164. リザードマン2/2
3人の中ではシャームが最初にリザードマンを倒した。
「シュペア、大丈夫?自分がサポートするって言ったのに、サポートできなくて申し訳ないっす。」
「ううん?僕は大丈夫。油断したのは僕だし、風の魔術で落ちる勢いを軽減したから骨も折れてない。
それよりシャームの戦い凄かった。格好よかった。」
「そ、そう?格好いいなんて、なんか照れる。」
「あんなに速く駆け回ってる人初めて見たよ。」
「うん。足の速さだけは自慢だから。」
「槍の使い方も凄かったよ。注意を引く軽いヒットと、決め手のヒットを使い分けるの凄いと思った。」
「そう言ってもらえると嬉しいっす。
ルシカとゲオーグも強いんすね。自分がサポートするまでもなかった。」
「2人は強いよ。僕はまだまだだけど。」
「何言ってんすか。一番最初にリザードマン倒しておいて。
飛ばされながらの魔術の発動、あの手際の鮮やかさはちょっと見惚れそうでした。」
「そうかな。なんかちょっと照れる。ふふふ」
嬉しい。戦ってたのにちゃんと僕のこと見ててくれたんだ。
僕たちのこと見ながらあの動きしてたなんて凄い。
そっか、隊長になると戦っていても周りの動きもちゃんと見てなきゃいけないんだ。
それって凄いことだと思う。
そんなことを考えていると、ルシカとゲオーグがほとんど同時にリザードマンを倒した。
「2人ともお疲れ様。楽しそうだったね。」
「あぁ、楽しかった。」
「だなー、相手が剣ってのも面白かった。」
「2人とも強いんすね。
ルシカは意外と一撃の威力が凄いし、受け流すのも上手い。ゲオーグは斧を使ってるって思えないくらい素早く振るってたし、ゲオーグも受け流すのが上手い。これならすぐ分隊長になれそうっすね。」
「シャーム小隊長、戦ってる中で俺らの動き見えてたのか?凄いな。」
「確かにそれは凄い。俺は途中でチラッと見た時はとんでも無い速さで駆け回っていたように見えたんだが。さすが小隊長だな。」
「うん、まぁ。周り見ながら戦うのが自分の役目っすから。最近は戦うより見守るとか、危ない箇所だけ援護することも多いけど、やっぱり自分は戦いたいっすから。」
「凄い!格好いい!」
「あぁ。同感だ。」
「だなー」
「そんな褒めても何も出せないっすよ。それより、あと3体はどうするっすか?」
「僕はシャームの戦いが見たい。」
「俺も見たい。」
「俺も。」
「えっと、じゃあ・・・でも3体を一人で相手するのはキツいっす。できなくはないけど、怪我したら困る。」
「そうだよね。じゃあ僕が檻に入ったまま氷の槍でブスッとやるから、1体なら安全に戦える?」
「それならいけるっす。」
僕は檻の前に行くと、2体の心臓を氷の槍で一気に貫いて倒した。
「なんか、さすがウィルさんの直属っすね。自分はまだまだなんだって思い知らされたっす・・・。」
「あぁ、シュペアはな・・・。」
「あれと比べるのは中隊長と比べるのに近いくらいキツいだろう。」
僕は戻ると檻を解除した。
「身体強化いる?」
「無くて大丈夫っす!」
そう言いながらシャームは駆けていった。
「凄いなあの動き。目で追いきれない時がある。」
「あぁ。ルヴォンも足が速かったが、それとはまた違う動きだな。」
「槍の動きも凄いよね。僕はいつも攻撃の時は全力でグって力込めてたけど、強弱つけるのって難しそう。」
「確かにな。全部全力の方が簡単だし、強弱をその一瞬で判断しているのは凄い。」
「俺も新しい武器は先に槍がついたハルバードだから、あの強弱つける戦い方は参考にしたい。」
「軽いヒットかなって思ったところで重いヒット与えてることもあるし、判断が的確で凄いね。」
「だなー」
「あぁ。ずっと見ていられる。」
でも当たり前だけど、ずっと戦ってるわけじゃなくて終わりは来る。
流れるような槍捌きで心臓に鋭い突きを入れて終わった。
「シャームお疲れ様。凄かった。やっぱり格好よかったよ。」
「こんなんでよかったかな?自分の戦いでみんなが何か掴めることがあれば嬉しいっす。」
「「シャーム小隊長ありがとう。」」
「参考になったし、凄いと思った。」
「あの動きをしながら周りを確認してるなんて神技だな。」
「そんな褒めないで。なんか恥ずかしくなってきた。」
ちょっと赤くなってる。やっぱりシャームは愉快な人だ。
「リザードマンどうするの?」
「革が硬いから革鎧とかプロテクターとか作るなら持って帰ってもいいけど、全部は要らないっすね。
買取りもそこそこの値段になるから持ち帰るっすか?」
「1人1体?じゃあとりあえず3体は燃やしちゃうね。」
「あぁ、運ぶのを手伝おう。」
僕は土魔術で穴を掘ってゲオーグに手伝ってもらって穴に3体入れると、青い炎で高温で焼いた。
「うわぁ~青い炎なんて初めて見たっす!格好いいっすねー!」
「リザードマン重力操作かければ持って帰れるかな?」
「シュペアは引き摺りそうだけど、それでいいならいけると思うっす。」
「じゃあそうしようよ。また身体強化使って走って帰る?歩いて帰るには遠いよね?」
「だなー」
「歩いて帰ると日が暮れそうだな。」
「懐かしいな~」
リザードマンを背負った4人が街道を走るのを見た旅人や商人は慌てた。
リザードマンが走って王都に向かっていると。
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