表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/455

179. お休みの僕たち2/2


今日のゲミューゼのパスタはキノコとじゃがいものクリームソースパスタだった。

シチューみたいなところにパスタが入ってて、温かくて美味しかった。


「ルシカ、やっぱり変だな。大丈夫か?」

「いや・・・俺ダメかも。

好きな子ができたけど、彼女は騎士団の奴が嫌いらしい。戦うってことは野蛮だと思ったんだろうな。嫌われた。」


そんなことがあったんだ・・・。

僕はまだ好きな女の子とかいたことないから、何て言えばいいのか分からなくてゲオーグを見た。


「そ、そうか。ルシカの様子がおかしかったのは失恋したからだったのか。

俺は恋とかしたことがないから、こういう時に何て言えばいいのか分からん。

上手い言葉が見つからなくてすまない。」

「いや、下手に慰められるよりいい。ゲオーグ、ありがとう。」


ゲオーグも恋したことないんだ。

そうなんだ。大人はみんな恋したことあるのかと思ってた。

でもそっか。結婚してないもんね。きっと恋したら結婚するんだと思うから、結婚してない人は恋したことがない人もいるのかも。

僕もいつか好きな子とかできるんだろうか。


ルシカはいつ出会ったんだろう?

騎士団には女の人がいないし、お城の人とかかな?街で出会ったのかな?


「今夜は付き合う。飲むぞ。

シャーム小隊長とかそのへんの奴も誘おう。みんなと一緒に飲んだ方が楽しいだろう。」


「ルシカ、元気出してね。」

「あぁ。シュペアもありがとう。

よし!もう俺は恋愛なんかせずひたすら強い男を目指すぞ!

2人ともちょっと森まで付き合え。」

「あぁ、分かった。」


お店を出ると、僕たちは王都を出て森に向かった。

今日は武器もトレントの棒も持ってなかったけど、そっか僕、氷の武器作れるんだった。



「ルシカ、模擬戦したいってことでいい?」

「あぁ。あーしまった。武器を忘れた。」


「大丈夫。僕が氷の剣を作るから。」

「シュペア、ありがとう。もう俺、ダメダメだ・・・。ちょっとゲオーグ相手してくれ。」

「それは構わないが、大丈夫か?」


僕がショートソードを2本作って2人に渡すと、2人は模擬戦を始めた。

ちゃんと模擬戦ように刃はつけずに剣を作った。

当たったら痛いけど、それは模擬戦をするなら仕方ない。


僕は2人の戦いを見てたけど、ルシカの剣はいつもより勢いもないし、刀身もブレてるし、大ぶりで隙だらけだった。

無茶苦茶に振り回してるだけみたいな戦い方に見えたけど、きっとこれでルシカは辛さを解消してるんだろうって思った。


ゲオーグも最初は戸惑ってたけど、ちゃんとルシカに合わせて受け流したり、剣を合わせたりしてた。

でも、そんな戦い方だから、ルシカはゲオーグの剣を受け止めきれずに剣が飛んでいった。


積もった雪の上に大の字に倒れていくルシカ。


「俺、騎士団に入らない方が良かったのかな?

騎士団に入らなかったら、あの子は俺の隣にいてくれたのかな?」

「ルシカ・・・。」


そう言ったルシカの目の端には、涙が光った気がした。

失恋ってそんなに苦しいんだ・・・。




その後、一旦寮に戻って、シャームとか小隊のみんなとか、その辺にいた中隊の人を誘って飲みに行った。


「ルシカ〜なんだよ〜言ってくれれば合コンでも開いたのに〜」

「いや、俺はそういうのは・・・」


「まぁいいから飲め。飲んで忘れろ。ルシカにはもっといい女がいる。」

「あ、あぁ・・・。」


なんかルシカは絡まれてる?

でもちょっと楽しそうだし、ゲオーグが見守ってるから大丈夫かな。



「シュペアは俺らとは初めましてだよね?

シャーム小隊長とは共闘したとか聞いたけど。」

「うん。僕はシュペアです。最近はフェルゼン中隊長の仕事を補佐のイースと一緒にしてるから、戦士部隊の訓練には行ってないの。」


「そっか〜

シュペアもかなり強いって聞いたよ。」

「そんなことないよ。ほら僕小さいでしょ?だから足も遅いし力も弱いし、身体強化使ってもまだまだ弱い。」


「え〜色々凄い魔術を使うって聞いたよ。リザードマンを小隊長より先に倒したとか。」

「どうだろう?魔術は使えるけど、そんなに凄いのは使えないかも。あの時は僕がリザードマンの剣を上手く受けられなくて飛ばされちゃったから、咄嗟に魔術の槍を放って倒したの。」


「そうなんすよ〜

シュペアはリザードマンを氷の檻に閉じ込めて魔術で一撃で倒したんす。あれを見た時に自分はまだまだなんだと思ったっす。

君らも戒めのためにシュペアの魔術を一度は見た方がいいっすよ。」


「戒め!?シュペアはこんなに可愛いのにそんな凄いことするの?」

「シュペアは中級魔術にも耐えられる練習用の的をファイヤーボールで壊したって聞いたっす。」

「マジか〜スゲ〜」

「その話なら俺も聞いた〜」


「だよね?」

「そう、です。的を壊してしまいました。」


僕が的を壊しちゃった話、そんなに広まってるんだ。

なんか申し訳ないし、恥ずかしい。



「僕の失敗した話、そんなに広まってて恥ずかしい・・・。」

「失敗?なんで?成功じゃなくて?」

「全然恥ずかしがることないよ〜『俺は的壊せるぐらい強いんだぜ!』って誇ってもいいよな。」


「そうなの?」

「そりゃそうだろ〜だってそんなことできたら格好いいもんな。」

「シュペア、壊したこと気にしてたんだな。中隊長なんか何度も壊してるし気にすることないよ。」

「そうだぞ〜」

「だな〜」

「俺なら自慢する。」

「それは壊してから言え。」


そうなんだ。領主様は何度も壊したんだ。

格好いいことなの?よく分からない。

でも、中隊のみんなも、戦士のみんなも気にすることないって言ってくれたから、大丈夫なのかも。


ルシカは大丈夫かなってチラッと見てみたら、周りのみんなと肩組んで知らない歌を歌ってた。なんか元気になったみたいでよかった。



「シュペア、今度戦士の訓練にも遊びに来てよ〜」

「うん。行ってみたい。またシャームが戦ってるところも見たい。」

「また見たいなんて言われると照れるっす。シュペアにそんなこと言われたら見せるしかないっすね〜。」


「今日も可愛いシャーム小隊長が出た!しかも今日は可愛いシュペア付き。」

「よし、今週はいいことあるぞ。」

「やったな。」


シャームの小隊のみんなも仲良しなんだ。


閲覧ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ