67. 嫌な貴族
「僕はいつまで結界かけてればいい?」
「うーん、少なくともこの領を出るまではかけておいた方がいいだろう。」
「できればオドンまでかけておくのがいいだろうな。」
「分かった。結界かけながら身体強化できるようになったし、オドンまでかけておくね。」
「それがいいな。」
僕たちは街道を走って行ったけど、その日のうちに次の街には着けなかった。
「野営は久しぶりだな。暖かい時期でよかった。」
僕たちは保存食を食べて、焚き火を焚いて、順番に見張りをしながら寝た。
僕が見張りをしている夜中、索敵に反応があった。人?怪しい。
僕は焚き火に水をかけて消して、ルシカとゲオーグを起こした。
「人がこっちに向かってきてる。」
「もしかして俺らを探してるんじゃないか?」
「可能性はある。」
「僕は今回何もしなかったから、もしかしたらルシカとゲオーグが狙われてるかもしれないよ。」
「あぁ、その可能性もあるか・・・。」
結界、ミランはみんなにかけてた。
やり方を聞いておけばよかった・・・。
考えて。魔術の本を、結界の仕組みを思い出して。
僕の周りを膜が張ってるみたいに、結界は存在してる。その膜って広げられるのかな?
少しずつやってみる。
感覚的にはできてる気がする。
「結界、もしかしたらできるかもしれないから、ルシカにかけてみていい?かけたら教えるから、ゲオーグはルシカが見えなくなったか教えて。」
「あぁ、分かった。」
僕はルシカの隣に行って、結界を広げていく。
できた。と思う。
「ゲオーグ、どう?」
「消えてる。」
「よかった。ゲオーグにも結界かけるね。」
「あぁ。」
「まだあんまり自信がないから、離れないでね。3人で手繋いで、少し森に入ろう。もうすぐ人が来ると思う。
焚き火の跡を見た反応で判断しようよ。」
「そうだな。」
それから、しばらくすると、5人くらいの人が松明を持って街道を歩いてきた。
「おい、これ、焚き火の跡だぞ。」
「本当だ。水をかけて消してある。水が乾いていないということは、まだ遠くには行ってないんじゃないか?」
「冒険者共は俺たちに気付いて逃げたってことか?」
「探すぞ。援軍を呼べ。」
「見つけて戦闘になっても傷はつけるなよ。」
「旦那様が欲しがっている人材だからな。」
「大人2人は強いと聞いているが、子供も連れて行くのか?」
「あぁ、魔術で水が出せるらしいからな。」
「へーそうなのか。便利だな。」
「早く見つけて連れて帰るぞ。そうじゃないと寝る時間がなくなる。」
「夜中は勘弁してほしいな。夜中動けば次の日が休みならいいが、どうせ明日も朝からみっちりだろ?」
「大人2人と子供って言ってたから、僕たちのことだね。
どうする?このまま結界かけたまま森を進む?」
「そうしよう。」
「これは、オドンについても油断できないな。オドンより手前から、ラジリエンと繋がる森に入ろう。」
僕たちは森の中を進んで、ラジリエンと繋がる森に近づくと、街道に出た。
オドンの手前の街の門には行列ができていて、みんな何か噂していた。
こっそり入ってご飯でも買おうかと思って近づくと、噂は僕たちのことだった。
「クシュの街長が冒険者パーティーを探してるらしい。なんでも大人2人と子供の3人組らしい。」
「子供がいるならすぐ見つかるだろう。」
「クシュの街長か・・・、いい噂は聞かないな。その冒険者たち可哀想にな。」
「探してるって、見つけてどうするんだ?冒険者だろ?美女なのか?」
「いや、3人とも男らしい。」
「戦わせて金を賭けて楽しむとか、拷問の実験や毒の実験に使うとかじゃねえか?」
「それは可哀想だな。」
「かなり広範囲に探してるみたいだ。」
「噂には尾ひれが付くというが、かなり危ない話が出ているな。街には入らず森に入ってラジリエンを目指そう。」
「うん。そうだね。」
僕たちは街でご飯を買うのは諦めて、森に入ってラジリエンを目指した。
「シュペア、3人分の結界をずっと使っているが魔力は大丈夫か?索敵も使ってるんだろ?」
「大丈夫。見つかったら大変だから、お昼くらいまでは使わせて。」
「無理はするなよ。」
きっとお昼くらいまでならもつと思う。
僕は少しでも魔力を回復させるために、結界も索敵も使ったまま、ゆっくり魔力循環を始めた。
難しい・・・。
でも、頑張らないと。今見つかるわけにはいかない。
それにこの状態なら、魔獣に見つかることもなく素通りできるかもしれない。
「この先にサイクロプスがいる。でも今は結界張ってるから、少し方向をずらしてそのまま素通りしてみよう。」
「あぁ、やってみよう。」
慎重にならなきゃいけないから、僕は魔力循環をやめて、結界と索敵に集中した。
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