97 出来る皇帝は家事も出来るw
「ほんじゃま、いつまで有象君にだけ任せとくわけにもいかないから、あたしは下総屋に戻るわ。絵栗鼠ちゃんに新田君、明日からよろしくね」
明日からって、結局、コスプレが優先して、履歴書の提出も面接も何もないまま、採用決定でいいのでしょうか?
「いいんだよ」
何故か笑顔の鵜鷺先生。
「犬咲は天性の人物鑑定眼があるからね。琴理ちゃんもあんな感じで採用が決まったんだよ。あなたたちは犬咲にあれだけ気に入られたんだから大丈夫」
そうなんですか? 僕なんか普通の高校生だし、エリスに至っては自称「皇帝」って、うぐぐぐ。
「『自称』とは何だ? 『自称』とは! あたしは父のケンタウリ帝国皇帝から正式に任命された『地球ケンタウリ帝国皇帝』だぞっ! オキムネッ! 大体、おまえは帝国参謀総長としての自覚が足らんっ!」
うぐぐぐ。分かった! 分かったから後ろからヘッドロックかけるな。エリス。それに僕の背中にない胸を擦り付けるなあっ!
「くすくす」
鵜鷺先生いい笑顔。笑ってないで助けてくださいよお。
「もう遅いからね。いつまでもウェディングドレスに燕尾服でいるわけにもいかないから、下総屋で着替えてきな。あ、新田さん、二人を送ってくださるんですよね?」
鵜鷺先生の言葉に母さん大きく頷く。
「父さんはうまいこと口実作って飲みに行っちまいやがったからね。父さんの分の夕飯余っているから、絵栗鼠ちゃん、食べていきなよ。
うちのお嫁さんとして、あたしと一緒に夕飯温め直そ」
ここで考え込むエリス。
「うーむ。『皇帝』が夕飯を温め直してよいものだろうか?」
「いいんだよ。剣汰瓜さん」
いい笑顔のままの鵜鷺先生。
「『出来る男は家事も出来る』という歌詞もあるし、『出来る皇帝は家事も出来る』んだよ」
「そうかそうか。あたしは『賢帝』だからな。家事も出来る皇帝なのだな」
つられて笑顔になるエリス。単純な奴だなあ。まあ助かるけど。
◇◇◇
「そういう訳で本堂君。君は鵜鷺先生が送っていくよ。もうだいぶ遅くなったしね」
「鵜鷺先生。またも我が宿敵オキムネのリア充イチャコラを見せつけられハードなハートブレイクなこのあっしに何の御用で?」
「だ・か・ら、『ピョンちゃん』言うなっ! モテたいんでしょ? 意地張って新田君に嫉妬していてもモテないよ。ここは先生のご厚意に甘えなさい」
「……」
サダヨシ、またも真っ赤だわ。教室ではサダヨシ、ノリノリだったけど、やっぱ鵜鷺先生の方が一枚上みたいだわ。
 




