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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
再会編

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25. ミランとシュペア1/2



「2人だけ残されちゃったねー。」

「うん。」


「シュペア君は魔力暴走を起こしたことはないの?」

「魔力暴走?」


「うん。気持ちが昂った時、すごく悲しくなったり、すごく怒ったり、そんな時に魔術が勝手に出たり、魔術が止められなくなっちゃうことだよ。」

「うーん・・・

あるかも。クンストに来る途中で、寝てる時に部屋が氷でいっぱいになっちゃった。」


「その時はどうしたの?」

「僕は寝てたんだけど、ルシカとゲオーグが起こしてくれて、魔力霧散したら消えたよ。」


「そっか。それは魔力暴走とはちょっと違うかな。

魔力暴走を起こすと、自分の意思では魔術が止められなくなるんだ。」

「そうなんだ。僕はまだ、止められなくなったことはないよ。

勝手に出たのも、この前が初めて。

でも、自分で魔術を止められないなんて危なくないの?」


「危ないよ。本人も危ないし、周りの人も危ない。」

「ミラン、どうしてそんなことが起きるの?

僕は、仲間を危ない目に遭わせたくない。」


「魔力が多い人が、魔力操作を失敗するとなることが多いね。

あとは解明されていないんだけど、子供は気持ちが昂った時に起きるみたいだね。

いずれにしても、魔力操作が未熟な場合が多い。」


「どうやったら魔力操作が上手くなるの?」

「そうだね、シュペア君がいつもやってるみたいに、魔力循環を続けるとか、たくさん練習したり、自分の癖をしっかりと把握することかな。」


「そっか。僕はどうなんだろう、大丈夫か不安だよ。」

「ん?シュペア君はかなり魔力操作が上手だと思うよ。その年でそれだけの魔力量なのに、魔力暴走を起こしたことがないってのが凄い。

俺なんて、子供の頃はしょっちゅう魔力暴走を起こして怒られてたよ。」


「え?大丈夫なの?」

「まぁね。適切に対応できる者が側にいれば大丈夫だよ。」


「そっか。」

「シュペア君の場合は小さい頃から魔力循環をしているから、魔力が多くても制御できているのかも。

シュペア君の親は貴族?」



「違うよ。村に・・・。」



「ん?どうした?」


「・・・ミラン、僕ね、村を捨てたんだ。

村に戻りたくはないし、村なんて嫌いだけど、村を捨てたことは悪いことなんじゃないかって思って、だから村のことを思い出すと少し苦しい。」


「そうか。シュペア君が捨てるくらいだから、余程のことがあったんだね。」

「でもね、僕は仲間に会って、領主様にも会って、ミランにも、護衛をした商人のおじさんや御者さんにも会って、凄く楽しかったから。

これで良かったんだ。

僕はもっと強くなりたい。強くなって領主様を守りたい。僕、これでいいんだよね?」


「いいよ。シュペア君の人生はシュペア君のものだから、好きなように生きていいんだ。悪いことなんか一つもないよ。

おじさんなんか、好き勝手に生きてるから、いつもウィルや周りの大人に怒られてるよ。」

「そっか。うん。ありがとう。」


「ウィルが気にかけてたのは魔力のせいだけじゃなかったのか。」



「そうだミラン、領主様が言ってたの。

魔力が多いと、魔術を2個とか3個同時に使えたり、混ぜたりできるって。

そのことはミランが詳しいって。

僕にも、できることなら教えて欲しい。」


「ん?いいよ。魔力操作も上手いし、魔力も多いし、すぐにできるようになると思うよ。

俺はねぇ、この研究所で魔術の研究だけじゃなくて、領地の子供に魔術を教えてるんだよ〜

教えて欲しい、勉強したいって思う子には教えてあげることにしてる。

それにシュペア君は俺の部下だしね。」

「ほんと?いいの?」



「いいよ。そうだ、面白い魔術教えてあげるよ。みんながびっくりする魔術。」

「うん。教えてほしい。ミランありがとう。」


ミランは目の色を変える魔術を教えてくれた。

少し練習したら、できた。

ミランが赤い目がいいって言うから、僕は赤い目になるように頑張った。

鏡を見せてもらうと、僕じゃないみたいだった。



「おぉーできたね。できそうとは思ったけど、まさか本当にできるとはね。」

「うん。できた。みんな驚くかな?」


「うん。きっと驚くぞ~」

「楽しみだね。」


「ウィルは、この目の色を変える魔術をずっと使ってるんだ。

初めは長く続けられなかったり、他の魔術を使う時は解除したりしてたみたいだけど、だんだん慣れていったらしい。」

「そうなの?」


「そうだよ。どんなに凄い人でも、初めから簡単にできる人はいないんだ。たくさん練習して凄い人になっていくんだよ。」

「そっか。じゃあミランもたくさん練習したんだね。」



「まぁ、そうかな。

同時に2つ以上の魔術を使うのは、最初は難しい。でも、シュペア君は魔術を使いながら魔力循環してるよね?」

「うん。ぐるぐるはいつもしてる。たまに止まっちゃうけど、ぐるぐるしてると魔力が早く戻るから。」


「索敵とか、結界とか、自分への身体強化とか、魔力を薄く広げていく魔術だとやりやすいと思ったことない?

逆に、一気に魔力を出しちゃうような攻撃だとぐるぐる止まっちゃわない?」

「そうかも!凄い!ミランなんで分かったの?」


「2つの魔術を同時使うのは、薄く広げていく魔術同士で練習するといいよ。感覚が掴めてきたら、攻撃魔術もできるようになる。」

「うん。やってみる。」



「魔術を混ぜるのは、あんまり使わないかな。ウィルはお湯を出してるけど、それ以外は使ってないと思う。

それより魔術を重ねたり、何かに魔力を纏わせたりする方が使い勝手がいいかな。」

「魔術を重ねるのはどうやるの?」


「こんな感じ。」


ミランは頭の上に手を翳して氷の鏃をたくさん出した。

そして、その氷をそこに留めたまま風を重ねて竜巻の中を氷が回ってるのを作った。



「わぁ、凄い。」


「そう言えばシュペア君は重ねるのはもうできてたね。

攻撃のターゲット設定も似たようなものだから。

さっきウォーターボールを作り出して、そこにターゲット設定を重ねたんだ。」

「そっか。確かに、重ねてた。

最初は全部一緒にお願いってしてたけど、それだと大変だから、順番にするようにしてるの。」


「全部一緒にお願いして、上手くできた?」

「うん。できたよ。でも、ちょっと時間がかかるし、魔力がたくさん減っちゃう。」


「そっか。感覚派で順応性も高いのか。

新しい魔術も作れるかもしれないね。」

「そんなことできるの?作れたら凄いね。」



「そうだね。きっといつかできるよ。」



閲覧ありがとうございます。

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