23. 領主様の提案とミラン1/2
「そうだ、国の騎士団に入るか?
国の所属となれば下手に手は出せない。」
「それは、騎士団でシュペアを預かって保護するということですか?」
「形式上はね。1年に1度くらいは顔を出してほしいけど、長期研修ということにして、2人と一緒に冒険者を続けながら旅をしたらいい。」
「そんなことできるのか?」
「部隊長のミランが気に入ってるみたいだし、私も助言するから、できると思うよ。
隊員の中には修行に出たいという者もたまにいるしね。」
「それいいんじゃないか?」
「そうだな。」
ルシカとゲオーグは2人して目を見合わせて頷いている。
「僕は、何をすればいいの?」
「早い方がいいかもしれないな。今クンストには国内外から貴族や商人が来ているから、変な者に目をつけられる前に手を打とう。
ミランを呼ぶか。
ミラン~ちょっと来てくれるか?」
「はいはーい。」
ミランはすぐに来た。
領主様の声が聞こえてたのかな?
「・・・ミラン、どこにいたんだ?来るのが早すぎるが、まさか近くでシュペアが出てくるのを張ってたんじゃないよな?」
「当たらずとも遠からず?
ちょっと話も聞いちゃった。で、いいよ。でも手続きはウィルお願いね。」
「まぁ、それはやるが。」
「いやーこれで俺はシュペア君の上司だから、堂々と魔術の指導ができるね~」
「無茶はさせるなよ。将来私の側近となる者だからな。」
「え?いいの?」
「あぁ、約束したからな。」
「うん。」
嬉しい。領主様はちゃんと約束覚えててくれたんだ。子供の僕との約束なのに、契約書ってのも無いのに、約束守ってくれるんだ。
僕は絶対に強くなる。ちゃんと領主様を守れるようになる。
でも、護衛じゃなくて側近って言ったのが少し気になる。
「え~ウィルだけズルくない?しかもシュペア君のこと側近にするの?
学園に通わせるの?」
「いや、学園なんか通わなくてもいいだろう。私も通っていないしな。
魔術の本を読めるということは、読み書きも計算も並以上にできるだろうし。」
「そうなの?シュペア君って読み書きも計算もできるの?」
「できるよ。ギルドの講座で勉強したから。図書館で魔術の本もたくさん読んだよ。
ミランはもしかして、ミラン・ゼーグラース?」
「そうだよ。俺の名前はミラン・ゼーグラースだけど、俺のこと知ってるの?」
「凄い!本物なんだ。この前、ミランが書いた本を読んだの。」
「そうなの?どれだろう?」
「支援の本。僕はそれまで自分とか物にかけることしか知らなかったから、仲間にかけられるって知って、嬉しかった。」
「難しくなかった?」
「面白かった。」
「ウィル、シュペア君を俺に譲ってくれ。
この歳で俺の本が理解できるなんて、ぜひ俺の助手に!」
「ダメだ。助手は領地の子供達にさせてるだろう。」
「ウィルはケチだな〜。」
「何とでも言えばいい。
シュペアの入団書類は私が用意する。ミランは魔術演習場で試験を。くれぐれも無理をさせないよう、通常の入団試験の内容で行うように。」
「分かったよ。早速移動しよう。
魔術演習場までは、そこの男2人も含めて結界かけてあげるから安心して。」
「自分以外にも結界ってかけられるの?ミラン凄い!」
「そうだろう~おじさん実は凄いんだよ~」
そう言うと裏口を出る前にミランは僕たちに結界をかけてから外に出た。
僕たちはミランに続いて歩いて、領主館という領主様が住む大きな建物の横にある、魔術演習場という建物に入った。
中は、とっても広くて、子供が何人か魔術を使って遊んでいた。
「攻撃のターゲット設定もできるんだっけ?」
「うん。」
「見てみたいけど、ウィルに怒られそうだから、とりあえず基本的な魔術を見せてもらおうかな。
水は出せる?」
「うん。」
僕は手から水を出した。
「うん、いいね。じゃあ俺に身体強化かけてみて。」
「うん。」
身体強化の他に、回復をかけたり、指先に火を灯したり、石の矢や氷の矢をたくさん作ったりした。
「やっぱり精度がいいね。
攻撃のターゲット設定見てみたい。できる?魔力かなり使っちゃう?」
「できる。そんなに魔力減らないと思う。」
「俺が魔獣の役をして逃げ回るから、ターゲットを俺の左肩に設定してみて。」
「ミランが怪我しちゃうから、ウォーターボールでいい?」
「いいよ~
まぁおじさんは強いから怪我なんかしないけどね。」
「うん。」
ミランの動きはとても速くて、失敗するかもしれないと思ったから、3つのウォーターボールをミランに向けて放った。
きっと3つのうち1つくらいは当たってくれると思う。
ウォーターボールはミランの影を追いかけていったけど、動きが速くてちゃんと当たったのかよく分からなかった。
失敗しちゃったかも・・・。
「僕、失敗したかもしれない。」
「そんなことないよ。全部成功してたよ。かなり正確に。見えなかった?」
「うん。ミランの動きが速くて、上手くできたか分からなかった。見えなかったし・・・。」
「そっか。でも上手だったよ。消費魔力もかなり少ないし、凄いよ。」
「本当?」
「うん。自信持ちな。シュペア君は凄腕の魔術師なんだから。」
「魔術師?僕、戦士じゃないの?」
「えぇ!?シュペア君は武器で戦えるの?」
「うん。僕はいつも身体強化をして槍で戦うの。
魔術は支援と、攻撃も少しするけど、槍の方が得意だと思う。」
「え~あんなに魔術上手なのに?
槍か~あったかな?長い棒でもいい?ちょっとやってみてほしい。」
「じゃあルシカと戦えばいい?」
「ルシカ?あぁ、シュペア君の仲間か。いいよ。棒持ってくるから待っててね。」




