37. お披露目会
当日のクンストの街は、とても賑やかで、お祭り騒ぎだった。
結婚おめでとうと書かれたプレートが色んなところに飾られていている。
領主邸の前は特に凄い人だかりだった。
「領主様ー!!」
「結婚おめでとう!!」
「フェルゼン侯爵家に栄光あれ!!」
「奥様、クンストへようこそ!!」
「凄いな。」
「あぁ。」
「凄い。領主様はみんなに好かれているんだね。」
こんなにたくさんの人が領主様をお祝いしてる。凄い。
領主邸の3階バルコニーに、白のタキシードに赤いカマーバンドとクラバットをつけた領主様が顔を出した。
「みんな、よく集まってくれた。
フェルゼン侯爵家に来てくれた、私の最愛の妻を紹介しよう。」
領主様は声に魔力を纏わせて、みんなに聞こえるように話した。
そして、後ろを振り向いて誰かに手を差し出した。
その手を取って現れた女性に、とても優しい目を向けて微笑んでいる。
ストロベリーブロンドのつやつやな髪に、透き通るような白い肌、蜂蜜みたいな目をした女の人は、真っ白でふわふわな生地に真っ赤なリボンが腰に巻かれた風に揺れるドレスを着ていた。
「本当に妖精か天使みたい。」
「あぁ。」
「確かに。」
「彼女が私の妻となったリーゼだ。
この度、私も家庭を持つことになった。
ここまでこれたのは、領民のみんな、私を共に支えてくれるみんながいたからだ。
これからも領地のため、家族のために尽くすことを誓おう。」
ワアァァァァァァァ
「領主様ー!!」
「リーゼ様ー!!」
「フェルゼン侯爵家に繁栄あれ!!」
「「「おめでとう!!」」」
凄い。クンストの空気がお祝いでキラキラと煌めいている。
音楽の演奏が始まると、花吹雪が街全体に舞った。
そして、領主様とリーゼ様はバルコニーでダンスを踊っている。
凄い。綺麗。何だろう?こんなに美しい景色は見たことがない。
こんな景色は、もう一生見ることはないと思った。
夢の中にいるみたい。
「シュペア、シュペア、領主様たちが出てくるぞ。」
「あ、ごめんなさい。綺麗すぎてボーッとしちゃった。」
「あぁ、綺麗だな。」
僕はその景色をボーッと眺めていたら、バルコニーから領主様はいなくなっていた。
玄関から、領主様とリーゼ様が出てきた。
2人は一緒に軽くお辞儀をして、顔を上げると、周りから拍手が巻き起こった。
「みんなありがとう。
可愛いからといって、リーゼに気軽に触らないように。私の妻なんだからな。」
領主様はそう言うと、リーゼ様の髪を一掬い手に取りその髪にキスをした。
ワアァァァァァァァ
「ウィル様、人前でそのようなことを・・・。」
「私のリーゼだということを示しておかないと、可愛いリーゼに懸想する者が出るかもしれないからな。」
「もう・・・。」
2人はとても仲良しみたいだ。
「みんな、今日はたくさん料理も飲み物も用意している。楽しんでくれ。」
ワアァァァァァァァ
領主様の前には、お祝いを言うための長い行列ができた。
僕たちも並んで、順番が来ると、領主様とリーゼ様にお祝いの言葉を伝えた。
「来てくれてありがとう。彼らは将来私の側近になるシュペアと、その仲間のルシカとゲオーグだ。
きっとリーゼも将来お世話になると思うよ。」
「そうなのね。よろしくお願いします。」
「シュペアです。リーゼ様、僕の方こそ、よろしくお願いします。」
領主様はリーゼ様に優しい目を向けていて、リーゼ様は僕に優しく微笑んでくれた。
透き通った蜂蜜みたいな声でよろしくと言ってくれたのが嬉しくて、僕は領主様とリーゼ様を2人とも守ると心に決めた。
「僕は必ず強くなって、領主様とリーゼ様お2人を守ってみせます。」
「うん。期待してるよ。」
領主様の言葉が、僕を強くしてくれる。
心が弱くなった時も、強くあろうと、期待に応えられるように頑張ろうと、そう決意したことを思い出させてくれる。
僕は領主様の言葉を胸に、決意を新たにした。
閲覧ありがとうございます。
『再会編』はここで完結です。
明日から新章が始まります。お楽しみに。




