46. オーク討伐クエスト2/3
あと1キロくらいかな?
懐かしいな。ロック鳥は昔、領主様が山で狩ってきてくれた鳥の魔獣だ。あのお肉美味しかったな。もう一度食べたいな。
「ゲオーグ、ロック鳥と戦ったことある?どれくらい強いんだろう?
昔ね、領主様は1人で山で狩ってきたんだ。」
「そうか。1人で・・・。領主様はさすがSランク冒険者だな。
俺はまだ戦ったことはないが、レーマンにも稀に出るらしい。風の魔術を使うそうだ。風の魔術を纏っているから攻撃がなかなか本体に届かなくて、纏っている風の魔術以上に強い魔術を当てて引き摺り下ろして、戦士が複数人で攻撃を繰り返しながら風の魔術が緩んでいくのを待つしかない。」
「そうなんだ。僕の魔術は届くかな?」
「昨日のシルバーイーグルに放った魔術を見る限りではいけるだろう。翼じゃなく心臓や頭を狙えば一発で倒せたりしてな。きっと領主様はそんな倒し方をしたんだろう。」
「そっか。やってみたいな。倒せなくても、地面に下ろすことができれば、他のみんなで倒せるだろうし。」
「やってみるといい。恐らく魔術の腕はここにいる誰より上だろうからな。
シュペアの魔術で対応できないとなると、かなり厳しいだろう。」
「そっか。僕、頑張るね。」
ゲオーグと話をしていると、ルシカが戻ってきて、ロック鳥も肉眼で確認できるほどの距離まで近づいていた。
「ルシカ、どうやって討伐するか決まってるの?」
「いや、困っていた。オーク討伐よりもロック鳥の方が難しいからな。
魔獣のランクも高いし、地面に引き摺り下ろせるほどの魔術を撃てる魔術師がいないらしい。」
「じゃあ僕がやってもいい?」
「いいぞ。うちのパーティーに魔術が得意な者がいるから、引き摺り下ろせる可能性があると伝えておいた。それで無理なら、魔術師総出で攻撃を仕掛けることになるかもしれないが、そうなるとオーク討伐は厳しいとかで迷っているようだった。」
「そっか。僕頑張るね。」
「あぁ。魔力を使い過ぎたらオーク討伐は見学していてもいいんだぞ。」
「そうだな。後のことは俺らが何とでもするからシュペアは気にせず思うようにやってみろ。」
「なんかゲオーグ格好いいなー。」
「ルシカ、こんな時にふざけている場合じゃないぞ。」
「ゲオーグはいつでも格好いいよ。」
「シュペア、ありがとう。」
もうロック鳥はすぐそこまで来ていて、みんなの視界にも入ったみたい。
冒険者も治安部隊の人も、騒然となってた。
僕はみんなに迷惑がかからないように、ロック鳥に向かって駆けると、氷や石はロック鳥が纏う風で吹き飛ばされると危ないから、風の魔術で槍を3本作り出して、ロック鳥が近づくのを待った。
ロック鳥はちゃんと僕をターゲットに決めてこっちに向かってきてくれたから、10メートルくらいのところで心臓と翼に向けて風の槍を放った。
ギャー
ロック鳥は僕の魔術を受けると、血を流しながら、向かってきたスピードのまま落ちてきた。
僕は、風の魔術でロック鳥の勢いを少し落としたけど、落としきれずに地面に激突して血が飛び散ってしまった。
もっと上手くできるように練習しなきゃ・・・。
ここは周りに人がいなかったからいいけど、人がいたら危なかった。
地面に激突したロック鳥は、そのままピクリとも動かないから、きっと倒せたんだと思う。
ワアァァァァァァァ!
後ろで歓声が上がって僕はビクッとしてしまった。
振り向くと、ルシカとゲオーグの他に治安部隊の人も何人か走ってくるのが見えた。
「シュペアーよくやったな。」
「シュペアはやっぱり凄いな。」
ルシカもゲオーグも僕を褒めてくれて、温かくて大きな手で僕の頭を撫でてくれた。
「ハァハァ、ありがとうございます。この功績は伯爵に報告させていただきます。報酬も弾むでしょう。」
「いや〜本当に、最悪何人か犠牲になるか、オーク討伐を諦めなければならなくなるかと思いました。」
「シュペア、魔力は大丈夫か?」
「うん。今回は風の槍と、落ちるのを抑えるのにちょっと風の魔術を使っただけだから大丈夫。
でも・・・落ちる勢いを抑えられなくて・・・お肉がボロボロになっちゃったから、ごめんなさい。」
「そんなことは全く気にする必要はないぞ。」
「シュペアは1人でロック鳥を倒したんだからな。誇ることはあっても謝ることなど一つもない。」
「うん。でももっと上手くなるように練習するね。」
「シュペアは偉いな。」
「あぁ、偉いな。」
「あの・・・。」
「なんだ?何の用だ?」
昨日僕に話しかけてきた人が、また僕に話しかけてきたけど、ゲオーグが僕とその人の間に立ってくれた。
「いや、謝りに来た。昨日は馬鹿にして悪かった。すまん。」
「別にいいよ。何かされたわけじゃないし。」
「そうか。それだけだ。」
「お兄さん、疲れてる?」
「まぁ、防具も武器も重いからな。」
「そっか。回復かけてあげるよ。」
僕はその人に回復をかけてあげた。
「ありがとう。本当にすまなかった。」
「もう謝らなくていいよ。」
「あぁ。じゃあな。」
その人は冒険者が集まっているところに戻っていった。
「ロック鳥は荷車に乗せて運ぶが、持ち上げられるかな?」
荷車を持ってきた治安部隊の人が困った顔をしている。
「ゲオーグ、いける?」
「あぁ、いいぞ。」
僕はこっそりロック鳥に重力操作をかけてゲオーグに持ち上げて荷車に乗せてもらった。
そしてオーク討伐のために移動を開始した。
「あのパーティーやべぇな。」
「またギルマスが目をつけて領主様に怒られるんじゃないか?」
「またやったら、さすがにギルマスは飛ばされるんじゃないか?」
「だな。」
「関わらない方がいいな。飛び火しても困る。」
「そうだな。」
冒険者たちは遠巻きに見ているだけで、ゲオーグがいるからなのか、近づいてくることはなかった。
「シュペア君は貴族なのかい?」
「違います。小さな村の出身です。」
「そうなの?魔術はどうやって勉強したの?」
「領主様、中隊長、えっと、フェルゼン侯爵様に教えてもらったの。」
「え?エトワーレの?」
「うん。知ってるの?」
「もちろん。治安部隊は昔、フェルゼン侯爵様に稽古をつけてもらったことがあるんだよ。」
「そうなんだ?」
「3年前にも一度ジムナーシアに寄ってくれてね、そう言えばフェルゼン侯爵様は結婚されたとか。」
「うん。凄く可愛くて優しい妖精みたいな人と結婚したんだよ。」
「そうか。伯爵もお披露目会に行きたがっていたんだけどね、予定が合わずに行けなかったんだ。」
「そうなんだ。クンストの街全体がキラキラしてすごく綺麗だったよ。」
「羨ましいな。」
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