70. 各所のその後と詳細
>>>ルヴォンとグレル
オドンに向かう途中でギルドに寄ると、伝言が届いていた。
「グレル、伝言が来てるよ〜。
シュペアたちを探してるのはクシュの街長の男爵だって〜。名前までは分からないみたい〜。」
「クシュに先に行ってみるか。」
「そうだね〜。上手く逃げられて諦めてるかもしれないし〜。」
伝言を受け取った2日後にはクシュに到着したルヴォンとグレル。
「なんかあんまりいい雰囲気じゃない街だね〜。しかもこの雨凄いね〜」
「雨で一旦捜索を中断したのかもしれない。まだ見つかってはいないようだな。」
「夜になったら酒場で情報集めようか〜」
「そうだな。」
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>>>ウィルとミラン
シュペアたちが目をつけられたと報告があった日から2日後のこと。
「ミラン、ギルドから伝言が届いていると連絡があったから行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
ウィルがギルドに到着すると、伝言は2件届いていた。
片方はモスケルで、シュペアたちを探しているのはクシュの街長で男爵ということは分かったが、名前は分からないそうだ。
シュペアが狙われているというよりは、ルシカとゲオーグの方が狙われてシュペアもおまけでということらしい。
もう片方はジムナーシア伯爵だった。
情報を集めているが、オドンの付近を治める貴族とは繋がりがなく時間がかかりそうとのことだった。
モスケルには伝言への感謝と、また進展があれば教えて欲しいと伝言を残した。
ジムナーシア伯爵の代理の冒険者には、シュペアたちを探しているのはクシュの街長で男爵ということは分かったが詳細が分からないので、家名やどんな人物なのかを教えてほしいと伝言を残した。
騎士団本部に戻ると、ミランにもギルドの伝言のことを伝えた。
「まだ捕まってはいないってことだよね?」
「あぁ、捕えられたという報告は無い。」
「2人の方が狙われるって、何があったんだろうね?」
「もう少し情報が欲しいな。」
翌日。
コンコン
「イースです。」
「入っていいぞ。」
「ラオニッシャーという方が中隊長に面会を求めていますが通してもいいですか?」
「あぁ、通してくれ。」
「ラオ久しぶり〜」
「ラオ、よく来てくれた。」
「あぁ、親父の仕入れ担当がハーブルにいたんだが、シュペアくんたちだと思われる3人の目撃情報が複数あったよ。」
「そうか。ハーブルに行っていたのか。」
「狙われる原因となった商人も特定して話を聞けた。シュペアという名前は出なかったけど、大人2人と子供1人のパーティーで、1人はルシカと呼ばれていたと言っていたから間違いないと思う。
ハーブルから馬車で2日の距離にあるクシュという街の街長が無理を言ってハンカチの受注をして、それを運ぶ商人の護衛をしたそうだ。」
「そうか。」
「それで、シュペアくんと思われる子が、商人が水を忘れたところで水を出してくれたそうだ。
その後、2度魔獣が出たが、どちらも魔獣が見えないうちに見つけて、大人の男性冒険者がそれぞれ先行して単独で討伐してくれたから、停車時間はほんの僅かで、翌日の昼過ぎにはクシュに到着したそうだ。」
「そうか。」
「急いで街長宅に納品に行くと、早くても夕方か夜になると思っていたようで、早く到着した理由を話せと問い詰められて、冒険者の護衛が優秀だったことを話してしまったそうだ。
商人が急いでいる理由を知って、協力してくれたのに彼らを売るようなことをして申し訳ないって項垂れてたって。」
「それでその話を聞いた男爵が興味を持ったのか。」
「そうだね。彼らは依頼の報告をすると、すぐに街を出たらしい。
すぐに見つかると思っていたが、焚き火の跡は見つけたものの、夜通し探しても本人たちが見つかったという報告がないから、躍起になって探してる。
見つからないことで、さらに興味惹かれたのかもしれない。」
「男爵の名前は分かるか?」
「名前はハスタ・ディカットゥ。」
「どんな人物かは分かるか?」
「そこまでは分からないな。商会もクシュとは取引がないし、俺もまだ行ったことがない。」
「そうか。詳しく調べてくれて助かる。わざわざ騎士団にまで出向いてもらって悪かったな。」
「いや、そんなことは気にしなくていいよ。無事解決できるといいな。」
「あぁ。ありがとう。」
報告が終わるとラオは帰って行った。
「ルシカとゲオーグの方が狙われてるってのは、こういうことか〜
シュペアを目立たせないために彼らが動いたんだろうけど、そこで彼らの方が目をつけられたのか〜」
「だろうな。しかし商人の事情を聞いてクシュに滞在するのは危険だと判断して、すぐに街を出たんだろうな。
クシュからオドンの手前の街のあたりまで行けば、ラジリエンに続く森に入れるから、そのまま森を進んで国境を越えるのかもしれない。」
「ウィルはどうするの?」
「どうするかな。シュペアだけが狙われたわけではないとなると、対応に迷うところだ。」
「そうだね〜
抗議するにしても、シュペアには手は出さないが他2人はいいだろ?とか言われそう。」
ガチャッ
「ウィルー」
「団長、ノックくらいして下さい。」
「あぁすまん。で、進展はあったか?」
「まぁ・・・。」
ウィルは昨日のギルドの伝言やラオから聞いた話を団長に伝えた。
「ということで、シュペアだけが狙われているわけではないのと、ルシカとゲオーグが狙われているので、どうしようか考えていたところです。」
「そうか。それなら、ルシカとゲオーグも隊員だと言えばいい。
彼らには俺の独断で本物と同じ騎士団の身分証を作って渡してある。書類を出してもらってないから本人たちには仮身分証だと言ってあるが。
ちなみに所属は俺の直属で戦士になっている。」
「団長やるね〜」
「そうだろ?俺もやる時はやるんだ。」
「伯爵の返答を待って、ディカットゥ男爵が話ができるような人物なら、団長から3人は騎士団の者だから手を引くよう手紙を書いてもらうか。
危険な人物なら、私の侯爵家の肩書きとジムナーシア伯爵に協力をしてもらうか、王家に話を持っていくほどではないか。」




