44. ジムナーシアの街(ルシカ視点)
「シュペア、魔力は大丈夫か?かなり魔術を使っただろう?」
「まだ大丈夫。歩きながら魔力循環してるから、ちょっとずつ回復してるし。」
「そうか。」
「今日は戻って精算したらココアでも飲みに行こう。」
「そっか。せっかくジムナーシアに来たのに、まだココア飲んでなかったね。」
ゲオーグとシュペアは本当に甘いものが好きだな。
となると、次に行く国は砂糖が名産のラジリエンに決まりだな。
冒険者ギルドに運んで、精算してもらうと、今朝は馬鹿にしたような目を向けていた冒険者たちの俺らを見る目が変わっていた。
まぁ当然だな。ウルフといえど30匹を相手にしたんだからな。
おまけにシルバーイーグル付きだ。
「あの、トレントはトルーキエにいますか?」
「討伐の報告があるのでいると思いますが、ジムナーシアの近辺にはいませんね。ラジリエンとの国境近くの森では何度か討伐報告が上がっていますよ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
シュペアの笑顔に受付の女性も虜になったようだ。
「ルシカ、ゲオーグ、あの看板にパスタって書いてあるよ。トルーキエにもパスタがあるの?」
「本当だな。行ってみるか?」
「そうだな。」
「ハーブが少し入った白いソースがかかってるよ。これ初めてだね。」
「そうだな。」
「領地で食べたものとはちょっとソースが違うな。」
でも確か、この麦はセモリナ村でしか育たないんじゃなかったか?
俺は不思議に思って店の人に聞いてみることにした。
「このパスタはどこから仕入れているんだ?」
「これ、珍しいでしょ?ジムナーシアと姉妹提携しているエトワーレのセモリナってところから仕入れているのよ。」
「なるほど。セモリナから仕入れていたのか。」
「セモリナを知っているの?」
「あぁ、俺らはフェルゼン侯爵領の出身だからな。トルーキエにきてパスタを食べられるとは思っていなかった。」
「あら、そうなのね。パスタはセモリナのものを使っているけど、ソースはうちのオリジナルよ。」
そうか。セモリナから国を超えてこんなところまで来ているなんて凄いな。
シュペアとゲオーグを見てみると、届いたばかりのココアを2人揃ってフゥフゥしていた。
シュペアは分かる。ゲオーグ、お前もか。
ゲオーグは見た目は厳ついが中身は本当に子供のようだな。
「甘くて美味しいね。」
「あぁ、美味しいな。食後にケーキも食べたいな。」
「いいね。食べようよ。」
「何にする?2種類あるぞ。迷うな。」
「チョコのケーキと、ナッツのケーキ・・・どっちも食べてみたいね。」
「両方頼むか?」
「そうしようよ。さっきウルフ討伐とシルバーイーグルの買取でたくさんお金もらったし。」
「ルシカも両方頼むか?」
「あぁ。じゃあ俺も両方頼もうかな。」
ゲオーグは俺をいつも気遣ってくれる。いい奴だな。
シュペアもニコニコしているし、いい店を見つけたな。
「このナッツのケーキ凄い。薄いサクサクの中にいっぱい甘いナッツが入ってる。」
「これは俺も初めて食べた。ケーキというのはふわふわでクリームが乗ってるものだけじゃないんだな。新たな発見だ。」
「うんうん。新たな発見だね。色んなケーキがあって面白いね。」
「そうだな。ケーキは美味しくて幸せになるだけじゃなくて面白いな。」
子供同士の会話みたいだな。
「次の目的地はラジリエンはどうだ?ラジリエンは砂糖の産地だから美味しいお菓子がたくさんあると思うぞ。
それに、トルーキエとラジリエンの国境にある森にはトレントがいるらしいしどうだ?」
「それはいいな。」
「うん。次の目的地はラジリエンで決まりだね。」
「地理が分からないから、冒険者ギルドで地図を見せてもらうか、そっち方面に護衛依頼があれば受けるか。」
「そ、そうだな。護衛か。いよいよか。」
「ゲオーグ、厳しいか?」
「いや、俺も前に進みたいから、いいのがあれば受けたい。」
「分かった。無理はするなよ。」
「あぁ。分かった。」
「この後、冒険者ギルドに行く?明日にする?」
「そうだな。まだ昼過ぎだから今から行くか。」
「そうだな。今日はもう予定は無いしな。」
「うん。」
俺たちは冒険者ギルドに向かった。




