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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
初めての旅

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53. グリフォン討伐1/3


グリフォンの討伐は明日のお昼にギルドに集合することになった。


理由は距離だった。

報告ではグリフォンまでの距離は35キロ。

朝にギルドを出ると、次の日の夜に着くけど、夜に戦闘はできないしグリフォンの近くで夜を明かすのは危険だからだって。

お昼に出て10キロくらい歩いて、次の日に20キロ歩いて、その次の日の朝になってまた歩い丁度いいくらいの時間になるらしい。


そっか。戦いのために魔力を温存しなきゃいけないから、身体強化を使って走って行ったりしないんだね。

あれ?でもそれなら初日は身体強化使って走ってもいいんじゃないかな?

大勢だからかな?ジムナーシアでのオーク討伐の時もゆっくり歩いてて、それが普通だって言ってから、移動には身体強化を使いわないのが普通なのか。

ゆっくり歩いてたら、魔獣が移動しちゃわないか心配。


「明日はお昼からだから、朝にちょっと模擬戦できるかな?」

「いいぞ。」

「ちょっと身体動かしておきたいな。」


今日は夜にちょっと魔術の練習をしたい。

攻撃の魔術は危ないからできないけど、結界とか、ちょっと指先に火を灯すとか、水を出すとか、宿でもできることは色々ありそう。




夕飯を食べて宿に帰ると、僕はルシカとゲオーグに魔術の練習をしたいと伝えて、色々試してみた。

結界と索敵の併用はできた。重力操作と索敵、重力操作と結界はできた。

でも、火や水や氷はできなかった。


ミランが言ってたみたいに、薄く広げていく魔術同士ならやりやすいみたい。

グリフォンの討伐が終わったら、攻撃の魔術も同時に使えるよう練習しよう。


翌朝、僕たちは森の浅い部分に行って模擬戦をしてからギルドへ向かった。




ギルドには30人くらいの人が集まっていて、Aランク冒険者のルヴォンとグレルや、ジム戦士の3人もいた。

調査隊の人は、ゲオーグが背負って帰った人はいなかったけど、あとの2人は参加するみたい。道案内かな?


やっぱり移動はとってもゆっくりだった。

退屈だな。今日は魔術を使う予定はないし、結界と索敵を同時に使いながら歩こう。

どれくらいの時間使えるのか試してみたいし。

単純に2つ使うと倍の魔力が減るってわけじゃないみたい。

結界と索敵はあまり減らない。重力操作は結界や索敵と合わせると倍よりもっと減る感じがした。


1日目は日が暮れる前に野営地を決めて、交代で見張をしながら寝ることになった。

早い時間はまだみんな眠くないから、大勢の人で焚き火を囲んで、色々な人と話した。

ゲオーグが隣にいてくれたから、嫌なことを言われたりはしなかったけど、僕が子供だから変な目で見られることはあった。


早く大人になりたいな。もっともっと強くなって、見た目もゲオーグみたいに強そうになったらいいな。


次の日も朝から僕は魔術の練習をしながら歩いた。

明日はいよいよ災害級の魔獣と戦うんだ。

これだけ多くの人と戦うって、どうやってやるんだろう?僕には何ができるんだろう。


「ルシカ、ゲオーグ、戦うときこんなに沢山の人がいて、どうやった戦うの?」

「ん?あぁ、そうかシュペアは大勢で戦ったことはなかったか。

グリフォンは大きいから、みんなで周りを取り囲んで、交互にヒットアンドアウェイを繰り返しながら戦うんだ。」

「他の人と合わせて声をかけながら戦うんだ。」


「そっか。僕は槍で戦えばいい?魔術の方がいい?」

「どうだろうな。グリフォンは飛ぶから、最初は魔術師や弓が翼に穴を開けて地上に引き摺り下ろすんだ。空を飛んでいるときは魔術を使って、地上に下りたら槍を使えばいいんじゃないか?」

「そうだな。走り回って戦士が引いた隙に魔術を撃ってもいい。」


「そっか。空を飛ぶんだね。地上に下ろさないとみんなが戦えないから、頑張って下ろすね。」

「シュペアを目立たせたくはないけど、相手がグリフォンだから仕方ないかー。」

「あぁ。最悪は森か隣国に逃げればいいしな。」


その日も日が暮れると、みんなで焚き火を囲んで順番に見張りをして寝た。




「あ・・・」


朝起きて索敵を広げていくと、禍々しい嫌なものがヒットした。

もうここから5キロもない。たぶん2キロくらい。

これはダメなやつだ。背中を冷たい汗が伝った。


きっとまだ僕には倒せない。ロック鳥もちょっと悪い感じがしたし、オークナイトも悪い感じがしたけど、そんなの比べものにならないくらい。

初めて、命の危険があるかもしれないと思って、指先が少し震えた。



「どうした?シュペア、顔が真っ青だぞ。」

「ここから2キロ先にいる。たぶんあれがグリフォン。」

「近いな。報告より近づいてきていたのか。」


とにかくルヴォンとグレルに伝えなきゃ。


「ルヴォン、グレル、グリフォンは2キロ先だよ。」

僕は声に魔力を纏わせてルヴォンとグレルに伝えると、すぐにルヴォンとグレルが僕のところまで来た。



「シュペア、グリフォンまで2キロって本当〜?」

「うん。」

「思ったより近いね〜。すぐに戦える準備を整えないと、あいつがみんなに気づいたら一瞬で距離を詰められちゃうよ〜?」


「シュペア、大丈夫〜?無理しちゃダメだよ〜。」

「うん。大丈夫。僕の他に魔術師は何人いるの?できればみんなで一斉に翼を攻撃してグリフォンを地上に下ろしたい。」


「そうだよね〜。空から攻撃されるとこっちは防げないからね〜。地上に下ろさないと僕らも戦えないしね〜。」

「だな。」


「戦士が多いように見えたよね〜、みんなに準備を促しつつ確認してくるから、ちょっと待ってて〜。」

「うん。ルヴォンお願い。」



「シュペア、怖くないのか?まだ11歳だろ?」

「うん。僕はまだ子供だけど、怖いけど、でも強くなりたい。強くなりたいから僕もちゃんと戦う。」


グレルが心配してくれたけど、僕は大丈夫。強くなりたいから頑張るんだ。



「そうか。偉いな。」

「シュペアは偉いな。」


グレルとの話を横で聞いていたルシカとゲオーグが頭を撫でてくれた。

そしたら温かい気持ちが流れてきて、少し落ち着くことができた。



「グレル、シュペア、不味いかも〜。魔術師は他に2人だけだった〜。弓は3名いたんだけど、グリフォンの翼を弓でどうにかするのは無理だよね〜。牽制や誘導くらいだよね〜」

「その魔術師とお話しできる?」


ルヴォンが連れてきてくれた魔術師は、細身で成人を過ぎたくらいの綺麗な紫の髪で、僕より濃い青の目のお兄さんと、ジム戦士のビュー。

2人ともグリフォンが近いことに気づいているみたいで、真っ白な顔で震えていた。


「大丈夫?」

「あ、あぁ・・・、い、いや、俺には無理かもしれない。この禍々しい気にあてられただけで・・・。と、とても目視できる距離まで近づいて魔術を撃つことはできない・・・。」

「お、俺は攻撃魔術はほとんど使えないんだ・・・ヒーラーだから・・・。」


ヒーラーってことはビューは治癒魔術が得意なんだ。凄い。



「ヒーラーに攻撃は無理だよね〜。もう1人も、この状態で前に出すのは可哀想か〜。そうなるとシュペアしかいないけど、1人で前に出すわけにはいかないよね〜

あいつは空中でも動きが早いからね〜。シュペアの実力が分からないけど、1人で撃った魔術が一撃当たった程度で地上に下ろせるとは思えないし〜

何度も魔術で狙ってもらうことになると思うけど〜、その間シュペアを守る役目が必要だね〜。」


「それなら俺らがシュペアを守る役をやる。」

「あぁ。そうだな。」


ルシカとゲオーグが僕を守流って言ってくれた。


「君らのランクは?」

「俺らはBだ。」


「そうか。2人ではキツいかもしれん。俺も加わろう。」

「グレルよろしく〜」


ルシカとゲオーグの他にグレルが加わってくれることになった。



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