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第22話 発射

「アイゼンハーケン! 発射!」


 俺がコンソールパネルのボタンを押すと長大な砲身が唸った。

 甲板から艦橋まで、戦艦ジャガーノートの骨組みを音が伝ってくる。


 メインスクリーンが、発射したビームの光で一杯になり、すぐにダークモードに変わった。

 長大な砲身から打ち出されたエネルギービームは、ただ真っ直ぐに進んでゆく。


 やがて敵艦隊の先頭を進む戦艦エルドネスに着弾した。

 俺をいじめていたバター・ピーナッツが乗る戦艦だ。


 戦艦エルドネスは最新鋭戦艦。

 エネルギーシールドは高性能であろう。


 だが、最新鋭戦艦のエネルギーシールドなど、超巨大ビーム砲アイゼンハーケンの相手にならなかった。


「着弾!」


 観測員が叫んだ瞬間、戦艦エルドネスは消滅した。

 続いてエネルギーの暴力に周囲の艦が巻き込まれる。

 戦艦が、巡航艦が、駆逐艦が、瞬時に消滅した。


 艦橋に静寂が訪れた。


 しばらくして、観測員が言葉を絞り出す。


「敵船団……消失……」


 誰からともなく言葉が漏れた。


「なんて威力だ……」


 俺はいつの間にか艦長席から立ち上がり、腕を組んでメインスクリーンを見ていた。


「あばよ。バター・ピーナッツ」


 ボソリと俺はつぶやいた。

 副長が耳ざとく俺のつぶやきを拾った。


「ぼっちゃん。大丈夫ですか? 戦艦エルドネスに乗っていたバター・ピーナッツとは、同期だったでしょう?」


 副長は俺を心配している。


 今の一撃で沢山人が死んだ。

 船団が丸ごと消滅したのだ。


 ショッキングではる。

 だが、俺はそれほど落ち込んではいない。

 いじめられていたバター・ピーナッツがいなくなって、せいせいしたのだ。

 それに副長や船員に心配をかけたくない。


 俺は副長に笑顔で答えた。


「いや、バター・ピーナッツが死んで、爽快な気分だよ! 海辺のビーチでフルーツマシマシのトロピカルカクテルを美女に囲まれて味わっている気分さ!」


「ぼっちゃん……。どれだけバター・ピーナッツが嫌いだったんですか……」


 副長が両目をつぶった。


「それより、アイゼンハーケン発射で艦がダメージを受けてないか確認しろ!」


 艦橋が忙しく動き出した。

 幸い戦艦ジャガーノートにダメージはなかった。

 アイゼンハーケンも問題なし。


 クルップの親父さんは、きっちり仕事をしたんだな。

 それにアイゼンハーケンは、帝国軍工廠製だ。

 あれだけの攻撃をしても壊れない、船体にもダメージがないのは、さすがである。


 通信員が俺の方を向いて緊張した声を上げた。


「映像通信入ります! 本営のダルメシアン大佐です!」


 メインスクリーンにダルメシアン大佐が映し出された。

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