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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
トルーキエからラジリエンへ

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71. 顛末と各所


>>> 某所


「陛下、ディカットゥ男爵が脱税し横領しているとの密告がありました。」

「宰相、前からその噂はあっただろう?今まで何をしていた?詳しく調べろ、裏を取ったら捕縛に動け。」


「かしこまりました。」


宰相が部屋を出ていって間も無く、別の人物が訪ねてきた。



コンコン

「将軍がお見えです。」

「通せ。」


「将軍が私を訪ねてくるなど珍しいな。要件はなんだ?」

「エトワーレ王国の騎士団に在籍する者たちに目をつけて追っているバカな貴族が出ました。」


「はぁ?どこのどいつだ?」

「ディカットゥ男爵です。」


「そのエトワーレの騎士団の者たちは何かやらかしたのか?」

「いえ、商人から凄腕だと聞いて、男爵は取り込もうとしているようです。」


「はぁ?エトワーレとは以前から友好関係にあったが、ジムナーシア伯爵がエトワーレの有力貴族であるフェルゼン侯爵の領と姉妹都市提携を結んで更に良好な関係を築き上げているんだ。

その関係を壊そうとしているというのか?

目的は何だ?戦争を起こさせて私を王座から引き摺り下ろす気か?」

「そこまで考えているかは分かりませんが、もしその者たちに危害を加えるようなことがあれば、エトワーレが黙っているわけがないでしょうね。」



コンコン

「ジムナーシア伯爵より急ぎの手紙が届いております。」

「持ってきてくれ。」


「陛下、急ぎの要件は今回のことでは?」

「そうかもしれん。とにかく読んでみよう。」



「はぁ・・・。

エトワーレのフェルゼン侯爵は、もうこのことを知っているらしい。

しかも、その者のうちの1人はフェルゼン侯爵が特に可愛がっている人物だとか。」

「何かあってからでは遅いです。」


「国家叛逆罪でディカットゥ男爵を捕えよ。

ちょうどいい、街長宅はそのまま軍で制圧し、家令や経理担当は拘束し、他の者は退去。監査に帳簿を調べさせよう。

あの領はキタップ伯爵が治めていたな。キタップ伯爵にも監督不行届きで抗議文を送ろう。

将軍、何も起こらないうちにすぐに動いてくれ。」

「かしこまりました。」


将軍は部屋を出ると、すぐに軍隊を引き連れてクシュへ向かった。一部は捜索しているクシュの使用人や騎士を捕まえて捜索中止と男爵の逮捕を知らせるために途中で別れた。


将軍は手際が良かった。滝のような大雨の中、あっという間に街長宅を包囲すると、精鋭たちで男爵と家令、経理担当を捕縛し王都へ移送した。

怪しい動きをする者もすぐに捕え、一人一人に聴取を行うと、監査の到着を待った。


「無知なだけか、王家の転覆を狙ったのか、恐らく前者だが、無知は度が過ぎると罪にもなるということだ。

まぁ、今回は何も起きないうちに解決できて良かった。」

「将軍、陛下にも一報を入れておきます。」


「あぁ、頼んだ。」



男爵はまだ脱税や横領の聴取のために投獄されているが、シュペアたちに迫った脅威は過ぎ去った。


陛下はため息を吐きながら、エトワーレ王国の王に謝罪の手紙を送り、ジムナーシア伯爵にも顛末を書いて送った。




-----

>>>ルヴォンとグレル


「大雨の中、鮮やかな手際だったね〜」

「ルシカたちの脅威は無くなったと思っていいだろうな。」


「どうせ夕飯食べにいくんだし〜、何か情報落ちてないか探ってみる〜?」

「そうだな。」



「街長?あぁ、あいつが逮捕されて喜ばねぇ奴はいねぇな。だから今日は雨なのに客が多いだろ?祝い酒だ!」

「手を出しちゃいけない人に手出したらしいね。誰かは知らないけど。」

「俺は横領が理由だと聞いた。やりたい放題だったくせに横領までしてやがったんだな、あいつは。」

「誰か探してた?あーなんかそんな噂あったね。どうなったかは知らないけど。とにかくあいつがいなくなってみんな喜んでるよー」


「詳しくは分かんなかったね〜」

「そうだな。」


「ラジリエンで待ってみる〜?」

「それもいいな。」


「じゃあ決まりね〜」




-----

>>>ウィルとミラン


「ミラン、ギルドに伝言が来ているから行ってくる。」

「分かった〜」


ジムナーシア伯爵からの伝言は、トルーキエ王国の軍がディカットゥ男爵を逮捕したのでもう大丈夫というものだった。



「どうだった?」

「ミラン、解決したみたいだ。」


「え?まさかシュペアたちが捕まったとか?」

「いや、ディカットゥ男爵が逮捕されたらしい。」


「えー?どういうこと?」

「トルーキエ王国の軍が逮捕したと書かれていたが詳細は分からない。

シュペアたちの件とは関係なく何か罪を犯したのかもしれないな。」


「そうだね。でも良かったね。シュペアたちに何もなくて。」

「あぁ。人間の脅威はとりあえず無くなったな。あとは森の魔獣か。そこはあの3人なら大丈夫だろう。」




数日後。


「ウィルー、あれ?いないのか。戻るまで部屋で待つか。」


ガチャッ


「おぅウィル待ってたぞ。」

「団長、何か?」


「シュペアたちの件、解決したぞ。」

「あぁ、団長に言うのを忘れていた。」


「陛下に、トルーキエの王から謝罪の手紙が届いた。」

「え?」


うちの貴族が、エトワーレの騎士団の方々に手を出そうとしたことがあったようで申し訳ないと。

その貴族は他にも罪を犯しているため逮捕し、まだ処罰は決まっていないが迷惑は掛からないようにする。

決してトルーキエはエトワーレの者に危害を加えたり、ましてや敵対したりする気はない。どうかこれからも友好的な関係を続けたいと思うと。

フェルゼン侯爵にも迷惑をかけて申し訳ないと伝えて欲しいと。


「そういうことか。

私の名前が出てくるということは、ジムナーシア伯爵が向こうの王にシュペアたちのことを伝えたのかもしれない。」

「向こうの王は、国所属の騎士を害したとなれば、戦争になるかもしれないと考えたんだろうな。」


「思っていたより大事になっていたんだな。」

「シュペアたちに伝言を残しておこう。団長、今からギルドに行ってきます。」


「あぁ、分かった。」


シュペアたちがウィルからの伝言を受け取るのはまだ先の話。


閲覧ありがとうございます。

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