える義務ないよね?」

何度か遠回しに聞いてみたが、流石にそこまでは答えてくれそうにはなかった。

「じゃ、あんたを殺して私が主になるから。たまには影に話しかけてあげる。」

次の瞬間、もう一人の私は何者かに吹き飛ばされた。

一瞬スローモーションで見えたが、金属バットのようなもので吹き飛ばされたような気がした。

もう一人の私は公衆トイレの壁に当たり、倒れていた。

「桜井さん!」

そこには金属バットを持った天川君が息を切らして立っていた。

「え、これ天川君がやったの?」

「うん。そんなことより逃げるよ!」

天川君は私の手を掴んで走り出した。

もう一人の私は悶え苦しんでいる。

それにしても天川君のあの力は一体…。

緩やかな下り坂を下っているともう一人の私が影の姿で追って来た。

「待てやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」

もう一人の私が時折見せる顔や身体は、波を打ちグネグネと動いていた。

「…な、何あれ。」

「多分あれが美希さんの言ってたやつだね。」

そうか、優の時もあんな動きをしてたんだっけ。

「…てか、追いつかれるよー!」

逃げることに夢中で気が付かなかったが、いつからか天川君のスマホが鳴っていた。

「天川君!スマホ!」

天川君はポケットからスマホを出し、電話に応答した。

「もしもしッ!」

息継ぎもままならない為、勢いの良いもしもしであった。

「…分かったッ!」

「天川君?どうしたの?」

「桜井さんの家を案内して!」

私は天川君に引っ張られながら自宅を案内した。


自宅に着くと勢い良くドアを開けた為、中に入ると同時に滑り転んでしまった。

もう一人の私も少し遅れて玄関へ入って来た。

もう一人の私は、人間と影が混ざりあったようなぐちゃぐちゃな表情でこちらを睨んでいた。

「…手こずらせやがって。」

私と天川君は追い込まれていた。

すると、リビングから大きい物を持った美希が走ってきた。

「これでも食らいなさい!」

そう言うともう一人の私が光で照らされた。

美希の持っていた大きい物は、大型の照明だった。

「…美希!それはなに?」

「人工太陽照明灯よ!」


「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁッ!!!!!」

もう一人の私は苦しんでいた。

両手で目を押さえながらその場に座り込んでしまった。


「え?なに?どういうこと?」

「あいつ、直射日光が弱点なのよ。」

「え、でも私達がドッペルゲンガーを見た時昼間だったよね?」

私と美希の会話に天川君が間に入り、

「曇りだったね。」

と息継ぎをしながら言った。

「…そんな事全然気にしてなかった。」


もう一人の私は苦しみながらこちらを睨んでいた。

「…お前ら…これで終わったと…思うな…よ…。私…は…なんお…へも…。」

もう一人の私は、最後に笑顔を見せて消えていった。


「やった…。倒したんだ。」

私は美希と見つめ合い、そして歓喜のあまり涙を流しながら抱き合った。



次回

第十一話 赤い雨

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