169. クンスト&タッシェ案内1/2
今日は2話投稿
「おはよ~」
「おはよう。」
今日はカラッと晴れてて、どこまでも青く澄んだ空が広がってた。
吹く風は少し冷たくて、新しく買った冬用の厚手のローブがちょうど良かった。
紺色の生地にフードの端などに白で刺繍が入ってて、戦う時というよりは街や移動の時に着る感じだ。
冬の寒い時は戦わないからこれでいい。
「今日はクンストとタッシェに行ってみる?」
「そうだね~」
「乗合馬車だと4時間だけど、どうする?馬車にするか走るか。身体強化使えば馬車より早く着くと思う。」
「じゃあ走る~
馬車は退屈だし疲れてる時は乗るけど、あんまり好きじゃないんだよね~」
「それ分かるー、荷物が多かったからラジリエンからの帰りは馬車を乗り継いできたけど、かなり疲れたな。」
「だよね~
なんか走るより筋肉使わない?グレルとか身体が大きいし~、狭いから辛そうだった~ゲオーグも辛かったんじゃない?」
「そうだな。馬車は窮屈で動きが制限されるから長時間乗るのは辛いな。」
「じゃあみんなで走ろっか。身体強化かけるよ。」
「シュペアありがと~」
僕たちはクンストまで走って行った。
身体強化をかけて走るのも久しぶりだ。
街道沿いの森の木々は葉が落ちて冬って感じだけど、冬に咲く花も少し咲いてた。
「へぇ~ここがSランクのウィルが領主の街か~、綺麗なところだね~」
「そうだな。街も水路も綺麗に整備されてる。」
「まずはギャラリーに案内するね。」
「それ楽しみ~」
「モスケルさんのところにも行きたい。クシュの街長の件の時、モスケルさんも心配して伝言くれたから。」
「だなー」
「モスケル?冒険者なの?」
「そうなの。モスケルはAランクの冒険者で、芸術家なの。」
「それ凄い気になる~。そんな人いるんだ?」
「そんな冒険者がいるのか。珍しいな。」
僕たちはまずはギャラリーに向かった。
「これ、いいの~?だってここの領主でしょ~?面白いけど~」
「・・・これも芸術作品なのか?」
「領主様はこの像気に入ってるよ。これモスケルが作ったやつ。」
「この筋肉のカットはいつ見ても素晴らしい。」
「ゲオーグ、相変わらずだな。」
入り口にある顔だけ領主様の像を見て、みんなも気に入ってくれたみたい。
「ここ面白いね~
芸術作品って、貴族が見栄のために集めてるものだと思ってたけど、ここにあるのはそういうのとは違う感じ~」
「だな。美術館などは金持ちの商人か貴族しか行かないと思っていたが、ここは俺らみたいな美術品を見たことがない者でも楽しめる。」
「お?ルヴォンとグレルも芸術作品好きなんだな。ゲオーグ、仲間がいたな。」
「これは・・・。」
「何と言うか、凄いな。」
「俺らは先に行くね~」
「そうだな。」
「ルヴォンとグレルもこの絵怖い?」
「怖くはないけど~、思わず切り付けたくなるかも~」
「確かにな。」
「そっか。これ、森の妖精さんの絵なの。」
「えぇ!?妖精!?」
「てっきりゴーストかレイスかと・・・」
「妖精か。それは切り付けたらダメだね~」
「うむ、芸術とは難しいものだな。」
そこから部屋を移動して色々見ていくと、前に来た時とは飾ってあるものが違った。
そっか、売れちゃったのかも。
作品が入れ替わるから、いつ来ても楽しめるんだ。凄い。
販売コーナーではゲオーグがマグカップとペーパーウェイトを真剣な顔で眺めていた。
今は寮があるから持ち歩けない物でも部屋に飾って置けるんだ。