85. ペッケーノの休日
朝起きて、お気に入りになったアサイーを朝ごはん代わりに食べに行って、宿に戻ると大きな桶を借りて洗濯をした。
防具もちゃんと綺麗にして、武器を研いだ。
そんなことをしていると、お昼になっちゃったから、3人で料理屋さんに入った。
お昼に料理屋さんに行くのは珍しい。いつも屋台でサンドイッチを買って食べることが多いから。
お店に入ったら、メニューはポルキロっての1つしかなかった。
お店の人がお皿を渡してくれて、色んな料理が並んでるテーブルに案内された。
好きなものを好きなだけ乗せて、自分だけのご飯セットを作れるみたい。
凄い。こんなご飯の選び方があるんだ。
(※ポルキロ:ブラジルのビュッフェ形式のランチ)
僕は白い米って穀物と、豆の煮たやつと、お肉の煮たやつ、少しサラダを乗せて、フルーツも色々あったけど、パインを乗せた。
ルシカはお肉をたくさん乗せてた。ゲオーグは、お肉もたくさん乗せてたけど、色んなフルーツもたくさん乗せてた。
この白いパラパラの穀物は、お肉の煮たやつと一緒に食べると美味しかった。
そしてやっぱりパインは美味しい。
少し酸っぱくて甘くて、噛むと汁がジュワーって出てきて美味しい。
お昼を食べたら、その後はみんなバラバラに行動した。
防御結界はターゲット設定してるから、このまま結界をかけたままにしたらどうなるんだろう?
解除しないまま様子を見てたら、それぞれ離れて行っても、結界はかけたままにできた。
でも、遠く離れると、魔力がどんどん減っていったから、ちょっと怖くなって解除した。
2人は強いから大丈夫だよね?
僕は認識阻害をかけて、街を見て回った。
街の中心にある公園は、小さな川が流れてて、木陰に入ると涼しかった。
認識阻害を解除して、フードを被って目の色を変えると、公園の側にある屋台でパインジュースを買った。
パインジュースはやっぱり美味しい。
しばらく木陰で街行く人を眺めていると、小さな川で小さい子たちが遊んでた。
少し羨ましいなって思って眺めてると、1人の子に手招きされた。
僕?振り返っても誰もいなかったから、僕みたい。
「お兄ちゃんも川に入りなよ。涼しいよ。」
僕が川の側に歩いて行くと、手招きしてくれた子がそう言った。
ブーツを脱いでズボンを膝まで捲ると、僕は川に入った。
「本当だ。冷たくて気持ちいい。」
「でしょ〜」
僕はその子と、水を掛け合ったりして遊んだ。
村には僕しか子供がいなかったから、子供と遊ぶなんて初めてだった。
楽しい。
何も考えずに楽しいことだけしている時間。
魔術や槍の練習も楽しいけど、川で遊ぶのも楽しい。
少し日が翳ると、周りにいた子供の親が迎えに来て、どんどん子供が減っていった。
最後の子が、お母さんに連れられて手を振って去っていくのを、僕はボーッと眺めてた。
僕には迎えにきてくれるお母さんがいない・・・。
「シュペアー、飯いくぞー。」
その声に振り返ると、ルシカとゲオーグがいた。
僕には、迎えにきてくれるお母さんはいないけど、迎えにきてくれる仲間がいる。
それだけで十分だ。
僕は裸足のままブーツを持ってルシカとゲオーグの元に走っていった。
「シュペア、ズボンがビチャビチャじゃないか。着替えないと風邪引くぞ。」
「一旦宿に戻るか。俺も荷物があるしな。」
「うん。」
宿に戻ると、朝洗濯した服に着替えて、さっき濡れちゃった服は干した。
夜ご飯を食べてる時に、今日あったことをルシカとゲオーグに話した。
「僕ね、あの公園の川で、子供達と一緒に遊んだの。僕、川で遊ぶの初めてで、子供と遊ぶのも初めてだったの。凄く楽しかった。」
そう言ったら、ルシカもゲオーグも、良かったなって笑ってくれた。
その日も僕は宿に着くと、すぐに眠ってしまった。
閲覧ありがとうございます。
明日から新章に入ります。お楽しみに。




