39. シュヴェアトと炎の剣1/2
演習場にみんなと一緒に向かうと、みんなが訓練してて、とても気になる人を見つけた。
その人は、ダークグレーから毛先に向かって赤のグラデーションになってる髪で、その髪は左右で長さが違うように見えた。
目はグレーで格好いいお兄さん。
それよりも気になったのは、攻撃魔術じゃなくて剣に火の魔術を纏わせて、戦士みたいに剣の練習をしていた。
「凄い!剣に火を纏わせるなんて。初めて見た。格好いい!」
「凄いな。武器に魔術を纏わせる方法があるって噂では聞いたことがあったが、見たのは俺も初めてだ。」
「あぁ。俺も初めて見た。あれは凄いな。」
「どうやってるんだろう?終わったら聞いてもいいかな?」
「いいんじゃないか?」
僕は終わるのを待って、炎を剣に纏わせていた人に話しかけた。
「お兄さん、それはどうやってやってるの?」
「あぁ、魔力を通しやすい剣に、薄く魔力を纏わせていく感じで再現しているんだ。」
「お兄さんは剣を使っているけど、戦士じゃなくて魔術師なの?」
「魔術師だな。というか、どちらと分類するのは難しいが、俺が伸び悩んでいた時に中隊長が剣も使えて魔術も得意なら剣に魔術を纏わせて戦う方法が向いているんじゃないかって提案してくれて、俺が使えるようになるまでずっと一緒に模索してくれたから。
だからずっとフェルゼン中隊長の下にいたい。戦士部隊に移るとかは考えられない。」
領主様はやっぱり凄い。自分のためじゃなくて、人のために色々してるんだ。
領地のことも、騎士団のことも、冒険者のことも、全部やってるなんて凄い。
領主様が言ってくれたように側近になるなら、僕はもっと勉強しなきゃいけない。
たくさん勉強して、護衛として2人の身を守るだけじゃなく、領主様を助けて支えていきたい。
「そうなんだね。僕も本当は魔術より槍が得意なんだ。
僕も練習すればできるようになるかな?」
「できるようになるかもしれないな。この方法は剣が得意で魔術も得意な人にしかできない。シュペアは両方得意なら向いているかもな。ただ、俺も詳しくはないから、剣でできることは分かっているが、槍でできるかは分からない。」
「そっか。でもやってみたい。」
「じゃあ一緒に練習するか?」
「お兄さんいいの?」
「あぁ。いいよ。俺はシュヴェアト。」
「シュヴェアトありがとう。僕はシュペア。」
「あぁ、知ってる。」
槍の先に薄く魔力を纏わせていく感じ・・・
何度も魔力の質を変えてやってみたけど、全然再現しなかった。
いつもはお願いってすれば大体できるけど、今回は無理みたい。
「全然できない・・・。できそうな感じもない・・・。」
「うーん、俺も習得までにはかなり時間がかかったからな。簡単にはできないのかもしれない。
それと、槍の性質のせいもあるかもしれない。」
シュヴェアトは腕を組んで難しい顔をしていた。
「槍の性質?」
「俺が使っている剣は、中隊長が魔力と親和性の高い素材を調べてくれて、色々な武器屋に掛け合って探してくれたんだ。」
「そうなんだ。」
「俺も最初は自分が使っていた剣で練習していたんだが、全く再現できる感じがなくて、この剣に変えてやっと再現できるようになった。」
「そっか。」
「槍の場合は柄の部分が木でできているから、魔力が通りにくいということがあるのかもしれない。例えば木でもトレントなら魔力が通りやすいだろう。
その槍が何でできているのかは分からないが、槍の穂先も魔力を通しやすい素材でできたものがいいんじゃないか?」
「そっか。確かに柄の部分は特に魔力を纏わせようとしても剥がれる感じがする。」
「その感じがあるなら、やはり槍の性質のせいで再現できないのかもしれないな。」
「そっか。それなら仕方ないね。いい槍が見つかったらまた教えてくれる?」
「あぁ。もちろん。」
残念だけど、槍の問題ならどうしようもない。いつか魔力の通りやすい槍を見つけたら、またシュヴェアトに教えてもらおう。
「シュヴェアトは炎を剣に纏わせていたけど、火の魔術も得意なの?」
「得意と言えるかは分からないが、一通りはできるな。」
「僕ね、火の魔術が苦手なの。なんかちょっと怖くて、うまくコントロールできないの。」
「じゃあ火の魔術を練習してみるか?教えてあげるよ。」
「いいの?」
「いいよ。どんなのがいい?」
「指先に小さな火を灯すことはできるんだけど、飛ばすのが苦手なの。」
「そうか。シュペアは火が怖いと思うか?」
「うん。水とか風は大丈夫だけど、火は手の近くに出すだけで熱いから怖い。
だからシュヴェアトが剣に火を纏わせているのも凄いって思った。熱くないの?」
「自分で出した火は熱くないよ。怖いという思いがあるから苦手なのかもしれないな。」
「熱くないんだ。凄い。」
「火は怖いものじゃなくて、仲良しだと思うといいんじゃないか?
自分が出した魔術の火は自分に対して害になることはないんだよ。」
「そうなんだ。知らなかった。」
「怖くない。火は仲良しだと思ってやってごらん。」
「うん。やってみる。」
「人に当たると危ないから、あの的に向かってやってみて。」
「分かった。」
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