49. オドンの街
「とりあえず、目立つような活動はなるべくしないようにしよう。ジムナーシアの伯爵はいい人だったし領主様の友達だったから良かったが、ギルマスのように取り込みに来るやつはいるってことが分かった。」
「そうだな。」
「トレント討伐はしても大丈夫かな?」
「どうだろうなー。冒険者ギルドの様子を見てから考えるか。」
「そうだな。レーマンのように高ランクが多くいるようなギルドなら目立たないだろうし、クンストのような魔獣が少ないギルドなら、討伐依頼は受けずに森でトレントの素材だけ確保するという手もある。
心配するな。ギルドに報告せず素材だけ確保する方法もあるからな。」
「うん。そっか、別に討伐しても依頼じゃないなら報告しなくていいんだね。」
「あと心配なことは、もしかしたらシュペアはギルドに行けばCランクに上げられてしまうかもしれない。ロック鳥やハイオークを1人で倒せる実力があることはギルドに知られているだろうし、Dにしておくとは思えない。」
「未成年でCランクか。全くいないことはないが、11歳でCとなるとかなり珍しいからな。」
「そうなんだ・・・」
「オドンがどんなところかにもよるが暫く冒険者の活動は制限するか?金なら十分あるし、無理して依頼を受ける必要はない。俺らの目的は強くなることと広い世界を見て回ることだからな。」
「そうだな。ゲオーグいいこと言うなー。依頼を受けることよりも戦闘技術を高めたり色々な国の文化を学ぶ方を優先してもいいかもしれない。」
「僕はいいけど、2人もそれでいいの?きっと2人ならすぐにAランクに上がると思うんだけど。」
「問題ない。Aランクに上がることより、このパーティーで楽しく旅をすることや、強くなることの方が重要だ。」
「だなー」
「うん。」
「さぁ、次の街まで走ろう。」
「うん。」
「ゲオーグもシュペアも元気だなー。行くか。」
僕たちは走り出した。
「ここがラジリエンとの国境に1番近い街のオドンだね。」
「意外と大きいなー。」
「ってことはあの向こうに広がる森にトレントがいるのか。」
僕たちはオドンの街に入り、冒険者ギルドに寄った。
昼過ぎだっけど、少し人がいて、チラッと僕たちを見る人はいたけど何か噂されるようなことはなかった。
「すみません、この辺りの魔獣の情報はありますか?」
「街周辺はボアやホーンラビットくらいですが、森の深くまで行くと、ウルフの群、ベアやトレント、ハーピーやイーグルなどの鳥系の魔獣、トロールやラミアも確認されています。」
「お姉さんありがとう。」
「どういたしまして。」
やっぱりトレントはいるんだ。
ハーピーって鳥とラミアってのはどんな魔獣なんだろう?
「依頼はあんまりないね。やっぱり朝来ないといけないのかな。」
「そうだな。しかし、ハーピーやラミアがいるのは面倒だな。ゲオーグ、いけるか?」
「戦ったことがないから分からないが、奴らは魔獣だし出会したらやるしかない。」
「ハーピーとラミアはどんな魔獣なの?」
「ハーピーは鳥なんだが顔が人間の女性のような顔なんだ。ラミアは上半身が女性で下半身が蛇だと言われている。俺も実物は見たことがないが、女性をやるのはきついな・・・。」
「俺も見たことはない。聞いたことがあるだけで・・・。本当に人間に近い姿なのか、人間に見えなくもないという程度なのかによって違うな。」
「そっか。確かに人間に近い女の人だったら戦いにくいね。」
「だよなー。」
「あまり会いたくはないな。」
僕たちはその日は日暮も近かったので、宿をとって夕飯を食べると、宿に帰ってのんびり過ごした。
「混んでるな。」
「あぁ。高ランクも多そうだな。」
「ゲオーグ分かるの?」
「俺を見ても何の反応もしない奴が多いからな。弱い奴は俺を避けたり、あからさまに目を逸らしたりするからな。」
「そうなんだ?」
「成人前のような若い奴も多いな。」
「確かに。僕より少し上くらいの人もたくさんいるね。」
「ここならシュペアも俺らも目立たないかもな。」
「そうだな。トレントを狩るまではオドンで過ごすか。何かあればすぐ国境を超えて逃げられるし。森に逃げるって手もあるか。」
「トレントの依頼はないね。」
「そうだな。」
「やっぱり鳥系は残るよなー。」
「引き摺り下ろすまでが大変だからな。」
「僕は鳥でもいいよ。」
「じゃあトレントを探しつつ鳥でも狩るか。」
僕たちはブラックイーグルの討伐依頼を受けることにした。
やっぱり山より森の方が歩きやすい。
僕は薄く索敵を広げながら歩いた。
「トレントって木だよね?どうやって他の木と見分けるの?」
「近づくまでは分からないな。枝や根が襲いかかってきてから、その位置を元に本体を探すのが一般的らしい。木の根元を切断すれば倒せる。」
「魔術は使うの?」
「特殊な進化をした個体でない限り使わないな。」
「じゃあ索敵にも引っ掛かるか分からないね。」
「そうだな。常に注意しながら進もう。」
「あぁ。」
僕たちは森の中を色々探して回ったけど、トレントには出会えなかった。
「ブラックイーグルもいないね。」
「あぁ。」
「なんか魔獣少なくないか?」
「そうなの?」
「いろんな魔獣がいると聞いていたから、もっと出会いそうだと思ってな。
冒険者も多かったし。」
「確かにこれだけ何にも出会わないのは不自然と言えば不自然だな。」
「もう少し索敵を広げてみるね。」
「あぁ。魔力は大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
僕は索敵を3キロから7キロまで広げたけど、何も見つからなかった。
「冒険者はいるみたい。でも、魔獣とか他の動物はいない。」
「初めて来たから、これがこの森の通常なのかおかしいのかが分からないな。」
「冒険者は近いのか?聞いてみようぜ。」
「東に300メートルくらいのところにいる人たちが一番近いかも。」
「そいつらに聞いてみるか。」
「おーい、そこの冒険者、ちょっと聞きたいんだが。ちょっとそっちに行ってもいいか?」
急に目の前に現れて攻撃されても困るから、ルシカは大声で叫んだ。
『いいぞ~』
良かった。きっといい人だと思う。




