40. シュヴェアトと炎の剣2/2
僕は、火は怖くないんだって、熱くないんだって思ってファイヤーボールを手の前に出したら、本当に熱くなかった。
「ちょっ、あ・・・」
シュヴェアトがなんか焦った感じだったけど、そのまま的に向けて撃ってみた。
ドゴーン!!!!
僕が撃ち出したファイヤーボールは、的を破壊して壁までいっちゃったから、凄い音が鳴った。
「シュペア、大丈夫か?」
「うん?大丈夫だよ。」
「そうか。魔力の残りも大丈夫か?」
「うん。」
みんなが僕の方に駆けてくるのが見えた。
団長と話をしてたルシカとゲオーグもこっちに駆けてくる。どうしたんだろう?
「シュペア、大丈夫か?今のはなんだ?」
「えっと・・・シュヴェアトに火の魔術を教えてもらったの。」
「そ、そうか。で、シュヴェアトはシュペアに何を教えたんだ?いきなり高火力の魔術を教えたのか?」
「あ、いや、俺は自分が出した火の魔術は自分を害することはないから怖くないと教えただけで・・・。」
「僕、何か間違えちゃった?的、壊しちゃってごめんなさい。」
「いや、それはいいんだが、威力が普通じゃなかった・・・。」
「とんでもねぇな。」
「あぁ、あの的って中級魔術でも耐えられるんじゃなかったか?」
「そうなの?確かにあれで焚き火つけたらすぐに全部燃えちゃうね。」
「そ、そうだな。」
「シュペア、あれを森で撃ったら魔獣だけじゃなく森まで広範囲に燃える。もう少し火力を抑えられるか?」
「うん。やってみる。」
「じゃあ俺が的を用意してあげるよ。」
「俺も手伝う。」
中隊の人が僕が壊しちゃった的を設置し直してくれた。
「ありがとう。」
もっと火力を抑えて・・・
小さくすればいいのかな。
僕は小指の爪くらいの小さなファイヤーボールを出して、みんなを見た。
「初めはそれくらいからやってみるといい。」
「うんうん。練習ならそれくらいでいいと思う。」
「いいぞ。」
みんなから許可が出たから、僕は的に向けてファイヤーボールを撃ってみた。
上手くいったかも。
「「「・・・・・。」」」
ファイヤーボールは的を貫いて、壁に小さな穴を開けて演習場から出ていった。
「えっと・・・。」
「外に人はいないよな?」
「人がいたら不味い。見に行くぞ。」
「そうだな、早く行こう。」
確かに。僕が撃ったファイヤーボールは壁を貫いて出て行ったから、外に人がいたら危ない。
「大変。どうしよう。」
「シュペア、見に行くぞ。」
「うん。」
僕はみんなと一緒に走って演習場から出て、ファイヤーボールが飛んでいった方向へ向かった。
「そうか。ここは土嚢が積んであったな。」
「あぁ、忘れていたが、昔中隊長が壁を貫いてから安全のために積んだんだったな。」
「あれ以来、壁を貫くような魔術を撃つ奴はいなかったから忘れていたな。」
僕が撃ったファイヤーボールは、外に積んであった土嚢の袋を少し貫いただけで止まったみたい。誰にも当たらなくてよかった。
「よかった・・・。」
やっぱり僕は火の魔術が苦手みたいだ。
火を怖いと思う気持ちは無くなったけど、火力の調整が上手くできないから少し不安はある。
知らない魔術より、知っているけど上手く使えない魔術を練習する方が難しいんだと知った。
「シュヴェアト、ありがとう。シュヴェアトに教えてもらったから、火が怖くなくなったよ。」
「そ、そうか。それなら良かった。」
シュヴェアトにお礼を言っていたら、団長が近づいてきた。
「そういやぁ、ウィルからシュペアたちにマナー講習を受けさせてやってくれって言われてたんだが、どうする?」
「シュペアは将来のために受けた方が良いんじゃないか?」
「うん。講習受けてみたい。」
「俺らは別になー?なぁ、ゲオーグ。」
「そうだな。」
「・・・なぁ、ゲオーグ、何で俺らもマナー講習を受けることになったんだろうな?」
「分からん。クンストに遊びに来てから、よく分からないことだらけで考えることをやめている。」
「それ、ゲオーグの特技だな。俺もそれをマスターしたい。」
「頑張れ。」
「おぅ。」
マナー講習はちょっと難しかった。
今までやっていたことを直すのって難しいんだね。
僕は、今は子供だからいいけど、大人になったら自分のことは『私』って言わなきゃいけないって言われた。
領主様も『私』って言っていたのを思い出して、頑張ろうって思った。




