20. 芸術作品と再会
お披露目会まではまだ9日もある。
今日は、ゲオーグが行ってみたいと言ってた芸術作品が展示されているギャラリーに行く。
芸術作品っていうのが何なのか分からないけど、きっと初めて見るものがたくさんあるんだろうと思うとワクワクしてきた。
丘の上から見えた、赤い屋根の建物が並んでいる場所に来た。
可愛い。小さな家がたくさん並んでいて、その壁にはいろんな色の絵が書いてあった。
建物によって、絵の色とか、形とかが違って面白い。
「凄い。いろんな色があって綺麗で可愛いね。」
「これはスゲェな。」
「凄いな!これを見れただけで嬉しい。」
ゲオーグはいつもに増して嬉しそう。
木がいろんな形になってる道を抜けると、大きな建物があった。入り口には、領主様の像みたいなのが建ってて、格好良かった。
「これって・・・領主様の像だよな?あの人こんなにマッチョなのか?」
「いや、知らん。しかし筋肉のカットが素晴らしい。理想だな。」
「このポーズ、いいのか?」
「まぁ、親しみやすくはある。」
「確かに。」
ルシカとゲオーグは領主様の像を気に入ったみたいだ。
中に入ってみると、とても広くて、大きな絵とか、机や椅子、カップやお皿、何か分からないけど置物みたいなのもたくさん置いてあった。
色んな作品を見ながら1番奥まで行くと、壁一面に森が描かれていて、左の方に妖精さんが描かれていた。
「な、なんだこの絵。怖くないか?」
「う、ちょっと怖いな。木の魔物に絡まれたゴーストか?」
ゾクゾクするとか怖いとか言いながら、ルシカとゲオーグは足早に移動していった。
「僕は怖くないけどな。森の中にいる妖精さんじゃないのかな?」
「おや、少年、君は私と気が合いそうだね。」
ボソッと独り言を言うと、知らないおじさんが急に僕に話しかけてきた。
「おじさんも、この絵は森の中の妖精さんに見えるの?」
僕は振り向いておじさんに返事をすると、おじさんは少し驚いていた。
「そうだね。私は子供の頃に森で妖精に会ったんだ。今はその妖精は私の奥さんなんだけどね。」
「凄い!おじさんの奥さんは妖精さんなんだね。僕この絵好きだよ。」
「シュペア、元気だったかい?こんな遠くまでよく来たね。」
おじさんは僕の頭を撫でてくれた。
その感触は、優しくて、温かくて、この手を僕は知ってる。
「え?領主様?」
「シーッ、よく分かったね。魔術で変装して声も変えていたのに。」
「凄い。そんなこともできるんだ。
僕、僕、領主様に会いたくて、領都に来たの。領主様、結婚おめでとう。
僕、僕、頑張って、強くなったよ・・・。
仲間もできた。でも・・・僕は・・・。」
色んな思いが溢れ出してきて、村でのこと、村を捨てたこと、でも頑張ってきたこと。頭の中がぐちゃぐちゃになって、涙が溢れて喋れなくなった。
「シュペア、ゆっくりでいいよ。ちゃんと落ち着くまで待ってるから。
奥の私の部屋に行くか?」
「うん。」
「シュペア~、次行くぞ~。
って、誰だ。シュペアに何をした!」
「おい、シュペアから離れろ!」
ルシカとゲオーグが僕を心配してくれてる。
「違うの。この人は・・・。」
シーッて言ってたから、領主様だって言っちゃいけないんだろう。
領主様の前に出て手を広げたけど、でもどうやって2人に説明すればいいのか分からなくて、言葉が出てこなかった。
焦っていると、さっきの頭の中のぐちゃぐちゃはどこかに行ってくれて、涙も止まった。
「2人はシュペアの仲間かな?」
「そうなの。僕たちは3人でパーティーなの。」
領主様が間に入ってくれた。
「私はここの管理人みたいなもので、シュペアとは知り合いでね。ここじゃ話せないから、君たちも一緒に私の部屋に来てくれるか?」
「あぁ、分かった。」
「ルシカ、良いのか?」
「シュペアが庇うくらいだから。今はとりあえず行こう。」
「そうだな。」
関係者以外は入れないドアの向こうを奥まで歩いて行くと、いくつか扉があって、領主様はその一つの扉を開いた。
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