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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
準備編

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4. ルシカとの出会い



「おいガキ、邪魔だ、どけ!」

髭がモジャモジャで大きな斧を持ったおじさんに僕は突き飛ばされた。


「何するんだよ。僕も並んでたんだ。ちゃんと順番守らなきゃ・・・」

「あぁ?」


怖い顔で睨まれて、僕は何も言えなくなってしまった。




「おい、子供を脅してみっともないぞ。大丈夫か?坊主。」

「うん。」


別の槍を持ったお兄さんが助けてくれた。


「依頼受けたんだろ?1人で受けたのか?」

「うん。」


「そうか。家のために働くなんて偉いな。」

「違うの。僕は偉くない。家のためじゃない。1人で生きていくために働いたんだ。」


「そうか。親はいないのか?まさか捨てられたとか?」

「違うの。・・・僕が、捨てたの。

みんな僕のことを信じてくれないから。だから、1人で生きて、頑張って強くなるんだ。」



「へぇーお前根性あるな。俺はルシカ、お前は?」

「僕はシュペア。」



僕は、受付のお姉さんに紙を渡してお金を受け取った。

初めてのお金だ。


「あの、このお金で何が買えますか?」

茶色のお金が4つもらえたけど、何が買えるか分からなかったから、恥ずかしいけど聞いてみた。



「この銅貨1枚でパンが2個買えるわよ。冒険者ギルドでは、文字の読み書きや計算、一般常識の無料講座があるから、時間があるときに受けるといいわ。」

「そんなのあるの?受けたい。あ、でも、もう少しお金を稼いでから・・・。」


「また受けるときに声をかけてね。」

「うん。」



「なぁシュペア、もしかして家も宿も無いのか?」

「うん・・・

今日この街に着いて、冒険者登録して依頼を受けたところだから。」



「ん?、それにしては荷物少ないな。槍以外の荷物は?」

「無いよ。何も持たずに来たから。」


「飯はどうしてたんだ?」

「食べてない。水を飲んでた。」


「水筒は?」

「持ってない。手から魔術で水を出して飲んでたから。」


「そうか。シュペアは魔術で水が出せるのか。それは便利だな。よし、一人前になるまで俺が面倒見てやろう。」

「え?なんで?僕1人で生きていけるから大丈夫だよ。」



「あのなぁ、泊まるところ無いんだろ?今日のその稼ぎじゃ、宿に泊まれないぞ。

それに子供だけだと宿も断られるかもしれないしな。」

「だったら、どこかの木の上で寝るから大丈夫。」


「さっきの斧持った奴みたいなのが絡んできたらどうする?」

「う・・・

大丈夫。逃げれる。」



「ルシカお兄さんと一緒に旅したら楽しいよー

色々教えてあげるよー

たまにちょっと水出してくれればいいから。」


なんだ、そういうことか。ルシカは僕の魔術で出せる水が欲しいんだ。

だから僕の面倒を見ると言ってくれた。

僕のこと、自分で歩く水筒にしようとしてるのかも。


でも、1人で生きていくのに、お金の価値も分からないし、読み書きも計算もできないから、不安はある。



「分かった。僕、ルシカと一緒に行く。」

「うん。じゃあこれからよろしくね。」


「はい。よろしくお願いします。」



「じゃあ早速ご飯食べに行こう。何も食べてないんだろ?何日食べてないんだ?」

「3日くらいだけど、でも僕、あまりお金無いから・・・」


「心配するな。このルシカお兄さんがご馳走してあげるから。」

「良いの?」


「一人前になるまで面倒見るって言ったろ?」

「うん。じゃあ、早く一人前になって、今度は僕がルシカにご飯ご馳走するね。」



「シュペアはいい子だなー

お兄さんが抱っこしてあげるよ。」

「要らないよ・・・もうそんなに子供じゃないし。」


「それは残念。まぁいいか。じゃあ行こう。」

「うん。」




ルシカは僕の手を引いてズンズン進んでいく。

どこに行くんだろう。



「・・・ルシカ、ここって僕入ってもいいの?」


ルシカが連れてきてくれた店の中を見ると、たくさんの大人の人がお酒を飲んでいて、子供は1人もいなかった。

お酒は大人が飲むもので、子供は来ちゃダメだって言われてた。


「いいんじゃない?俺の連れだし。」

「うん・・・。」



なんだかものすごく不安だ。

ルシカが席に座ったから、僕もルシカの向かいの席に座った。


「何飲む?まだ成人じゃないよな?酒はダメか。」

「僕はお水出せるから、飲み物は無くても大丈夫。」


「遠慮するな。じゃあシュペアにはリンゴジュース頼んでやろう。

おばちゃーん、エールとリンゴジュース!」

「はいよー」



さっき『はいよー』って言ったおばちゃんが、取っ手がついた木のコップを2つ持ってきた。


「ほれ、来たぞ。かんぱーい!」

「かんぱい。」


木のコップをぶつけて『かんぱい』ってやつ、村の大人がよくやってたから、僕もできて少し大人になった気がして嬉しかった。



ルシカが頼んでくれたリンゴジュースって飲み物を一口飲んでビックリした。

甘い。何これ凄い。美味しい。


「美味しい。凄い。こんな飲み物があるんなんて知らなかった。」


「ん?リンゴジュース知らないのか?」

「うん。」


「そっか。シュペアはきっと田舎の小さな村の出身なんだな。」

「うん。なんで分かったの?」


「ルシカお兄さんは物知りだからだよー」

「そう・・・。」


「何か嫌いな食べ物はある?」

「無いよ。」


「おぉー、シュペアは好き嫌いが無くて偉いねー」

「偉くなんかないよ。揶揄わないで。」


「せっかくだし、肉食おう。やっぱエールには肉だ肉。」


ルシカはそう言うと、色んな肉の料理を頼んだ。

お肉は貴重なのに、そんなに頼んだら、他の人の分が無くなっちゃうんじゃないかと思ってオロオロしてしまった。



「ルシカ、そんなにたくさん頼んで大丈夫?他の人のお肉が無くなっちゃうんじゃない?」

「ん?問題ない。この店の奥には肉がいっぱいあるからな。」


「そうなの?このお店は独り占めしてるの?」

「さっき冒険者ギルドに人がたくさんいたろ?あの人たちが魔獣を狩って帰ってくるから、この街には肉がたくさんある。

街のみんなで分けても余るくらいな。」



「凄い。あのたくさんいた人たちは魔獣を狩れるんだ。僕もいつか。」

「シュペアもできるさ。この俺がついているからな。」



ルシカはたくさんお肉を食べさせてくれて、自分が泊まっている宿に連れて行ってくれた。


「女将さーん、今日から俺の部屋にこの子泊まるから。」

「あら、こんな可愛らしい子どこで攫ってきたんだい?」


「俺は子供なんか攫わないよ~

色っぽい女の子なら攫いたいけど。」

「はいはい。じゃあ朝ごはん代は2人分貰うよ。」



「あの、僕自分で払う。」

「いいのいいの。ルシカお兄さんお金いっぱい持ってるから。シュペアはお金貯めていい槍買いな。」


「でも・・・。」

「ルシカに頼っておきな。

ルシカは適当なところはあるし、チャラチャラしてるけど、まぁいい奴だから安心しな。」


「うん。」


女将さんと呼ばれていた女の人に言われて、僕は静かに頷いた。


「良い子だね。シュペアと言ったかい?私はこの宿の女将だよ。」


「うん、僕の名前はシュペア。」



閲覧ありがとうございます。


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