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143. 暇つぶし


「中隊長帰っちゃったね。ちょっと寂しい。

僕たちも、ミスリルもらったら一度エトワーレに戻ろうよ。いっぱい心配かけちゃったみたいだし。」

「そうだな。トルーキエの王が動いたり、今回もラジリエンの王と関わってしまったし、俺たちは騎士団の身分まで使ってしまって、制服まで用意してもらって、とりあえず団長には挨拶しておきたい。」

「確かに。ゲオーグ、でもちょっと怖くない?

俺らもしかしてエトワーレの王様にも呼び出されたり・・・。」


「それは分からん。しかし、ラジリエンの王様に手紙を書いてくれたようだから、もし会えなくても中隊長に相談してお礼の手紙くらいは書いた方がいいかもしれん。」

「ゲオーグって意外とそういうところちゃんとしてるよな。」


「まぁ俺たちは平民だから王様に直接会うことはないだろう。」

「そうだよな。」


そっか。普通は平民が王様に会うなんて無いんだ。今回イスパーダと知り合ったのが凄く珍しいことだったんだ。



「今日は何する?」

「昨日少ししか街を見れなかったから、俺はもう少し街を見て回りたい。」

「あぁ、そうだな。」


ミランが何度も領主様に頼んでたチョコレートも買ってみたいな。

ラジリエンのチョコレートはきっと美味しいんだと思う。


「勝手にお城から出てったらダメだよね?」

「それはダメだろうな。」


「じゃあ隊長さんに聞いてみる。

隊長さん、僕たち街に行きたいんだけど行ってもいい?」


<ちょっと待っててくれ、すぐに誰か向かわせる。>


「誰か来るみたい。付いてくるのかな?」

「たぶんそうなんじゃないか?」

「あぁ、その人がいないと戻ってきても城に入れないんだろう。」


「そっか。確かに、僕たち冒険者ギルドにカードとエトワーレの騎士団の身分証しか無いもんね。」

「そうだな。」



少し部屋で待っていると、マージアさんが部下の人を1人連れて部屋に来た。


「お待たせしました。街に行くんですよね?我々もお供します。」

「うん。僕たちラジリエンの王都には来たことがなかったから、街を見て回りたくて。」


マージアさんは、観光名所と呼ばれる綺麗な建物とか、綺麗な花が咲いてる花畑とか、お勧めのケーキ屋さんにも連れていってくれた。


まだ闇組織の掃討作戦は続いてるみたいで、騎士の人が街にはたくさんいた。


みんなでケーキを食べて、お昼ご飯を食べると、お城に戻った。



「マージアさん、演習場を少し借りれないかな?」

「護衛騎士隊の演習場ならいつ使ってもらってもいいですよ。」


「いいのか?」

「えぇ。強い皆さんの戦いや魔術を見るだけでも騎士たちの勉強になりますし。」


良かった。街に行く度に誰かに付いてきてもらわないといけないのは、迷惑がかかるし、演習場を借りられるなら時間が潰せそう。


「良かったね。」

「あぁ。」

「だな。」


その日は、演習場で護衛騎士隊の訓練の様子を見せてもらって、僕たちは何もせずに部屋に戻った。

というのも、イスパーダが夕飯を一緒に食べたいと迎えに来たから。


「街に行ったんでしょ?」

「うん。綺麗な建物とか、お花がいっぱい咲いてるところに行ったの。」


「そっか〜

俺も行きたかったな〜」

「昼間にイスパーダを街に連れて行くのは、中隊長がいないと、僕たちだけじゃちょっと不安・・・。」


「いいよいいよ。そんな気にしなくて。ただ俺の願望を言っただけで本当に行こうとは思ってないし。

この前アサイー食べたのは楽しかった〜

こんな機会でもないと、街なんて気軽に行けないからね。ウィルには感謝してるよ。当日の騎士の配置とかまで手伝ってくれて。」


そうだったんだ。騎士の配置。

僕には出来ないことだ。領主様はやっぱり凄いな。ただ強くなるだけじゃダメなんだ。

僕は将来、領主様の側近になるんだから、そういうこともできるようにならなきゃいけない。

エトワーレに戻ったら、領主様がどんな仕事をしてるのか少し見てみたいな。

でも、僕にはまだ早いかな?


会議とか出るのかな?

難しそう。

今度イースに聞いてみよう。

あれ?でもイースは騎士団の中隊長補佐だから、領地は別の補佐がいるのかな?

その人は知らないかも。クンストにいるのかな?

うーん、分からない。


何を勉強すればいいのか分からないから、やっぱりエトワーレに戻ったら、領主様のお仕事をちょっと見せてもらおう。



それから1週間、僕たちは毎日護衛騎士のみんなの訓練に混ぜてもらったり、ルシカやゲオーグと一緒に模擬戦もした。


「たまには森とか行きたいね。」

「だなー、魔獣と戦わなくてもいいから、森で模擬戦とかしたいよなー」

「そうだな。冒険者ギルドで薬草採集でも受けるか?」


「久しぶりに薬草採集したい。」

「じゃあアセロ隊長かマージア副隊長に行ってもいいか聞いてみるか。

ギルドで薬草採集受けるくらいなら、俺らだけで行かしてもらえるかもしれない。」

「そうだな。街と違って案内してもらう必要もないしな。」


「今日、演習場に行った時に聞いてみようよ。」

「だなー」


「隊長さん、僕たち冒険者ギルドで薬草採集の依頼受けようと思うんだけど、行ってもいい?」

「薬草採集?何故そんなものを?」


「えっと、王都周辺は魔獣がいないから、この前見たら討伐依頼は無かったの。

でもたまには森とか行きたいし、それなら薬草採集受けようかなって。」

「なるほど。薬草採集。それはいい。私も一緒に行こう。」


「え?隊長さんが訓練抜けても大丈夫なの?」

「あぁ。何かの作戦や護衛の仕事が無い日なら大丈夫だ。分隊一つくらい連れて行くか。」

「え?」


そんなに付いてくるんだ・・・

いいのか分からなくて僕はルシカとゲオーグを見た。


「まぁ、いいんじゃないか?」

「仕方ないな。」


「エトワーレでは騎士団の者も冒険者をやっているんだろう?

まだ団長に許可を取っていないから登録はしないが、どんなことをしているのか見学させてほしい。」

「エトワーレの騎士団の人は冒険者登録してる人もたくさんいるみたいだけど、薬草採集に本当に行くの?」


「あぁ。薬草の知識など覚えておいて損はないからな。」

「そっか。分かった。晴れたら明日行こうと思ってたんだけど。」


「明日なら何の予定もないから大丈夫だ。」

「そっか。じゃあ明日の朝に。」


僕たちだけで行こうと思ってたけど、大勢で行くことになっちゃった。


「仕方ないな。俺たちだけでは外に出してもらえないということだろう。」

「そっか。じゃあ仕方ないね。」



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