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112. 8日目〜10日目


翌日から2日は本当に何もなくて、イーグルも来なかったし、ウルフとかも出なかった。

今日でペッケーノを出立して10日目だ。


「この前から魔獣にも出会わないね。」

「そうだな。」

「隊列が大きいからあまり魔獣が寄ってこないのかもしれないな。」


「そっか。確かに。魔獣も自分達が危ない目に遭ってまで僕たちを食べたいと思わないかも。それならもっと倒しやすそうなところを狙うね。」

「そうだな。」


そんな話をしていたら索敵に引っかかった。

ロック鳥だ。


「隊長さん、ロック鳥が来たよ。北西3キロ。」

「ロック鳥か・・・。」


「どうしたの?僕がやる?あ、美味しいからお昼に食べる?」

「はははっ、なんというか、シュペアがいると高ランクの魔獣も大したことないように聞こえるな。

シュペアならどうやって倒すんだ?」


「僕は風魔術で槍を作ってブスッとやる。」

「なるほど。それで地上に下ろして、ルシカやゲオーグにあとは任せる感じか。」


「僕1人でできるよ。前に1人でやったから、できると思う。」

「ルシカ、ゲオーグ、シュペアってもしかしてAランクか?」


「違うが・・・、強さだけを見ればAかもしれない。」

「シュペアがロック鳥を1人で倒せるのは本当だ。さっき説明したように風の槍で一撃で倒す。」


「ロック鳥を一撃で・・・はぁ・・私はこれだけ色々助けてもらっているのに、まだシュペアの実力を低く見ていたようだ。」

「俺はそれくらいできると思ってたけどね〜

あの綺麗な状態のグリーンタイガーを見たら疑う理由がない。」


「副隊長のマージアは魔術師だからシュペアの実力を把握していて、シュペアさんと呼んでいるのか。なぜ魔術師連中は子供のシュペアのことをさん付けで呼んでいるのか謎だったんだが、やっと理解できた気がする。」

「アセロ、それだけではないぞ。シュペアは魔術師たちに指導も行っていたからな〜」


「そうだったのか。」


「アセロだって声に魔力を纏わせる方法を教えてもらっただろ?」

「確かに。あれは本当に便利だ。知る前はどうやって伝達をしていたのか忘れるほどで、もうあれを取り上げられたら何もできなくなりそうだ。」



「ねぇねぇ、ロック鳥はどうするの?もうあと1キロくらいだよ。」

「シュペア、いや、シュペアさん、ロック鳥を倒さずに翼を貫いて地上に下ろすことはできますか?」


「できるよ。」

「お願いしたい。せっかくだから地上戦は騎士たちに経験させたい。」


「分かった。もう来るから、馬車の西に下ろすよ。準備してね。」

「ありがとう。」


「ロック鳥はシュペアさんが地上に下ろしてくれる。地上戦は騎士たちで行う。

第一分隊と第二分隊は馬車の西で戦闘準備するように。」


僕は馬車を降りて空を見上げると、こっちに向かってくるロック鳥が確認できた。

あの鳥は昔、領主様が僕たちに狩ってきてくれた魔獣で、トルーキエでも倒したけど、あの時は食べれなかった。

今日は食べれるかな?食べれるなら食べたいな。



僕は風の魔術で槍を作って、翼にターゲット設定してこっちに近づくのを待った。

僕の少し後ろでは、騎士が待機してる。


今だ。僕が槍を放つと、ロック鳥の翼に穴が空いた。


ギシャアァァァァァ


ロック鳥はバランスを崩して落ちてくる。


「あとはお願いします。」

僕は待機していた騎士のみんなにお願いすると、馬車に戻った。


「さすがですね。ロック鳥は風の魔術を纏っているから、地上に下ろすのも大変で、下ろしてからもなかなか刃が通らなくて倒すのに時間がかかるんだ。」

「そっか。じゃあ僕が槍を持って戦ったら倒せないかもしれないね。」


「そうか。シュペアさんは魔術の印象が強いが、槍も使えるんだったな。」

「うん。僕は最近は魔術を使うことも多いけど、一番得意なのは槍なの。

身体強化を使わないと力も足りないし足も遅いけど、使えばちゃんと戦える。と思う・・・。」


「あぁ、シュペアは槍での戦いでも強いぞ。」

「そうだぞ。槍だって十分通用する腕前だ。」


ちょっと自信がなくなったけど、ルシカとゲオーグがちゃんと戦えるって言ってくれたから嬉しかった。



「隊長さん、ロック鳥は埋めちゃうの?食べたらダメ?」

「食べたいなら食べてもいいよ。」


「じゃあ食べたい。」

「良かったな。」


「ロック鳥を倒したら埋めずに報告してくれ。」

隊長さんが戦ってる騎士に声を届けてくれた。


ロック鳥を倒すのをしばらく待っていると、かなり時間が経ってから、倒したと馬車まで伝えに来てくれた。


「じゃあ僕、血抜きしてくるね。」

「え?」


馬車を降りて走って向かうと、羽がバラバラに散って、傷だらけで血だらけの、本当にロック鳥なのか分からないくらいボロボロになって倒れてる鳥がいた。


これ、血抜きできるかな?


近づいて、地面に穴を開けてナイフで首の血管を切って、流動で血を出していくけど、血管の色んなところが破れてて、いつもより難しかった。


ふぅ、なんとかできた。

「これ、捌けますか?」


僕が血抜きをするところを眺めていた騎士の人たちに聞いてみると、捌けるみたいだったから、お願いした。


僕がロック鳥を捌いているところを見てると、馬車からイスパーダと隊長さんとルシカとゲオーグとモルさんも降りてきた。


「もうそろそろ時間的にもお昼なので、このままお昼ご飯にしようか。」

「いいの?」


「今は夏だし、肉は早めに食べた方がいいでしょ〜?せっかくの肉が腐るといけないしね。」

「うん。」


騎士のみんなが近くの森で枝とかを探してきてくれて、捌いたロック鳥を枝に刺して焚き火で焼いた。

味付けは塩だけだったけど、美味しかった。

懐かしい味がした。


領主様、元気にしてるかな?領主様はお肉を食べないって言ってた。

フルーツは食べるかな?美味しいフルーツを買っていってあげたいけど、腐っちゃうかな?


「美味しいね。」

「あぁ。美味しいな。」

「そうだな。」


その日は、それ以降は魔獣も出なくて、夕方には次の街に着いた。



僕たちはまたギルドに行って、この辺りの魔獣の情報の確認をして、中隊長に伝言を残した。

「伝言が届いていますが、確認されますか?」

「はい。お願いします。」


「Sランクのウィルさんからの伝言です。『順調に移動しているようで安心した、どの辺りを進んでいるのか教えてほしい』と。」


「どの辺り?ここどこだろう?この街の名前を教えてください。」

「ここはパーサロです。」


「ありがとう。さっきの伝言に、『パーサロにいる』と追加して下さい。」

「かしこまりました。」


中隊長は場所を聞いてどうするのかな?

地図で僕たちの進み具合を確認したいのかもしれない。

心配かけちゃってるんだな。あと5日だ、頑張ろう。


その日も、悪い人は来なくて、何も起こらず朝を迎えた。


閲覧ありがとうございます。

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