58. 初めてのラミア討伐
「あ、この岩、同じのが中隊のワークスペースに置いてあった。」
「これか?鉄鉱石だよな?」
「なんでそんなものがワークスペースに置いてあったんだ?」
「ん〜、分かんない。でも置いてあったよ。大きいのが。」
「まさかとは思うが、ラジリエンから誰かが持ち帰ったのか?」
「それはないだろう。こんなものを持ち帰る理由がない。」
「だよな。」
「もしかしたら鉄鉱石じゃなかったのかも。帰った時に誰かに聞いてみる。」
「それがいいな。」
「おーい、ギルドに行くよ〜」
「はーい。」
「そっか。ラジリエンは暖かいから、冬でも魔獣が出るんだね。」
「そうだね〜。
う〜ん、トレントの討伐依頼はないね。やっぱトレントはまだかな〜?ハーピーやラミアはやっぱり残るよね〜」
「ハーピーとラミアって、女の人の顔してる魔獣?」
「そうだね〜、綺麗な女の人の姿で誘惑するとか言われてるから、みんな避けるんだけど〜、幻惑の魔術を使ってるだけで、実際見ると全然綺麗な女の人じゃないよ〜
なんていうか、老婆みたいな?」
「あぁ・・・どちらかというとゾンビのような酷く歪んだ顔つきだな。」
「ゾンビ・・・。」
「あれ〜?もしかしてゲオーグ、アンデット系苦手?」
「いや、・・・大丈夫だ。」
そっか。ゲオーグはアンデット苦手なんだ。
僕は分からない。まだ遭ったことないし。
幻惑の魔術か。そんなのあるんだ。
あ、でも領主様がクンストで変装の魔術使ってたから、それも幻惑の魔術の一種なのかも。
「ハーピーかラミア受けてみる〜?」
「僕はいいよ。ルシカとゲオーグはどう?」
「無理だったら僕らが倒してあげるよ〜」
「受けてみようか。」
「そうだな。」
「ハーピーは空を飛ぶから、シュペアの負担が大きいし〜、ラミアにするか〜」
ルヴォンはすぐに依頼の紙を剥がすと受付に持っていった。
「じゃあいこ〜」
「走らないの?」
「え?もしかして君たち、移動はいつも走ってるの?」
「そうだよ。早く着いた方がいいし。疲れたら回復かければいいから。」
「なんかいいな〜、シュペアがいると回復までかけてもらえるんだ〜?」
「あぁ、確かにそれは羨ましいな。」
「よ〜し、走るか〜。」
僕たちは走って森に向かって、森の中も走って移動していった。
ラジリエンは暖かいけど、冬はやっぱり魔獣の動きが抑えられるのかも。
動いてる魔獣は少なかった。
「蛇みたいなのがいる。4体いる。」
「お?ラミアかも〜」
「僕についてきて。あと2キロくらいだから。」
「シュペアいると助かるわ〜」
「あ、」
たぶんラミアだ。女の人の上半身だけど、下半身は蛇だった。
これが幻惑の魔術なんだ・・・本当に女の人に見える。
でも、これは偽りの姿。これは魔獣なんだ。
大丈夫。僕はどんな魔獣が襲いかかっても負けない。
ちょっと嫌な感じはしたけど、いける。
「あの姿は幻惑だからね〜
惑わされちゃダメだよ〜」
「分かった。ゲオーグ行けるか?」
「あぁ、大丈夫だ。」
蛇の尻尾の動きが早くて、攻撃も重かったけど、僕は槍でグッと何度も突き刺して、ラミアを弱らせていった。
最後は胸に槍を刺して終わった。
ラミアが倒れると、幻惑の魔術も解除されて、全然女の人じゃない醜く歪んだ姿になった。
本当の姿はこんなだったんだ・・・。
ルヴォンは闘わず見てたみたい。ルシカとゲオーグとグレルが1体ずつ倒してた。
「おつかれ〜どうだった〜?全然女の人じゃなかったでしょ〜?」
「倒してみれば、人には似ても似つかない魔獣の顔だったな。」
「大丈夫そうだね〜。ラミアが大丈夫なら、ハーピーも飛ぶって違いはあるけど同じようなものだし〜
そっちもいけそうだね〜」
「あ、何か鳥の魔獣が飛んでくる。イーグルかな?」
攻撃のターゲット設定ってどれくらいの距離までいけるんだろう?
でも、今倒しても、取りに行くのが大変かも。取りに行く前に他の魔獣が寄ってきたりしたら困るし。
見渡しのいい荒野とかじゃないと使えないかも。
見えたのはシルバーイーグルだった。
「な〜んだ。ハーピーかと思った〜」
「シュペアなら魔術使えば一撃でいけるんじゃないか?」
「たぶんできると思う。」
「それは凄いね〜、見せてよ〜」
「分かった。」
僕は氷の槍を出現させると、イーグルの心臓にターゲット設定をして魔術を放った。
グギャァァァ
風の魔術、今度は上手くいくかな?
下から少し巻き上げる感じで落下速度を落としながら・・・。
む、難しい。
風で包んで運ぶ感じなら・・・。
あ、いけるかも。
そっか。風で包んで誘導すればよかったんだ。
風で誘導しながら、落ちてくるイーグルを僕たちの目の前に下ろした。
「お〜やるね〜、ここに下ろしたところが特に凄いね〜」
「この前は失敗して潰れちゃったから・・・今日は上手くできてよかった。」
「しっかしトレントはいないね〜、いた形跡もないよね〜」
「形跡?」
「木って根が土に埋まってるでしょ〜?トレントも根の部分がちょっと埋まってるから、移動すると土がちょっと掘り起こされちゃうんだよね〜」
「そうなの?それならすぐに見つけられそう。」
「移動しないと全然分かんないけど〜。
夏は草の成長が早いから、すぐに草が伸びて形跡が隠れちゃうんだよね〜
人とか魔獣が歩き回っても消えちゃうし〜、目安程度にしかならないのが現実だけど、それでも目安になるだけいいよね。
ん〜だからかは分かんないけど〜、冬は少ない気がする〜」
「そっか。冬は少ないなら、一旦帰ろうかな。次いつ帰れるか分からないし。」




