33. 魔力暴走1/3
「冒険者の仕事も薬草採取くらいしかないな・・・。」
「そうだな。」
ケーキも色々なお店で食べた。
途中までしか見てなかったギャラリーも全部見た。
ゲオーグはフォークの上に筋肉がすごい動物が付いてるの買ってた。
ルシカが変な顔してたのが面白かった。
森にも行ったし、街の露店も見て回った。
タッシェというクンストの隣にある街にも行った。
昨日、僕は一人で図書館に行ってみた。
ルシカとゲオーグもどこかに行ってたみたいだけど、大人になったらな。って言って教えてくれなかった。
クンストを堪能して、まだ時間があるので冒険者ギルドに来てみたけど、これといって良さそうな依頼は無いみたい。
領主様の結婚のお披露目会まであと2日。
「どうする?」
「まぁ、別に金が無いわけじゃないから、依頼を受けなくても良いんだけど、毎日休日みたいな感じだとちょっと退屈だな。」
バタンッ
「すみません!依頼を、依頼をしたいんですが!」
とても慌てた様子の女の人が入ってきて、受付に突っ込みそうな勢いで向かっていった。
「落ち着いてくださいね。依頼内容を詳しくお聞かせください。」
「すぐに、魔力暴走を止められる人を、手配して欲しいんです!」
「場所と詳しい事情をお聞かせください。」
「場所は魔術研究所です。子ども達がっ、子ども達がっ・・・今、領主様も所長のミランさんも出ていて、職員じゃ止められなくて・・・
だから、どうか・・・」
とうとうその女の人はしゃがみ込んで、泣き出してしまった。
受付の女の人がカウンターから出てきて、宥めている。
もしかして、ミランの研究所か演習場で誰かが魔力暴走を起こしてしまったんだろうか。
確か、自分の意思と関係なく魔術が出たり、魔術を止められなくて危険だって言ってた気がする。
しかも領主様もミランもいないって、何とかしてあげたい。
でも、僕にできるだろうか?
できるならしてあげたいけど、できるか分からない。
「ゲオーグ、ルシカ、あの人の言ってるの、たぶんミランが魔術を教えてる子供が魔力暴走を起こしたんだと思うの。」
「そうなのか?」
「うん。2人が武器を取りに行ってる時に聞いたの。ミランは研究だけじゃなくて、領地の子供に魔術を教えてるって。
魔力操作が未熟だと、魔力暴走って言って、魔術が勝手に出たり、魔術を止められなくなっちゃうことがあるって、危険なんだってミランが言ってた。」
「へー、そうなのか。そんなことが起きるんだな。」
「なるほど。で、シュペアは助けたいんだな。」
「ゲオーグ、なんで分かったの?」
「シュペアならきっと、そう言うと思ったんだ。」
ゲオーグはそう言いながら、僕の頭を撫でてくれた。
なんで分かったんだろう?
ゲオーグ凄い。
「暇だし、いいんじゃない?
って言っても、俺らは役に立たないかもしれないけど。」
「危ないかもしれないけどいいの?
僕1人でも・・・。」
「何言ってるんだ。俺らはパーティーだろ?」
「そうだぞ、シュペア。」
「うん。」
2人は本当に優しい。僕もこんな優しい大人になりたい。
「お姉さん、その依頼、僕たちのチームが受けるよ。」
「いいの?
でも、あなたを危険に晒すことになるかもしれないのよ?」
「もし無理なら、一旦引いて領主様かミランを全力で呼びに行きます。俺らに任せてください。」
「分かったわ。依頼を受理します。
念のため、この街唯一のAランク冒険者モスケルさんにも声を掛けてみるわ。
緊急のようだから、依頼の処理はギルドでしておく。あなた達は彼女と現場に急いでくれるかしら?」
受け付けのお姉さんが依頼の処理はしてくれるそうで、僕たちは早速向かうことになった。
走りながら状況を聞いた。
最近ミランの教室に通い始めた男の子が、魔力暴走を起こして、それに共鳴した他の子も何人か魔力暴走を起こしてしまったらしい。
他の子供達や職員は避難しているけど、近づけないし止められず困って冒険者ギルドに頼ることにしたんだって。
魔力暴走を止めるってどうやってやるんだろう?
魔力霧散を無理やり他人の魔術に干渉させる?
そんなことできるの?
魔術をぶつけて相殺させる?
それだと衝撃で周りに被害が出てしまうかも。
結界を使う?
でもそれだと相手に近づくことはできるけど、魔力暴走を止められるわけじゃない。
もっと考えるんだ。
魔術の本を思い出すんだ。
何か僕にできる方法があるかもしれない。
魔力暴走はなぜ起きるのか。
感情が昂ると起きるってミランは言ってた。
感情を落ち着けて、魔力の流れを正常に戻したら・・・
眠らせるか。あ、でも僕は寝ながら魔術が出ちゃったから、眠らせてもダメかも。
魔力の流れは、他人に支援する時の応用でいけそうだ。
問題は心を落ち着ける魔術・・・
そんなのあるのかな?
『想像できるものは、いつか魔術として再現することができる』って、誰かの本に書いてあった。
じゃあできるかも。
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