34. 魔力暴走2/3
研究所に着くと、建物がガタガタ揺れていて、ゴウゴウと地響きみたいな音がした。
風の魔術?
「私の魔力では、この先に進めません。
この先の部屋に、子ども達が何人かいるはずです。」
職員のお姉さんは、これ以上は進めないと言った。
うん。確かにここから先に進めば、刃物のような風がいつ襲いかかってくるか分からない。
「僕が行きます。」
「シュペア、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。結界張りながら行くから。2人は風が収まったら来て。」
「分かった。気をつけろよ。」
「うん。」
ミランは複数の人に結界を張ってた。
でも僕まだ自分にしか張れない。みんなに張れたらよかったのに。
今度ミランに教えてもらおう。
結界を張ってドアに近づくと、魔力の渦をたくさん感じた。たぶん3人。
ガタガタいってるドアを開けると、泣いている子が3人いて、風の渦がゴウゴウ音を立てて不規則な動きをしていた。
「入るね。僕はシュペア。助けにきたよ。」
まず、1番小さな2歳くらいの女の子の元に行った。すぐ側まで行くと、僕は結界を解いて女の子を抱っこした。
「もう大丈夫だよ。怖かったね。」
頭を撫でながら魔力の流れを正常に戻して、心が落ち着くように念じながら魔力を薄く放出して、女の子を包み込んだ。
上手くいったかな?
少しすると女の子は泣き止んで、風の渦が1つ消えた。
上手くいったかは分からなかったけど、とにかく風の渦が1つ消えたのは良かった。
女の子を抱えて僕はルシカとゲオーグのところに向かった。
「シュペア、その子が魔力暴走を起こしていた子か?」
「うん。他に2人いた。この子はもう大丈夫だから、お願いします。」
職員のお姉さんに、女の子を預けると、僕は結界を張って部屋に戻った。
次はさっきの子より少し大きい女の子。
「もう大丈夫だよ。僕が助けにきたよ。」
結界を解いて、女の子を抱っこすると、さっきと同じように魔力の流れを正常に戻し、心が落ち着くよう念じながら魔力を放出して、女の子を包んだ。
すると、今度は包み込んですぐに女の子は泣き止んで、風の渦が1つ消えた。
これはちゃんと作用してるってことかも。
また急いで女の子を抱えて職員のところに戻って、女の子を引き渡した。
最後は5歳くらいの男の子。
きっとこの子がきっかけになった子なんだろう。
最近この教室に通い始めたって言ってた。
「もう大丈夫だよ。僕が助けにきたよ。」
男の子を抱っこして、背中をトントンしながら魔力の流れを正常に戻し、心が落ち着くよう念じて放出した魔力で包んだ。
泣き止むのに少し時間がかかったけど、泣き止んだら風の渦は消えてくれた。
良かった。
「どこも痛いところはない?」
「うん。ごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。だって君は何も悪くないから。僕はシュペア。君は?」
「僕はコーミット。」
「シュペアー、大丈夫かー?」
「うん。大丈夫。今行くから待っててー
コーミットも無事だったよー。」
ルシカが呼ぶ声がしたから、僕は声に魔力を纏わせてルシカとゲオーグの元に届けた。
僕はコーミットを抱っこして、ゆっくり歩いてルシカとゲオーグのところに向かった。
「コーミット君、怪我はない?
さぁ、お兄さんから下りて、あっちの部屋に行きましょう。」
「いやだ。シュペアお兄ちゃんがいい・・・。」
コーミットは僕にしがみついて離れようとしなかった。
「シュペア、随分気に入られたな。」
「うん。きっと、心細いんだと思う。さっきは長い間誰も助けてくれなかったから。」
「すみません。コーミット君が落ち着くまで、もう少しだけお付き合いいただけますか?」
「うん。いいよ。」
あ、でもルシカとゲオーグは・・・
2人を見上げた。
「俺ら暇だったし別にいいよな?」
「あぁ、構わない。」
やっぱり2人は優しい。




