86. タイガー討伐依頼
翌朝、ペッケーノの冒険者ギルドに向かうと、人がたくさんいた。
僕たちが中に入ると、みんなが一斉にこっちを見た。ジムナーシアの時と同じだ。
あんまりいい感情は感じないけど、ゲオーグがいるから大丈夫。
僕は少し怖くて、ゲオーグの手をぎゅっと握った。
そしたら、ゲオーグも握り返してくれて、大丈夫だって言ってくれた。
依頼の掲示板を見ると、Bランクのところにグリーンタイガーの討伐依頼が残ってて、なるべく毛皮に傷がないことを望むって書いてあった。
しかも依頼料が最低金貨1枚、状態によって追加ありって書いてあった。
「あれ、受ける?」
「俺らにはちょっと難しいが、シュペアならいけるか。」
「そうだな。危なかったら多少傷が増えても俺らが相手すればいいし、傷が多ければまた別の個体を探して仕留めればいい。」
「これを頼む。」
「受け付けます。」
「荷車の貸し出しはあるか?」
「ありますよ。裏に回ってもらえば職員がいるのですぐに分かると思います。」
「分かった。」
ゲオーグが受付に紙を出すと、スタンプを押して受け付けてくれた。
「まずは荷車だな。」
「あぁ。」
ギルドの裏に回って、大きい荷車を借りた。
街を出て森に向かう。
今日は、宿に棒を置いてきたから身軽だ。
「ウルフはいるけど、タイガーは近くにはいないみたい。」
「そうか。もう少し奥まで進もう。」
しばらく奥に進んでいくと、ワイルドベアみたいな大きな魔獣が索敵に引っかかった。
「5キロ先に、ワイルドベアと同じくらいの大きさの魔獣がいる。ワイルドベアかもしれないけど、タイガーかも。」
「よし、逃げられる前に急ごう。」
「そうだな。」
身体強化を使って走って向かうと、たぶんタイガーだけど色が違った。
「あれはタイガー?」
「あぁ、タイガーだが、ホワイトタイガーだな。」
「シュペア、あれで練習してみたらどうだ?」
「いいの?」
「いいぞ。」
どうやって倒そう。
毛皮に傷が付かないように・・・。
矢を細めにして、口から脳に向けて3本くらい貫通させればいけるかな?
僕は風の矢を細めに3本作って、ターゲット設定すると、タイガーの前に出た。
ガルオオォォォォ
僕を見て大きな声で吠えた。
大きな口を開けた今だ。
僕は矢を打ち出した。
ガッゥゥ
タイガーは一瞬驚いた顔をして、ゆっくり倒れていった。
血抜きは、した方がいいよね?
僕はナイフで首の血管のところを少し切って、穴を掘って流動で血抜きをした。
そして、穴に溜まった血を燃やした。
「シュペア凄いな。これなら毛皮はほぼ無傷だ。」
「あぁ、凄いな。さすがだな。」
「上手くできて良かった。」
僕が重力操作をかけると、ゲオーグがホワイトタイガーを荷車に乗せてくれた。
グリーンタイガーを探して、森の奥に進んでいくと、またタイガーが索敵にかかった。
「たぶんタイガーがまたいるよ。ここから右に3キロくらい。」
「分かった、急ごう。」
僕は荷車に重力操作をかけて、みんなに身体強化をかけて走った。
タイガーが見える位置に来ると、またホワイトタイガーだった。
「今度はルシカとゲオーグが戦ってみて。」
「あぁ、分かった。」
「シュペアは休んでいてくれ。」
ルシカとゲオーグがタイガーの前に駆け出した。
ガルオオォォォォ
さっきは毛皮に傷をつけないように一瞬で倒したから、強さが全然分からなかった。
どんな動きでどんな攻撃をするのか見てみたい。
大きな身体だから、ベアみたいに動きも遅いのかと思ったけど、ウルフより早かった。
攻撃は太い前足の爪と、大きな牙での噛み付き、ボアみたいな体当たりや、尻尾を鞭のように叩きつけるのもあった。
ルシカが駆け回ってタイガーに軽いヒットを与えながら注意を引いて、ゲオーグが足の先や首を狙って斧を振り回す。
首に何度か斧が入ると、出血が増えてタイガーはふらつきながら倒れた。
初見の魔獣なのに、そんなに時間がかからず倒せるのは凄い。
僕が槍で戦ったら、もっと時間がかかったと思う。
僕は倒れたタイガーに近寄ると、首の近くに穴を掘って流動で血抜きをした。
首から胸の辺りに流れた血を水で流すと、重力操作をかけてゲオーグに運んでもらって、穴に流れた血を燃やした。
「お疲れ様。2人とも初めて戦う魔獣なのに、あんなに早く倒して凄い。」
「そうか?」
「シュペアのが凄いと思うが。」
「僕が槍で戦ったら、もっと時間がかかるし、あの前足の攻撃は受け止められないと思う。ルシカとゲオーグは強いね。」
「シュペアがそう言ってくれると、本当に強くなったように感じるなー」
「あぁ、そう言ってもらえると嬉しいな。」
「グリーンタイガーいないね。」
「だなー。グリーンタイガーは珍しいのかもしれないな。」
「次は遇えるといいな。」
僕たちは森をどんどん奥へ進んでいく。
なかなかいないな。
ウルフの影は見るけど、なかなかタイガーが索敵に引っかからない。
「休憩するか。」
「そうだな。」
「うん。」
僕たちは木の根に座って、サンドイッチの包みを開けた。
コップにはお水と氷も入れてある。
森の中は日陰が多いから、街道より涼しい。
荷車を運ぶのは大変だけど・・・。
荷車を引いて森の中を走ることはできないから、走る時は僕が重力操作をかけてルシカとゲオーグが持ち上げて運んでる。
お昼を食べて一息つくと、僕たちはまたタイガーを探して歩き出した。
2時間くらい歩くと、索敵に反応があった。やっと見つけた。
「見つけたよ。このまま真っ直ぐ3キロくらい。」
「急ごう。」
「あぁ。」
僕たちは走りだした。
これがグリーンタイガー。
本当に綺麗な緑で、クンストの領主邸の庭の芝生みたいな毛並みだった。
「シュペア、任せた。」
「うん。」
僕はさっきと同じように風の細い矢を3本出してターゲット設定すると、タイガーの前に出た。
ガルオオォォォォ
今だ。
僕は大きく開いた口に向けて矢を放った。
アガッ
グリーンタイガーは一瞬驚いた表情をして、ゆっくりと倒れていった。
僕はさっきと同じように穴を掘って、首の血管のところを切って流動で血抜きをすると、ゲオーグに荷車に乗せてもらって、血を燃やした。
流動も慣れてきた。血を燃やすのも慣れてきた。慣れると、使う魔力も減ってくれるから嬉しい。
「シュペアー、お疲れ様。」
「相変わらず鮮やかな倒し方だったな。」
ルシカとゲオーグは、僕の頭を交互に優しくて温かくて大きな手で撫でてくれた。
僕はこの瞬間が好き。
ギルドで1番大きな荷車を借りたけど、凄くはみ出てる。
崩れないように積み上げて、森に生えてた蔓で荷車に縛り付けて、重力操作をかけた。
森の中は持ち上げて運んでいく。
「この依頼と買い取りでミスリルは買えるかな?」
「どうだろうな?」
「加工された剣がかなり高いというのは聞いたことがあるが、加工前のものは分からないな。」
「買えないといけないから、メタルに着くまでにもう少し稼ぎたい。」
「そうだな。」
「ルシカとゲオーグもミスリルの武器にするの?」
「俺は考えてなかった。俺はシュペアみたいに魔力を通して使わないが、ミスリルは切れ味がいいと聞く。興味がないわけじゃないけど。無ければ無いでいい。」
「俺も同じだな。ミスリルは軽いと聞くから、使ってみたい気持ちはあるが、俺に合うのかが分からないからな。」
「じゃあ、たくさんあったらみんなの分も買おうよ。」
「あったらな。」
「そうだな。」
街道まで出ると、地面に荷車を下ろして引いていく。
タイガーを3体も乗せているし、荷車が壊れるといけないから、重力操作はかけたままだ。
お金の価値
銅貨(100円)
小銀貨(1,000円)
銀貨(10,000円)
小金貨(100,000円)
金貨(1,000,000円)




