36. シュペアの憂い(ルシカ視点)
「シュペア、どうした?」
どうもさっきからシュペアの様子がおかしい。
魔力暴走の影響でも受けたのか?
いや、収まってもしばらくは平気そうだった。
初めて使う魔術だと言っていたから、魔力を使いすぎて疲れたのか?
もしかして、あの子供を渡したからか?
シュペアもあの子供と一緒にいたかったとか。
宿に戻っても、シュペアは俺とゲオーグの手を握ったまま離さない。
「愛情・・・」
「ん?愛情?どうかしたのか?」
「どういう意味?」
「んー、大好きとか、大切に思う気持ちとか、抱きしめて温かい気持ちになるとか・・・。
言葉にするの難しいな。ゲオーグ、これで合ってるよな?」
「あぁ。合ってると思う。
親が子供に向けたり、仲間同士だったり、恋人同士だったりするな。」
「・・・そっか。」
シュペアはそのまま黙ってしまった。
ゲオーグを見るが、分からないと首を左右に振った。
「シュペア、あの子供と離れたのが寂しいのか?一緒に遊びたかったのか?」
「違うの。少しだけ寂しいけど・・・」
シュペアは続きを話そうと一瞬口を開いたが、閉じてしまった。
愛情が関係あるのか?
そんなに言いにくいことなのか?
言えるまで、待ってやろう。
ゲオーグに目線を送ると、ゲオーグも分かっているようで、静かに頷いた。
しばらく待っていたが、シュペアはそれ以上話すことはなかった。
シュペアは暫くすると、そっと握った手を離し、ふぅ。と息を吐いた。
「何でもないよ。大丈夫。僕、誰かの魔力暴走を止めるなんて、初めてだったし上手くできるか分からなかったけど、誰も怪我してなかったし、上手くできて良かった。」
空元気だろうか。元気そうな声でシュペアはそう言った。
「そうだな。シュペアは凄いな。」
「あぁ、シュペアは凄い。」
俺もゲオーグもシュペアを褒めて頭を撫でた。
シュペアを苦しめているのは、この前の村の話だけではないんだな。
いつか、その苦しみから解放してやりたい。
閲覧ありがとうございます。




