72. 森の中を進む3人
「今どの辺りなんだろうね?」
「大体の方向は合っていると思うけが・・・、国境までどれくらいかは分からないなー」
「食事が肉だけというのも飽きてきたな。」
「果物みたいなのはあるけど、僕たちが食べても大丈夫か分からないもんね。」
「そうだな。」
こんな時のために、薬草だけじゃなくて植物の勉強もした方がいいのかもしれない。
「魔獣が少ないってのは良かったなー。」
「そうだね。強い魔獣がたくさん出てきたら、ゆっくり寝られないもんね。」
「あぁ、休息をしっかり取れるのは大きいな。」
あまり魔獣と出会わないのは不思議だ。
ここまでに出会ったのは、最初に通り過ぎたサイクロプスと、その後は何度かシルバーイーグルと、ホーンラビットくらい。
そんな風にあまり刺激のない日が続いていた5日目に、索敵に引っかかった。
「シルバーイーグルの群かな?」
「イーグルが群れるのは珍しいなー。」
「イーグルじゃないのかな?何だろう?」
「あとどらくらいの距離だ?」
「あと3キロくらい。10匹くらい飛んでる。」
「もしかしてハーピーか?」
「見てみないと分からないが、可能性はあるだろうな。」
目視できるまで近くにくると、イーグルじゃなかった。
薄い緑と黄色の綺麗な翼で、顔は人間っぽく見えた。
あれがハーピーなんだ。
「僕がたくさん矢を放つから、2人は落ちてきたのをお願い。」
「分かった。」
「久々の戦闘だな。」
僕は氷の矢を10本出すと、ターゲット設定をした。まだ全部にするのは無理だったけど、グリフォンの時は6本いけたから、そのうちの6本に設定した。
せっかくだし、みんなで戦いたいから、全部翼に当たるようにした。
今だ。
僕は氷の矢を放った。
ギャァァァァァァ
7体は翼に穴が空いて落ちてきた。
他は外れちゃったみたい。
残りの3体は、今度は心臓にターゲット設定して氷の矢を放った。
ギャァァ
3体は倒せた。あとはルシカとゲオーグと一緒に地上で槍を使って戦う。
僕は槍を持つと、ハーピーに向かった。
ハーピーは地上では、足で蹴ってきたり、翼で叩いたり、嘴でつつくような仕草をしたけど、攻撃はそれしかなくて弱かった。
ハーピーの幻惑魔術は、ラミアよりちょっと下手で、女の人というよりは、仮面みたいだった。
「ハーピー弱かったね。」
「そうだな。」
「地上に下ろせなければ、なかなか大変かもしれない。」
「そっか。確かに、飛びながらあの鉤爪で攻撃されたら危険だね。」
「それにしても、醜い顔だな。」
「あぁ。」
「これ、食べれるの?」
「どうだろうな?あんまり食べたくない。」
「そうだな・・・、俺も気が進まない。」
「じゃあ埋めようか。」
僕は土魔術で穴を掘って、みんなでハーピーを穴に入れた。
「火の魔術の練習していい?」
「いいぞ。気をつけろよ。」
「うん。」
僕はハーピーを炎で包むように、そして灰になるように高温の炎を穴の中に広げた。
炎は青いのが出て、ハーピーが溶けるように燃えていった。
「シュペア、その青い炎、格好いいな。」
「あぁ、初めて見るが凄いな。」
「僕も初めて見た。」
あれ?僕、今、索敵使いながら火の魔術使ったかも。
試してみよう。
索敵を使ったまま、風の矢を穴に向かって撃ってみた。あ、できてる。
索敵を使ったまま土魔術で穴を埋めて、ウォーターボールや氷の矢も撃ってみた。
できるようになったんだ。嬉しい。
「ルシカ、ゲオーグ、索敵と攻撃魔術、一緒に使えるようになったよ。」
「お、シュペア凄いなー。」
「あぁ、シュペアは凄いな。よく頑張っている。」
ルシカとゲオーグが僕の頭を大きな手で撫でてくれた。
2人に褒められると心が温かくなる。
2人は僕のことをいつも信じてくれて、いつも凄く優しい。いつもありがとう。
その後、森を抜けるまでに10日かかって、街にたどり着くのは更に2日後だった。




