41. ケーキを堪能しよう(ルシカ視点)
ゲオーグがこの前の歓迎会の時に戦士の人から教えてもらった「アプフェル」というケーキ屋の前に来ている。
お店のドアはピンク色で、窓にはレースとリボンがついたカーテンがかかってて、とっても可愛らしい外観だ。
「ゲオーグ、すっごく可愛いお店だね。」
「あ、あぁ・・・」
シュペアは無邪気にそう言うが、俺ら2人にとってこの店はかなりハードルが高い。
「ゲオーグ、俺、この店入る勇気がない・・・」
「俺もだ・・・。」
「2人とも何してるの?早く入ろうよ。」
「わ、分かった。」
「あぁ、そうだな。」
シュペアに急かされると、覚悟を決めてドアを開けた。
「居心地、悪いな・・・」
「そうだな・・・持ち帰って宿で食べれば良かったな。」
やはり店内は若い女性ばかりで、大人の男は俺とゲオーグだけだった。
きっとゲオーグも恥ずかしいんだろう。
俺もだが、ゲオーグも俯いて顔をあげない。
「凄い。可愛い。」
「そ、そうだな。」
俺たちが頼んだ季節のケーキは、栗のケーキで、黄色いクリームがたくさん乗っていて、上に花まで飾ってある。
「美味しい。凄い。こんなケーキ初めて食べた。」
「確かに美味いな。栗ってこんな食べ方があるんだな。」
「あぁ。幸せだ。」
確かにケーキは美味い。
しかし・・・この店内の空気はちょっとキツイな。
そう思ってゲオーグを横目で見ると、ケーキが届くまではずっと俯いていたのに、ゲオーグは目を輝かせて幸せそうにケーキを食べていた。
まぁ、そうだよな。ゲオーグはそういう奴だったな。
「ふふふ、お兄さん本当に美味しそうに食べるのね。」
「え?」
急に、よりにもよってゲオーグに声をかけてくる女の子がいるなんてな。
ミルクティ色のふわふわとカールした髪に、薄いブラウンの瞳の可愛らしい子だった。
「あ、ごめんなさい。冒険者のお客さんは珍しくて。」
「僕たちが冒険者って分かるんだね。」
「そりゃあね。私も冒険者だったから。」
「え?凄い。お姉さんも冒険者なの?」
「そうよ。元ね。今はこのお店でケーキを作ってるわ。」
「あなたがこのケーキを?」
そうか。元冒険者だからゲオーグを見ても恐れず話しかけてきたんだな。
ゲオーグが女の子を尊敬の目で見ている。
「そうよ。」
「とても美味しいです!」
「うん。凄く美味しかったよ。」
「ありがとう。ゆっくりしていってね。」
「「「はい。」」」
「美味しかったね。」
「そうだな。」
ん?もしや・・・
まぁ俺はどんな結果になっても温かく見守ろう。
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