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あの……どちら様で?
「よかった。千夏ちゃん……」
ぱっちり二重にすっと通った鼻筋、カールのかかった薄い茶髪を遊ばせ、口元には爽やかな笑み。
私にこんなイケメンの知り合いはいない。
「あの……どちら様で?」
「やだなあ、千夏ちゃん。私だよ私、秋だよ。服装教えてたじゃん」
私は今日の約束をした時のメッセージを思い出す。
『じゃあ当日は、白いパンツに上は黒のTシャツで行くから。分かるようにグッズの帽子とリストバンドつけて行くね』
イケメンの服装は白いカーゴパンツに黒いTシャツを合わせたモノクロ基調の服だ。
またアクセサリーとして、黒い帽子に黒のリストバンドをつけている。
そのロゴには『a-Ru』の文字が……。
「え……!?本当に秋ちゃん!?」
「そうだよ?」
いや、どこからどう見ても秋ちゃんのあの字も見えない。
変わっているだろうとは思ったが、とんだ方向性に変わったものだ。
「可愛くなったね。誰かと思った」
「う、うん。ありがとう」
いやいや、私こそそのセリフを言いたかった。