144. みんなで薬草採集
朝起きると青空が広がってた。
隊長さんが朝迎えに来てくれて、分隊の8人と合流すると、さっそく冒険者ギルドに向かった。
「伝言が届いていますが確認されますか?」
「確認します。」
「ウィルさんから、『無事王都に着いた。3人も無事戻ってくることを信じて待つ。』と。」
「え?もう着いたんだ。凄い。さすがフロイだ。」
「もう着いたのか。」
「何というか、本人も凄いが、馬も凄いんだな。」
「でも無事帰れたんだ。良かった。」
「まぁ、あの人なら大丈夫だろ。」
「確かに、何があってもたちどころに解決してしまいそうだな。」
「この辺りの魔獣の情報はありますか?」
「王都周辺は、ゴブリン、ボアがたまに出る程度で、魔獣の数は少ないです。」
「分かりました。教えてくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
僕たちは依頼掲示板に行くと、薬草採集の紙を取って受付に持って行った。
「この依頼お願いします。」
「こちらの袋に入れて持ってきてください。」
「懐かしいな。薬草採集、レーマンでよくやったね。薬草採集のついでに魔獣倒したりして楽しかったな〜」
「あぁ、パーティー組んだばかりの頃によくやったなー」
「あぁ、薬草採集というより魔獣討伐のついでに薬草を摘んでた感じだったな。」
「外で隊長さんたち待ってるから、もう行こうよ。」
「だな。」
「あぁ。」
「お待たせしました。薬草採集の依頼受けてきたよ。
この袋をギルドで貸してくれるから、ここに入れて持ってくるの。」
「へぇー、袋まで貸してくれるんだね。」
僕たちは森まで向かって、どんな薬草があるのかとか、どんな効果があるのかを騎士のみんなに教えながら薬草採集を進めていった。
「この草はね、怪我しちゃった時にすり潰して塗ると治るのが早くなるんだよ。
火傷した時も使える。それに、だいたい森に入ればどこにでも生えてるよ。たくさん生えてる場所は少ないけど。」
「行軍中の軽い怪我ならポーションを使わなくても、この薬草で事足りそうだな。」
隊長さんが薬草を眺めながらそう言うと、騎士の人が紙にメモを取ってた。
「へぇ〜火傷にも使えるのは知らなかった。」
「え?ルシカ知らなかったの?」
「シュペアはよく知っているな。」
「うん。図書館で勉強したから。」
「シュペアは色々勉強して偉いな。」
「うん。」
ゲオーグが大きな手で僕の頭を撫でてくれた。
たくさん勉強して、色んなことを覚えると、みんなが褒めてくれるから、僕はもっと頑張れる。
薬草採集の袋が一杯になると、僕たちは武器は城門で預けたままだから、トレントの棒で模擬戦をした。
森の中の方が戦ってるって感じがする。
ふかふかの草と、木漏れ日と、虫や鳥の鳴き声がして心地よかった。
騎士の人にもトレントの棒を貸してあげると、模擬戦をしてた。
普段戦わない少し足場の悪い場所での戦いで、上手く動けない人もいた。
森や山は木がたくさん生えてるから後退する時にも気を使う。
でも、その分、距離を取らなくても木を盾にして避けたりもできるから僕にとっては戦いやすい。
「森で訓練をするのもいいかもしれない。演習場から出ての訓練は気分転換にもなる。」
「いいと思う。森の中でイスパーダ様を護衛することはないと思うけど、障害物があったり死角があるところはあると思うし、それの練習になりそう。」
「確かに。シュペアさんたちに付いてきてよかったな。護衛騎士隊で今後取り入れていこう。」
魔術の練習はできなかったけど、森の中を駆け回っての模擬戦は楽しかった。
その後、晴れた日は毎日、騎士たちを連れて森へ行くことになった。
「俺ら、毎日何してんだろうな?」
「ルシカ、深く考えたら負けだぞ。」
「負け?ゲオーグ誰に負けるの?」
「この世の摂理というか、そんな感じだ。たまには何も考えず流れに身を任せることが最善なこともある。」
「そうなんだ?なんか難しいね。」
「ゲオーグ、いいこと言ってる風に聞こえるけど、面倒だから考え放棄しただけだろ?」
「いや、まぁ、そうとも言う。」
ゲオーグは難しいことを言ってたけど、よく分からなかった。
僕はたくさん考えて、それで答えを出したい。
間違えたくないから。
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