56. 討伐依頼の消化
グリフォン討伐の報酬は、僕の分だけ後でもらった。
僕がギルドや貴族に目を付けられないよう、討伐に参加したみんなが庇ってくれたんだって。
みんな優しいな。冒険者になってから会う人はみんな優しい。
世の中にはこんなに優しい人がたくさんいるなんて知らなかった。
領主様は困ってる領民を助けてた。僕もその手伝いをしたい。
だから僕はもっと強くなって、もっと勉強して、たくさんのことを知らなきゃいけない。
グリフォンがいたせいで、魔獣がなかなか森に戻ってこなかった。
1週間くらい待つと、少しずつ魔獣が戻ってきたから、僕たちはグリフォン討伐前に受けたブラックイーグル討伐に向かった。
ルヴォンとグレルも一緒に付いてきた。
共闘しようって、槍での戦い方を教えてくれるって言ってたから、その約束を守ってくれるんだ。
ブラックイーグルはシルバーイーグルの色違いだから、きっと弱いんだろう。
ブラックイーグルは見つけたら倒すけど、それよりトレントを探したいな。
「ルヴォンとグレルはトレントと戦ったことある?」
「トレント〜?あるよ〜。ラジリエンだっけ〜?。オドンにもいるらしいけど、オドンではまだ見たことがないな〜。」
「だな。トレントを探しているのならラジリエンに行った方がいいぞ。」
「そっか。」
「シュペアはなんでトレントを探してるの〜?」
「僕の槍の柄をトレントにしたいんだ。魔力が通りやすい槍にしたいから。」
「そっか〜。トレントが柄の槍か〜。珍しいものが欲しいんだね〜。」
「たぶん売ってないから、トレントと、魔力を通しやすい金属を見つけて鍛冶屋さんにお願いするの。」
「確かに〜、売っているのを見つけるより、そっちの方が早いかも〜。」
「あ、ブラックイーグルがいる。」
「ん?どこだ?」
「まだ見えない。5キロ先だから。
でも逃げちゃうかもしれないから走る。ルシカ、ゲオーグ、かけるよ。
ルヴォンとグレルは身体強化いる?」
「かけてもらえると嬉しいな〜」
「うん、じゃあかけるね。」
僕はみんなに身体強化をかけると、ブラックイーグルに向かって走り出した。
ターゲット設定、何本までできるか試したいな。
でもブラックイーグルは1体しかいない。
これは僕が地上に下ろしてルシカとゲオーグに倒してもらおう。
「僕がブラックイーグルを下ろすから、ルシカとゲオーグは落ちてきたところをお願い。」
「おぅ。」
「任せとけ。」
ターゲット設定をして氷の矢を2本出すと、イーグルに向けて放った。
ギシャアァァァァ!
翼に穴が開くと、イーグルはすぐに落ちてきた。
待ち構えていたルシカとゲオーグが、イーグルをすぐに倒した。
やっぱりイーグルは弱かった。
何かの群とかいたらいいんだけど・・・。
そんな都合よく魔獣の群はいなかった。
もっと森に魔獣が戻ってこないとターゲット設定の練習はできないかも。
「まだ魔獣が少ないね。」
「そうだな。」
「シュペアたちはいつまでオドンにいるの〜?ずっとオドンにいるわけじゃないんでしょ〜?」
「うん。トレントを探しに来たんだけどいないから、もう少ししたらラジリエンに行く。ルヴォンとグレルはずっとオドンにいるの?」
「僕らもずっとオドンにいることは考えてないな〜。確かに強い魔獣もいるけど、同じ魔獣ばっかり相手にしてるのはつまんないでしょ〜?」
「そっか。次はどこに行くの?」
「うーん、トルーキエは冬の寒さが辛いから、暖かい場所に行こうかな〜?ね〜グレル。」
「あぁ。そうだな。次行くとしたらラジリエンかインディール辺りだな。」
「そっか。」
「僕らは年明けに移動するけど、シュペアたちも一緒に行く〜?」
僕はルシカとゲオーグを見た。
僕だけの意見では決められないし。
「いいんじゃないか?」
「あぁ、そうだな。」
「うん。じゃあ一緒に行く。」
「じゃあ決まりだね〜。次はラジリエンでトレント狩りか〜」
冬が近づいていたこともあって、オドンの森に魔獣はあまり戻ってこなかった。
たぶん春になったら、いっぱい戻ってくるんだと思う。
僕たちは、たまに森で模擬戦をやったりして年を越すとラジリエンに向かった。




