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「嘘つき」と「」と ___ (1)  作者: 時月 雨来
1/1

「嘘つき」のうそ

「うそ」が全部いけないものだと思いますか_?

-「嘘つき」-

誰かが放った言葉。自分に言われたわけでも悪意を含んでいたわけでもないのに胸が痛くなった。僕は嘘がいけないと言われているように感じた。嘘をついたことがない人なんていないだろうに。








僕には「嘘つき」な友達がいる。息をするのと同じように嘘をつく。ほら、今だって


「なぁ春里、チーズ好き?」

「好きだよ、なんで?」

「今度さ、チーズフェスティバルが近くであるらしくて行かね?!」

「行く!楽しみだな!」


そんな会話を聞きながら帰り支度をして席を立つ。さっきまで会話をしていた友達の近くに行き声をかけた。


「春、帰ろ」

「おう、んじゃまたなー」


クラスメイトに声をかけてる春を置いて歩き出す。まぁ先に歩き出しても、春は歩くのが早いからすぐ追いつかれるんだけど…。


「置いてくなよなー」

「長いからでしょ。……………チーズ苦手なくせに」

「まぁいいだよ」

「僕はお前のそういうところが嫌いだ」

「ははっそりゃどうも」


そう言って笑った春の顔が一瞬だけ、泣きそうに歪んで見えた。見間違いかと思うほど、見逃してもおかしくないくらい

一瞬だった。次瞬きした時には既にいつもの表情に戻っていて、(あぁ触れて欲しくないんだな)と察する。そこからは今日の出来事を春が1人で話している、といういつもの構図だった。


「俺、四限の選択授業さ数学だろ?その担当教科の藤崎先生がやたらと俺の事当ててくるんだよ!おかしくね?」

「へーよかったじゃん」

「良くねーよ!当てられる心当たりはある…が!俺だけなのはおかしい」

「なんだよ」

「確かに、俺は寝ていた。けど他のやつも寝てたからな!」

「日頃の行いなんじゃない?」

「君、僕に冷たくないですかね??」

「いつもでしょ」(フッ)

「笑いやがって…!あ、そーいえばさ今度自販機に新作来るらしいぞ」

「ほんと?何の味?」

「いや、そこまではわからん」

「はぁ」

「ため息!!」


とりとめのない会話をしていると、それぞれの家への分かれ道に差し掛かった。そしたら春が急に、


「明日!!寝坊すんなよ!笑」


と言った。

(明日なんかあったっけ…?あー校外学習だ)なんて思いながら


「努力はする」


とだけ返した。春は僕のその答えに満足したように笑って


「じゃあまた明日な」


と言い背を向け歩き出した。


いつもなら分かれ道から家までの道を音楽を聴きながら帰る。でも、今日はそんな気分じゃなかった。

「「嘘」だったな」

ボソリと呟いた。

昼休み、春が自販機に飲み物を買いに行ってる間に、四限が数学だったクラスメイトが笑いながら話してるのが聞こえた。大きい声だったからクラス中に届いていただろう。


「今日の授業、春里めっちゃ当てられてたよ」

「え、なんで?」

「あんたたちが寝てたから」

「え、関係ある??」

「先生があんたら当てても寝てるから起きてて、かつあんたらと仲のいい春里が代わりに当てられてたんだよ」

「まじかーー感謝(笑)」

「全然感謝してないでしょ笑」

「ぶっちゃけおもろい」

「私も見てる分にはおもしろかった。でも自分がって考えたら本気で嫌」

「わかるわー」


率直な感想、馬鹿だなと思った。そんな話を大きい声でするもんでもないでしょ。そろそろ春帰ってくるし…。


すると教室のドアから春が入ってくる。寝てた組はここぞとばかりに


「春里、アリガトな(笑)」


と、笑いをこらえながらお礼を言う。堪えきれてないけどね。


「感謝しろよー笑 今回はたまたま予習してたから良かったけど、次また同じことあったら購買のパン、一種類ずつ買わせるからな!」

「ははー春里様ーなんなりと」

「うむ、苦しゅうない笑」


その言葉を聞き終えたと思ったら、肩を叩かれ、そっと顔を上げる。


「ただいま。ほい、これやるよ」

「おかえり、ありがと。なにこれ」

「好きそうだなと思って優しい優しい俺からのプレゼント」

「わーうれしいなーー」

「すごい棒読み(笑)」


話しながらイヤホンをとる。イヤホンはしてただけで音楽は春の話が始まった時から切ってたんだけど。


今日のことを思い返しながら考える。何個嘘をついたんだろう…。

チーズは苦手、授業は寝ていない、予習もしてきてない…数えるのが疲れそうだ。


一日を思い返しているとあっという間に家に着いた。

リビングに行くと兄ちゃんと弟がゲームで勝負をしている。


「「おかえりー」」

「ただいま。母さんは?」

「小谷さんのとこに野菜のおすそ分けに行った」

「ばあちゃん家から?」

「そうそう」

「秋兄も一緒にゲームしよ!!」

「あとでね」

「やったー」


兄ちゃん今日大学休みだったのか。それにしても大学生が中学生の弟相手に頭の使うゲームで勝負って…賞品であるプリンがそんなに食べたいか。と思いながら自室に入る。

服を着替え、明日の準備を済ます。汗をかいたので早めにお風呂に入り、出てくるとお母さんが帰ってきていた。


「おかえり」

「ただいま。秋こそおかえり」

「うん。今日ご飯いいや、寄り道したし眠いからさ」

「軽いものもいらない?」

「うん。いい」

「わかったわ。」

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」


「りく、ごめんね。今日兄ちゃん眠いからまた今度ゲームしよな」

「いいよ。またしようね!」

「ありがと」

「兄ちゃんもおやすみ」

「おう、おやすみ」



「はぁ」


自室に入った途端ため息がこぼれる。


すぐにベッドに横になり目を閉じる。


懐かしい光景が浮かんだ。

ある年の新学期、1回目の中間考査。

チラリと見えた答案用紙。数学94点。その点数を取った人物は言う。


「俺、ギリ50あったわ」


そこで目が覚めた。


あれはいつだっけ。そうだ、春と初めてあった年だから中一の時だ。僕が初めて春の嘘を聞いた日。


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