19. クンスト到着と未来のこと
>>>領都観光
「わぁ~凄い。綺麗だね。」
「シュペア君はクンストに来るのが初めてだって聞いたから、喜ぶと思ってね。」
御者さんは少し遠回りして、クンストの街が一望できる丘の上で馬車を停めてくれた。
「御者さんありがとう。
僕、こんな風に高いところから景色を眺めるの初めてだよ。凄いね!」
「おぉ~凄いな。」
「本当だ。これは綺麗だな。」
ルシカとゲオーグも馬車を降りて景色を眺めている。
街の東には大きな森が広がっていて、街の中は線を引いたように綺麗に道が放射線状に広がっている。
東側の区画に建つ家は、屋根の色が赤くてお揃いで可愛い。街の真ん中の公園みたいなところには、小さい川が流れている。
こんな景色を見ることができるなんて、旅って楽しいな。
「そろそろ行こうか。街の中にはもっと面白いものがたくさんあるよ。」
商人のおじさんに言われて、僕はワクワクしながら御者さんの隣に座った。
「警備が厳しいな。お披露目会が近いからか?」
僕たちは全員、身分証の提示を求められて、門番さんに確認してもらってから中に入った。
前に受付のお姉さんが言ってた。ギルドカードは身分証になるって。良かった、冒険者になって。
身分証は、僕が僕だってことを証明するものなんだって。他の街にも入ることができる。大人になったみたいで嬉しい。
「では、私たちはこれで。またタイミングが合えば、ぜひ護衛をお願いしたい。
シュペア君、クンストを楽しんでね。」
「うん。商人のおじさんも楽しんでね。御者さんもまたね~」
依頼達成のサインをもらうと、商人さんたちと別れた。
ちょっと寂しい。
--------
>>未来に向かって
「よし、ギルドに行こう。それで宿を取って、美味いもん食いに行くぞ~」
「うん。」
「おう。」
「クンストの冒険者ギルドは小さいんだね。」
「そうだな。レーマン周辺の森は魔獣が多いからギルドも大きいが、領都周辺は魔獣がほとんどいないらしい。」
「討伐依頼が無いね。
護衛と薬草採取とお手伝いの依頼ばかりだよ。」
初めて来る、レーマン以外の冒険者ギルドが珍しくて、依頼の掲示板を見てみると、依頼も少なくて、Dランクが受けるような魔獣の討伐依頼は無かった。
お披露目会まで、領都で依頼を受けて時間を潰そうと思ってたけど、薬草採取くらいしか無い。
依頼を受けなかったとしても、東に広がる森には行ってみたいな。
依頼達成の報告をすると、僕たちは宿を探しに行った。
「また3人で一緒の部屋に泊まりたいね。」
「そうだな。部屋が空いてたらな。」
森の木陰亭という宿で10日間取った。
3人部屋は無かったけど、広めの2人部屋にベッドを1つ追加してくれるそうだ。
部屋に武器を置いて、防具も外して、ご飯を食べに行った。
「「「かんぱーい!!」」」
ルシカとゲオーグは、いつものようにエールを、僕はリンゴジュースが無かったから、オレンジジュースというのを頼んだ。
「美味しい。これ、初めて飲む味だ。
リンゴとは違って、ちょっと酸っぱいけど、美味しい!」
「良かったな。」
「うん。」
リンゴジュースよりも濃い橙色のジュースは、とっても美味しかった。
「何食う?」
「あ、これ商人のおじさんがご馳走してくれたパスタって料理だ。トマトソース以外のソースもあるよ。
僕、これ食べたい。」
僕は少しお肉が乗ってて、黄色いソースがかかったパスタを頼んだ。
ルシカとゲオーグはエールに合う料理をお店の人に聞いて、鳥をハーブで焼いたのとか、豆と肉の煮込みとか色々なものを頼んでた。
僕も少しずつもらった。
世の中にはいろんな料理があるんだね。
僕はまだ知らないことがいっぱいある。もっと色々なことが知りたい。
色んな料理を食べたいし、色んな景色も見たい。
「シュペア、領主様の結婚のお披露目会が終わったらどうしたい~?」
「え?どういうこと?」
「レーマンに戻ってもいいんだが、俺たちは冒険者だから、このまま旅に出てもいいと思ってな。」
「そうそう。昨日チラッとゲオーグと話してたんだ。レーマンの周辺にいる魔獣はだいたい戦ったし、他の地域に行けば、他の魔獣とも戦える。
他国に行くとかどうだ?」
「シュペアはいつか領主様の護衛になるんだろ?色んな国を見て、色んな魔獣と戦って、色んな知識をつけた方がいいだろう。」
「うん。でも、2人は嫌じゃないの?」
「あぁ、強い魔獣と戦って強くなりたいし。せっかく冒険者になったんだから、色んな国を冒険してみたいよなー。」
「俺もルシカと同じだ。色んな強い魔獣と戦って、もっと強くなりたい。広い世界を見てみたいな。」
「凄い!広い世界。そっか。そんなことできるんだね。」
「俺らは宿暮らしだから、家も無いし、どこへ行くのも自由だ。」
「そうだ。俺らは自由だ。」
「うん。僕も行く。色んな国、行きたい。もっと強くなりたいし、色んなこと知りたい。」
「よし、決まりだな。
俺らの未来に向かって~」
「「「かんぱーい」」」
楽しい。ルシカとゲオーグと一緒にいると楽しい。仲間っていいな。
1人よりもっと強くなれる気がする。
閲覧ありがとうございます。




