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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
初めての旅

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42. 出立とジムナーシアの冒険者ギルド



僕たちは、王都に5日ほど滞在してから、旅立つことになった。


「シュペア、もう行くんだな。」

「寂しくなるな。」

「うん。僕強くなって戻ってくるからね。」


「シュペアはもうかなり強いんだけどな。」

「気をつけてな。」

「うん。みんなもね。」


騎士団のみんなに挨拶に行くと、みんなが王都の外壁のところまで見送ってくれた。




「とりあえずトルーキエを目指すかー。」

「そうだな。」

「うん。」


僕も少しだけ勉強したんだ。騎士団にはワークスペースに地図が置いてあって、魔獣の分布も書き込まれてた。

騎士団はそんな調査もしてるんだね。


トルーキエまでの道は大体覚えてる。


僕は早く強くなりたい。Bランクになるのは早いって言われたけど、人を相手にするだけが強さじゃない。

僕は、強くなって領主様とリーゼ様を守るんだ。



トルーキエに行く途中の街道は、左右に森が広がっていて、何年か前にこの森の奥でオークジェネラルが出たと騎士団の資料に書かれていた。


僕は索敵をいつもより遠くまで広げていったけど、オークの影は確認できなかった。

少し奥まで行くと、レッドボアやウルフはいるみたいだったけど、わざわざ倒しに行くほどでもないと思って通り過ぎた。




「あの国境の門を抜ければトルーキエだぞ。」

「おぅ。エトワーレから出るのは初めてだから少し緊張するな。」

「うん。凄いね。僕が村を出てからまだ1年も経ってないのに、国を出るなんて思いもしなかった。」


僕たちは列に並んで順番を待つと、冒険者カードを見せて門を潜った。

凄い。本当に僕は国外に出たんだ。



最初の街に着くと、僕たちはいつものように3人部屋の宿をとって、街を見て回った。


「国外に来たのに、あんまり変わらないんだね。」

「そうだな。それほど違いがないように見えるな。」

「料理や流通しているものは違うんじゃないか?」


「楽しみだね。食べたことがない料理にまた出会えるかも。」

「そうだな。」

「ちょうど昼だし、どこかの料理屋に入るか?」


「うん。」



「凄い。このスープ、赤いのとか白いのとか小さいのも大きいのも、色んな豆が入ってる。」

「確かに見たことない豆も入ってるな。」

「へ〜こんなに豆が色々入ったスープは食べたことないな。」


「こっちは豆のトロトロをパンにつけて食べるんだって。」

「パンにつけるって言ったらオイルと塩だと思ってたけど、面白いな。」

「フムスって名前らしいな。」


僕はまだたくさん知らないことがある。

レーマンでも食べたことがない料理をいっぱい食べて、クンストでも、王都でも色々食べたけど、まだ他にもあるなんて思わなかった。



「次はジムナーシアに行くぞ。

フェルゼン領と姉妹都市の提携をしているから、シュペアは行っておいた方がいいだろ。」

「ココアってのがあるところだよね?」

「あれ、美味しいよな。」


「ゲオーグは甘いのが好きなんだね。」

「そうだな。好きだな。」


「僕も好きだよ。食べると幸せな気持ちになる。」

「うんうん。そうだな。」


「次のジムナーシアでは冒険者ギルドにでも行ってみるか?」

「いい依頼があると良いね。」

「そうだな。戦ったことのない魔獣がいるといいな。」




「やっぱり朝じゃないといい依頼無いね。冒険者もいないし。」

「そうだな。今日は宿をとってゆっくりするか。」

「あぁ。ちょっと手合わせして欲しい。ここしばらく戦っていなかったから、少し体を動かしたい。」


「僕もやりたい。あと、今日じゃなくてもいいから武器屋見たい。」

「シュペア武器変えるのか?」


「シュヴェアトが、魔力が通りやすい素材の武器じゃないと炎を纏わすことができないって言ってたから、探してみたい。」

「なるほどな。どんな素材なんだ?」


「うーん、柄がトレントで、穂先は何だろう?聞くの忘れちゃった。」

「トレントの柄か・・・。」

「金属で魔力を通すと言ったらやっぱりオリハルコンかミスリルか?」


「かなり探すのは難しそうだな。」

「そうなの?」


「あぁ。柄にトレントを使った武器など聞いたことがない。これは、作られた武器を探すよりも、素材を自分で確保して鍛冶屋に依頼した方が早いかもな。」

「そんなことできるんだ?」

「できるかは鍛冶屋の腕による。」


「トレントってどこにいるんだろう?」

「明日冒険者ギルドで聞いてみよう。」

「そうだな。」


僕たちは宿を取ると、一旦街から出て街道から外れた場所で訓練をした。




翌日、朝早く冒険者ギルドに行ってみると、レーマンほどじゃないけど、たくさん人がいた。

僕たちがギルドに入ると、全員がこちらを見て、何かコソコソと話していた。

なんだかあまりいい話をされていない気がして、少し不安になった。


「シュペア、大丈夫だよ。レーマンが特別なんだ。だいたいどこの冒険者ギルドも、見かけない奴がいると好奇の目で見られる。」

「そうなんだ?」

「そうだな。クンストでは冒険者がほとんどいなかったし、レーマンはいちいち見かけない奴に反応していたらキリがないからな。

ここの反応は普通だと思う。」



「心配ない。ゲオーグがいるからな。」

「ゲオーグがいると大丈夫なの?なんで?ゲオーグはジムナーシアに来たことがあるの?」

「いや、来たことはない。

見た目だな。見た目が強そうな奴がいると絡まれない。」


「え?そうなの?」

「初めてゲオーグを見た時、怖かっただろ?」


「うん。ちょっと怖かった。そっか。見た目で強いって分かると虐められないってこと?」

「まぁそうだな。」


「ゲオーグは凄いね。だから髭生やしてるの?」

「いや、そういうわけではないが、ただ面倒というか・・・。もう剃るのは恥ずかしいというか・・・。」

「なんだゲオーグ、やっぱり中身は可愛いのかよ。」


「またルシカは俺のことを揶揄って・・・。」

「さぁ、そんなことはいいから依頼見ようぜ。」

「うん。そうだね。」



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