47. オーク討伐クエスト3/3
治安部隊の隊長さんと話をしながら歩いていると、オークの群が索敵に引っかかった。
「あ・・・。」
「どうかしたのかい?」
「昨日、群の内訳はオークナイト1体、ハイオーク4体、オーク20体って聞いてたんだけど、もっと多いみたい。」
「え?君は索敵も使えるのか?魔力は大丈夫?」
「うん。」
「内訳は分かるかい?」
「うん。オークナイトとハイオークの数は昨日聞いた通りだよ。
ただのオークは20じゃなくて30いる。」
「30・・・」
「隊長さん大丈夫?」
顔色を悪くして固まってしまった隊長さんが心配で声をかけてみたけど、返事は無かった。
ルシカとゲオーグも僕たちの会話を聞いていたみたいで、難しい顔をしている。
「どうしたの?35体だけど、こっちは40人くらいいるから大丈夫じゃない?」
「いや、全部ノーマルならいいが、ハイオークとナイトがいるから40人程度じゃ厳しいかもしれない。」
「そうだな。ロック鳥を見た時のみんなの反応からして、ここにAランク冒険者はいない。下手したらBランクも俺ら2人だけかもしれん。
治安部隊は分からないが、冒険者がみんなCかDだと厳しい。」
「それだと、オークナイトはルシカとゲオーグが倒すことになるの?」
「・・・そう、なるかもしれない。」
「僕はハイオークを倒せばいい?」
「そうだな。もしまだ魔力に余裕があるなら、昨日ブルーウルフを倒した時のように、最初にノーマルを何体かやってくれれば、他の連中も余裕が出るかもしれない。」
「うん。魔力はまだ大丈夫だよ。じゃあ僕が一番最初にたくさんの矢でできるだけ多く倒すね。」
「あぁ。できるか?」
「さっきロック鳥を倒したんだ。無理はするなよ。」
「うん。分かった。」
「シュペア君、すまない。また君に頼ることになってしまって。」
「気にしないで。」
僕がもっと強かったら、みんながもっと安全に戦えたのに。
もっと強くなりたい。
「隊長さん、僕が最初にできるだけ多く魔術で倒すから、僕が魔術を放ったタイミングでみんな一斉に戦闘に移ってほしい。
あとね、他に戦いたい人がいなければ、オークナイトはルシカとゲオーグに任せてほしいの。
もしできるなら、そこに他のオークが近づかないようにしてほしい。
冒険者20人と治安部隊の半分はノーマルのオークを、ハイオークは残りの治安部隊と、僕も魔術を放ったらハイオークに向かうから、ハイオークを先に倒して、その後みんなでノーマルのオークを倒せばいいと思う。」
「シュペア君、君は何者なんだ?
そんな戦術の組み立てまでできるんだな。よし、その作戦でいこう。」
「僕はまだ子供だから、僕が言ってもみんな聞いてくれないかもしれない。だから、隊長さんに指示をお願いしてもいい?」
「あぁ。ロック鳥を倒しているのをみんな見ているから、聞かない者なんかいないと思うけどな。しかし確かに年下からの指示には反発する者もいるかもしれない。私が指示を出そう。」
「ありがとう。」
隊長さんは、治安部隊の人たちと、冒険者の人たちに話をしにいってくれた。
「隊長さん、いくね。戦闘開始の指示はお願い。」
オークの群はもうすぐそこ、きっと僕たちにも気づいている。
僕は氷の矢を20本くらい出すと、一気にオークの群に向かって放った。
ブオォォォォォ
ノーマルオークはたぶん10体くらいは倒れたと思う。
本当は全部の矢にターゲット設定できたら良かったんだけど、まだ僕にはその数を扱うのは無理だった。
魔術を放つと同時に隊長さんが号令をかけて、みんなが一斉にオークの群に向かった。
僕はちゃんとルシカとゲオーグに身体強化をかけて、自分にもかけてハイオークに向かって駆けた。
槍を振り回してハイオークと対峙する。
僕が1人でハイオークと対峙していることに気づいた隊長さんが慌てて僕の元に駆けてきたけど、ハイオークはルシカやゲオーグと模擬戦をしている時より遅くて力も弱かったから、隊長さんが来る前に倒しちゃった。
「シュペア君は魔術だけじゃなくて槍の腕も凄いんだね。驚いたよ。」
「うん。僕は魔術よりも槍の方が得意なの。それより早くハイオークを倒して冒険者の人たちの援軍にいかないと。押されてるよ。」
「そうだな。早く倒そう。」
僕はもう1体ハイオークを倒すと、チラッとルシカとゲオーグを見て冒険者の援軍に向かった。
ルシカとゲオーグならきっと大丈夫。
「ゲオーグ!」
ルシカの声が聞こえて振り向くと、ゲオーグの足が血で染まっていた。
僕はかけていた鞄から怪我用ポーションを出すと、風の魔術を使ってゲオーグの足に向かって投げて、足の上で割った。
「シュペア、助かった!」
遠くでゲオーグの声が小さく聞こえた。
たぶん大丈夫。
「シュペア君、オークナイトは風魔術は使えないが、斬撃を飛ばすんだ。彼らはそれに気づいていないかもしれない。斬撃は剣の延長線上に来るから、気づけば避けられると思うが・・・。」
「隊長さんありがとう。2人に伝えてみるね。」
「え?ここから?彼らに聞こえるかな?」
「ルシカ、ゲオーグ、オークナイトは斬撃を飛ばすんだって。風魔術は使えないみたい。斬撃は剣の延長線上に来るから、避けられるはずだって。気をつけて。」
僕は声に魔力を纏わせてルシカとゲオーグに届けた。
2人を横目で見ていると、こっちをチラッと見たから了解ってことなんだと思う。
「隊長さん、2人に伝えたよ。」
「え?どうやったの?」
「後で教えてあげるね。この前、ミラン、えっと部隊長に教えてもらったの。オークもあと少しだから、もうちょっと頑張ろう。」
「あぁ。」
僕はそれから数えていなかったけど、オークを何体か倒した。
そんなことをしながら槍を振るって駆け回っていると、ハイオークとノーマルのオークは全部片付いた。
ルシカとゲオーグの方を見ると、ちょうどオークナイトが倒れるところだった。
倒れたオークナイトを2人で担いでこちらに向かってくる。
「ゲオーグ、足は大丈夫?」
「あぁ、シュペア助かった。傷は浅かったからもう完全に治っている。」
「そっか。よかった。」
「斬撃の情報ありがとなー。気づいていなかったから助かったよ。」
「隊長さんが教えてくれたの。」
「そうか、じゃあ隊長さんにもお礼を言わなきゃな。」
「そうだな。」
「オークナイトは強かった?」
「あぁ、強かったな。」
「俺は昔戦ったことがあるが、その時よりも余裕があった。ゲオーグがいるからってのもあるけど、それでも奴の剣をしっかり受けることも流すこともできた。
成長を感じてやる気が出たよ。」
「そっか。良かったね。」
「ルシカはもう克服したのか。俺も後に続くぞ。」
「おう。」
冒険者も治安部隊も、みんな無事だったみたい。
怪我をしちゃった人はいたけど、重症の人はいないみたいで良かった。
みんなで頑張ってオークを担いで山を降りて荷車に乗せると、街へ向かった。
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