55. グリフォン討伐3/3(ルシカ視点)
「ねぇ、彼は何者なの〜?本当に11歳なの〜?」
「あぁ。そうだ。シュペアは11歳だ。何者と言われてもな、今は冒険者だとしか。」
ルヴォンが俺らに話しかけてきた。
「そっか〜。街長やギルドには黙っておこうと思うんだけど〜。」
「そうしてもらえるとありがたい。変なやつに目をつけられるのは困る。」
「そうだよね〜。僕らのパーティーに誘いたいくらいだけどやめておくよ〜。
あの容姿だし、魔術の腕があれだとね〜。対策してる〜?狙われるよ〜?」
「一応対策はしているが、最悪の事態に陥るようなことがあれば身体強化を使って全力で逃げるつもりだ。」
「そっか〜。その時はできる限り協力するよ〜。彼には助けられたし〜。」
「俺も助けられた。彼の助けがなければ危うかった・・・。」
「ありがとう。」
「他の冒険者も彼にかなり助けられてるよね〜。みんなで彼を守ろうよ〜。」
「そうして貰えるとありがたい。」
ルヴォンとグレルは、他の冒険者を集めると、シュペアの扱いについて話し合ってくれた。シュペアは索敵のみをして討伐には参加していないということで口裏を合わせてくれて、報酬は後でシュペアにくれるそうだ。
「エトワーレの国や騎士団を敵に回すか?と脅すことはできるけど、それでも何も起きない方がいい。」
「そうだな。」
シュペアはゲオーグの背中でスヤスヤと眠っていて、その姿を見るとまだシュペアは子供なんだと思い出す。
「疲れたんだろうな。ぐっすり眠ってる。一番駆け回ってたし、魔術も色々使ってたし。」
「怪我した奴を後方に退かせたりもしていたな。」
「冒険者たちが協力してくれることになってよかった。」
「あぁ。今日のシュペアの活躍をそのままギルドに伝えられたらと思うと、街まで戻らず森を抜けて国境を越えることを考えていた。」
「だよな、俺もそれを考えてた。どこでこの集団から自然に抜けるかをな。」
「なぁゲオーグ、子供はこんなに寝るのが普通なのか?」
「いや、分からん。今まで俺たちと同じ生活リズムで過ごしていたから気付かなかったが無理していたのかもしれない。」
シュペアは野営地で夜を明かし翌朝になっても起きなかった。
「今まで対峙したことのないような強敵を目の前にしたんだ。疲れは相当なものだったんだろう。」
「そうかもしれんな。」
ゲオーグはまたシュペアを背負って歩き始めた。
負傷者はヒーラーやポーションで治療して、幸い死者も出ず、引退するような大怪我を負った者もいなかった。
「もうすぐ日が暮れちゃうけど〜、あと10キロ無いくらいだからさ〜、このまま街へ向かおうよ〜。」
ルヴォンが野営せず街を目指すことを提案すると、それに異を唱えるものはいなかった。
松明を翳しながら俺らは街に向かって歩き続けた。
いつもはシュペアが身体強化をかけてくれたり、自分たちでかけることもあるが、移動はだいたい走っていた。それに暗くなればシュペアがライトを浮かべてくれる。
そうだよな。シュペアと出会うまではこんな感じだったな。
シュペアに会って俺も変わったな。
「それにしても起きないな。」
「だな。もう丸1日以上寝ているぞ。大丈夫なのか?」
「大丈夫かは分からないけど、苦しそうな様子はないな。」
「明日の朝になっても起きないようなら、さすがに起こそう。」
「だなー。」
「僕、いつ街に帰ってきたの?覚えてないんだけど・・・」
「あぁ、シュペアは寝てたからな。街に着いたのは昨日の夜中だ。」
「そっか。もしかしてゲオーグがずっとおんぶしててくれたの?」
「あぁ、まあな。」
「ゲオーグ、ありがとう。」
翌朝、戸惑いながらも元気そうな姿を見せるシュペアに安心した。




