65. 2度目の護衛依頼1/2
翌朝、冒険者ギルドに行くと、護衛の依頼がいくつかあった。
「護衛依頼、受けてみるか?」
「いいよ。」
「あぁ。」
「オドンの方に行く依頼がいいね。」
「そうだな。」
「これは?」
「それにするか。」
「あぁ。」
「これお願いします。」
「はい。受け付けました。細かい打ち合わせは依頼主の方とお願いします。」
「分かりました。」
僕たちは、商人の護衛依頼で、ハーブルから馬車で2日の距離のクシュの街まで行く依頼を受けた。
オドンとは少し離れるけど、方向的には1番オドンに近い街までの依頼だった。
「今日一日、暇になったな。何か買っておくものはあるか?」
「あ、ポーション買いたい。」
出発は明日だから、今日はやることがない。
ポーションは買ったけど、それで用事は終わってしまった。
「依頼人に詳細聞きに行くかー。」
「そうだな。」
「うん。」
僕たちは依頼主のお店に向かった。
「ここだな。」
「こんにちは。明日の護衛依頼を受けた冒険者です。」
「ちょっと待ってろー」
「はーい」
奥からおじさんの声が聞こえた。
僕たちが入り口で待っていると、ちょっと太ったおじさんが出てきた。
「君たちが護衛依頼を受けてくれた冒険者か?」
「はい、そうです。よろしくお願いします。」
「子供がいるパーティーか。珍しいな。まぁいい。仕事さえきちんとしてくれれば文句はない。」
「僕たちがおじさんも荷物もちゃんと守るね。」
「馬車での移動と聞いているが、人数はあなたと御者の2名か?」
「いや、もう1人手伝いの奴がいるから3人だ。」
「分かった。出発時間は夜明けでいいか?」
「あぁ。夜明けに門のところで頼む。」
「承知した。他に何か積荷や行程など注意点はあるか?」
「できるだけ早く到着したい。何かトラブルがあっても、明日の夜にはチチェクまでは行きたい。
野営は無しで。」
「分かった。できる限り対応しよう。」
「助かる。では明日よろしく。」
護衛の話は1番慣れてるルシカが全部してくれた。
僕も、大人の人と色々打ち合わせができるようになりたいな。
「僕、ギルドに行ってもう一度地図を確認したい。」
「そうだな。魔獣と盗賊の情報も確認しよう。」
「あぁ。」
ハーブル近郊は盗賊はいないらしい。ハーブルが栄えたから、領主が盗賊を厳しく取り締まってるんだって。
離れるといるかもしれないから、ちょっと注意が必要。
魔獣も、街道沿いにはホーンラビットやスライムくらいしか出ないみたい。
野営をする時に肉を焼いたりすると、ウルフが寄ってくることがあるから気をつけるよう言われた。
前にレーマンで受けた護衛依頼と同じ感じかな?
街の位置や名前、クシュまでの道順をメモして僕たちは冒険者ギルドを後にした。
「アイス食べに行く?明日は朝早いし食べれないから。」
「そうだな。」
「暑いし丁度いいな。アイス食べて、ちょっと寛いで夕飯食べたら早めに宿に帰って寝るかー」
「そうだね。明日早いもんね。」
「そうだな。」
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「晴れてよかったね。」
「そうだな。」
街の門の前で待っていると、馬車がこちらに向かって走ってきた。
「おはよう。」
「「「おはようございます。」」」
「待たせてしまったかな?」
「いえ、大丈夫です。」
「1人は御者の隣に、2人はちょっと狭いが荷馬車の後ろに乗って。」
「分かった。」
「じゃあさっそく出発しよう。」
まずはゲオーグが御者さんの隣に乗った。
僕は薄く索敵を広げていった。
商人のおじさんは急いでるみたいで、お昼まで休憩無しで馬車は走り続けた。
ハーブルからまだそんなに離れてないから、魔獣も盗賊も出会うことはなく進めた。
「そろそろ昼休憩を取ろう。停まれそうなところがあればそこで休憩しよう。」
商人のおじさんが御者さんに伝えてた。
街道脇にある停車できる場所に馬車が停まると、商人のおじさんは、みんなにサンドイッチの包みを一つずつ渡してくれた。
「ありがとう。」
「しまった!水を忘れた。私たちは我慢すればいいが馬にやる水がない。あぁ、どうしよう・・・。
おい、近くに川は無いか?」
「この付近にはありませんね。まだ次の村までもかなりあります。」
「あの、おじさん、僕が水出そうか?」
「出せるのか?」
「うん。出せるよ。」
「助かる。じゃあこの桶に頼む。こっちにも頼めるか?」
僕は馬が飲む用の水を桶に溜めて、みんなのコップにも水を入れていった。
「ありがとう。君がいてくれて良かったよ。
いつもはこんなことは無いんだが、急いでいて忘れてしまった・・・。」
そんなに急いでたんだ。
早く着きたいって言ってたし、商人さんは大変なんだな。
「さぁ、もう出発しよう。今日中にチチェクか、次の街まで行きたい。」
今度はルシカが御者さんの隣に座った。
荷台が狭いから、ゲオーグはちょっとキツそう。
「ゲオーグ大丈夫?」
「あぁ、ちょっと狭いが大丈夫だ。」
「まだこの辺は安全みたいだね。」
「あぁ、チチェクを過ぎると他領に入るから、そこからは注意が必要だな。」
僕はまた索敵を薄く広げていった。
太陽が真上に差し掛かると、かなり暑い。
ゲオーグはこの前お揃いで買ったハンカチをさっそく使って汗を拭いていた。
「おや、そのハンカチはハーブルのものですか?」
「えぇ、先日ハーブルで買いました。肌触りも良くて水分もよく吸うので使いやすいですね。」
「この荷物、袋の中身はほとんどそのハンカチなんですよ。」
「そうなんだ。急いでるのは夏が近いから?」
「まぁそれもあるだろうが、弟の商会がクシュにあるんだが、そこで取り扱いを始めたらクシュでも人気が出てね。
初めは平民の使うものだから興味が無かったんだけど、突然街長の男爵が大量に欲しいと言い出してね・・・。」
「そうなんだ。それで急いでたんだね。」
「そうなんだよ・・・。だから、少しでも早く届けなければならないんだ。
まったく貴族の我儘に振り回されるこっちの身にもなってほしいものだよ。」
クシュは我儘な貴族がいる街みたい。
ちょっと不安だな・・・。
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