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少年シュペアの冒険譚 〜無自覚に最高峰を目指す〜  作者: 武天 しあん
再会編

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22. 赤い目のおじさん



「ウィールー」

ガチャッ


「あ、来客中?ごめんごめん。

ん?君・・・。」


「おぃミラン、ノックをしろ。勝手に入るな。」




赤い髪と赤い目の知らないおじさんが、僕に気づいて近づいてきた。


「ねぇねぇ君、何歳?」

「僕?僕は11歳です。」


「どんな魔術が使える?」

「えっと、身体強化と、水と氷と風と土と、炎もちょっとだけ。あと、えっと、色々・・・。」


「ミラン、私の客に失礼なことをするな。」



「えーだって気になるじゃん。この子魔力多いのに、この歳で魔力操作めっちゃ上手いし。」

「えっと・・・。」


「シュペア、このおじさんは無視していいからな。」

「おじさんって言わないで。

君、シュペア君って言うの?俺はねぇ、騎士団魔術部隊の部隊長って偉い人だよ~」

「僕はシュペアです。」


「シュペア君、魔力循環をずっとしてるのはなんで?」

「魔力循環?」


何のことか分からない。



「魔力を身体の中でぐるぐるすることだよ。」

「あ、ごめんなさい。癖で。

魔術使ってない時は、大体いつもしてるかも。落ち着く気がするから。」


「なるほど~

それで魔力操作が上手なんだね。何歳からやってるの?」

「8歳の時。」


「魔力を身体の中でぐるぐるするのって、意外と難しいんだよ。

スムーズにぐるぐるできるのは凄いことなんだ。」

「そうなんだ・・・。」



「あれ?魔術師に習ったんじゃないの?」

「昔、私が教えたんだ。口頭で、しかも10分くらいの短時間で。」


「そうなの?それって凄くない?

攻撃のターゲット設定までできちゃったりして。」

「えっと・・・できます。」


「凄いじゃん。ちょっと魔術演習場に来てみない?」



「ミラン、シュペアに絡むのはもうやめろ。だいたい何しに来たんだ?」


「暇だったし、ウィルがクンストに来てるって聞いたから魔力探って遊びに来ただけ〜」

「暇なら研究所の経営を少しは勉強しろ。

この前の報告書も酷かったぞ?陛下が読めずに困っていた。」


「苦手なんだもーん。

俺は魔術の研究と戦争しかできないの。」

「とにかく、私の客にこれ以上失礼な真似は赦さない。すぐに帰れ。」


「ウィルは釣れないなー

とりあえず今は帰るけど~

シュペア君、領主邸の横に俺の研究所があるから、遊びにきてね。

魔術教えてあげるよ。待ってるね~」


なんだか騒がしい赤い目のおじさんは、帰っていった。




「すみません。アレは肩書きだけは騎士団魔術部隊のトップですが、魔術のことになると見境なく飛びつくんです。

シュペア、嫌な思いさせてごめんな。」

「僕は大丈夫。嫌な思いなんてしてないよ。」



「あの、シュペアがこの歳で色々な魔術を使えることは周りにあまり知られたくないんだが・・・。」

「あぁ、それは大丈夫。アレはあんなんだけどその辺はわきまえてるから。

そうか。シュペアは見た目も可愛らしいし、高度な魔術まで扱えるとなったら狙われるな。」


「そうならないようにしたい。」

「結界の応用でも教えておこうか。」

「教えて欲しい。」


「結界は通常、攻撃から身を守るんだけど、防ぐのは攻撃だけじゃないんだ。

 冬の寒さを防いだり、気配や匂いを防いだり、呪いも防げると言われている。」

「そっか、じゃあ認識阻害も結界の応用でできるんだね。相手からの視線とか、感覚を防ぐようにすると、認識されなくなる。」


「その通りだ。シュペアは理解が早いな。そしてよく勉強してるんだな。」

「魔術の本を読むの、好きだから。」


「そうか。シュペアなら2つの魔術を同時に使うことができるかもしれないな。

ミランの研究なんだが、一定量以上の魔力がある人は魔術を2つ以上同時に使えるらしい。

魔術の理解度や操作の腕にもよるが。」

「僕、練習してみようかな。」


「その辺りはミランの方が詳しい。もし詳しく知りたいと思ったらミランを訪ねるのもいいと思う。

あんな奴だが、魔術の腕はおそらくこの国で1番だ。」

「そんなに凄い人だったんだね。」



ミランってもしかして・・・。




「おいゲオーグ、今の結界の話分かったか?」

「いや、俺は魔術は身体強化しか使えないからな。半分くらいしか聞いてなかった。」


「そうか。同士がいて安心したわー。」

「それは良かった。」


「君たち面白いね。いいパーティーだ。」



「領主様に一つ聞きたい。もしシュペアが貴族に目をつけられることがあったら、どうやって対抗したらいい?」

「うーん、難しいね。

私の庇護下にあることにしてもいいけど、それだと国外に出たら効力が薄いし、1番いいのは冒険者のランクをAまで上げることかな。

Aまで上げるとギルドも失いたくないから守ってくれる。名を売って、知名度が上がれば手を出しにくくなる。

もしそれが無理なら、全力で身体強化をかけて、できる限り遠くまで逃げるしかないな。」


「そうですか。シュペアはまだ11なので、Bランク昇格試験を受けるのは早いと思っていましたが、そうも言っていられないか・・・。」

「あぁ、そうか。Bランク昇格試験は盗賊の討伐か。私は免除されたから忘れていたよ。

そうだね、私もできれば成人前の子供には受けさせたくないな。」


「僕、やるよ。いつか僕は領主様の護衛になる。そのためには必要なことでしょ?

いつかやるなら、今やるよ。

まだDランクだけど、頑張ってCランクに上がって、試験受けるよ。」


「シュペア、頑張るって気持ちは大事だけど、無理をしてはいけないよ。

私も長年苦しんだんだ。」

「領主様が?」


「私は子供の頃から戦争に参加していてね、人を相手にしたという理由だけではないが、肉が食べられなくなった。そして、味覚と感情を失ったんだ。

今は味覚と感情は戻っている。

それでも、終戦から6年ほど戻るのに時間がかかった。」

「そんなことが・・・。」



「ゲオーグ、君も苦しんでいるんじゃないか?」

「な、何で・・・」


「初めて戦争に参加した時の隊員のような、憂いの雰囲気を少し感じる。

まぁでも、元々軽いのか、何かあって軽くなったのか、消化できるまでもう少しだね。」

「そ、そうですか。」

「ゲオーグ良かったな。」


「そっか。こんなに優しくて強いゲオーグも辛かったんだね。僕には、まだ早いのかな・・・。」

「そうだな。」


「うーん、そうなると・・・。」


領主様は顎に手を当てて、しばらく考え込んでいる。



閲覧ありがとうございます。

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