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第20話 戦いの意義

 観測員から報告が上がった。


「艦型照合! 旗艦は戦艦エルドネス! 望遠映像メインモニターに出ます!」


 優美な形をした船がメインモニターに映し出された。

 副長が唸る。


「最新型の高速戦艦!」


「船は最高だけどな……」


 俺はメインモニターに映る戦艦を見て眉根を寄せる。

 船は最新型だが、金色のカラーリングが趣味の悪さを物語っている。


 誰が乗っているんだ?


「観測員! 誰の船かわかるか?」


「データ照合! バター・ピーナッツ伯爵令息の船です!」


「あいつか!」


 俺は艦長席でずっこけそうになった。

 なぜ、ヤツが……。


 いや、多分……、手柄になりそうだとイキがって立候補したんだろうな。

 最新型の戦艦に乗っているから楽勝だと思ったかな?


「通信員! 戦艦エルドネスに映像通信を繋いでくれ」


 俺はバター・ピーナッツと話し合ってみようと思った。

 嫌なヤツだが、士官学校の同期だ。

 甘いといわれるかもしれないが、殺し合わないで済むなら穏便におさめたい。


 通信員がコンソールパネルを操作し、敵戦艦エルドネスと連絡を取っている。


「お待ち下さい……出ました!」


 メインモニターに、バター・ピーナッツが映し出された。


「おお! ジャガイモ君ではないか!」


 いきなりジャガイモか。

 相変わらずだ。


「バター・ピーナッツ。頼みがある。ここはひいてくれないか?」


 俺は余計なおしゃべりをせずに、用件を切り出した。

 敵百隻は高速で接近中なのだ。

 時間がない。


「ハッ! ハッ! ハッ! ジャガイモ君! 君は面白いよ!」


「我々は士官学校の同期だ。殺し合わずに済むなら穏便に済ませたい。帰ってくれ」


「君は勘違いをしているな? 殺すのは僕の方で、君は殺される方だ」


「そうとも限らないだろう? 戦艦ジャガーノートは抵抗する。旧型とはいえ大型戦艦だ。ラッキーパンチが当たるかもしれないぞ?」


 バター・ピーナッツは、ニヤニヤといやらしい笑いを浮かべている。

 まだ、士官学校のいじめっ子気分が抜けていないのだ。


「そうだなぁ~。君が両手をついて許してくれというなら、奴隷として飼ってやらないこともない」


「はぁ~」


 俺は深くため息をついた。

 これである。


 バター・ピーナッツは、俺が抵抗するとは思っていないのだ。

 名門の伯爵家に生れ、肥大した自尊心を友として育った。

 下級貴族や平民は踏みにじって良い存在だと思っている。


「なんだかなあ……」


 俺はボソリとつぶやき頭をかいた。


 バター・ピーナッツは、俺を見て嬉しそうだ。


「ん? どうした? 降参するか?」


「いや……。バター・ピーナッツ。俺は君を殺すよ」


「は?」


 俺の言葉にバター・ピーナッツが、心底分からないという顔をして固まった。


「俺はローエングリン侯爵の気持ちが、よく分かった。君ら名門貴族は、貪ることしかしない。俺たち下級貴族を貪り。平民を貪る。帝国に住み着いた害虫だ。ローエングリン侯爵は、君ら名門貴族を排除することで、帝国の再生を企図しているのだろう」


「君は……、何を言っているんだ?」


 俺の言葉が意外すぎて、バター・ピーナッツは理解出来ないようだ。

 俺は子供でも分かるようにしてやった。


「バター・ピーナッツ! お前はゴミ以下のクソ野郎だ! 今からその悪趣味な金ピカ戦艦ごと、宇宙の塵にしてやる。それが嫌なら、ママのオッパイをしゃぶりに回れ右して帰りやがれ!」


「貴様! 士官学校の同期だと思えば情けをかけてやったのに! 覚えていろ!」


「もう、忘れた。あばよ!」


「貴様――」


 バター・ピーナッツが何か言おうとしていたが、俺は一方的に通信を切った。

 俺はバター・ピーナッツら百隻の奇襲艦隊を葬り去るために指示を出した。


「アイゼンハーケン! 発射準備!」

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