77 バイト先にも「剛の者」が待つw
「本堂君の言うとおりの『不純異性交遊』だったら、私一人の手に負えないよ。だけど、有難いことに単に剣汰瓜さんと新田君がアルバイトしたいって言うから、私の友人が店長やっているところを紹介するだけだよ。あ、本堂君も一緒にやる? 新田君の友だちみたいだし」
至って冷静な鵜鷺先生の返しに、サダヨシは「ふっ」と笑うと窓を見つめる。
「ピョンちゃん先生。オキムネは確かに『友』。いや『友』だった。ふっ、何もかも懐かしい。今やオキムネは『とも』は『とも』でも『強敵』の方になっちまった。ふっ、憎いぜ。『リア充』が憎い」
「本堂君……」
神妙な表情でサダヨシを見つめる鵜鷺先生。
「……」
寂しげな表情を浮かべるサダヨシ。
「『ピョンちゃん』言うなって言ったでしょっ!」
「カックン」
その場で崩れ落ちるサダヨシ。そして、女の子たちは僕がエリスに「あーん」するのを見るのに夢中で誰もサダヨシの方を見ていないのだった。
◇◇◇
「とにかく鵜鷺先生。僕は本分である『女の子情報の収集』をエタらせるわけにはいかないので、今はバイトはいいです。後でお願いするかもしれませんが」
「本堂君の本分は『勉学』でしょう。趣味に熱中するのもいいけどストーカーにならない程度にね。ま、バイトの方は気が変わったらいつでも相談して来て。はいはい。新田君、剣汰瓜さんへの『あーん』は終わりそう?」
はい。お待たせしてます。もう終わります。
「それじゃ先に生徒指導室に行ってるから、後で来て」
はーい
◇◇◇
「まあ私も人のこと言えないけど、剣汰瓜さんも新田君も相当なマニアでしょう。ピッタリの所紹介してあげるよ。ちょうど私の友だちが店長やってるんだ」
確かに僕はアニメ、ラノベ、ゲーム、コミックが大好きですが、エリスと一緒となると何故か暗雲が漂う予感がするのは何故でしょう。
「ほら知ってるでしょ。駅前の『下総屋』」
下総屋? 中古のコミック本に始まってDVD、ゲームソフト、音楽CD、フィギュア、最近は古着とかも扱っているあそこですか? 知ってるどころかよく通ってます。
「やっぱり知ってたかあ。あそこで今店長やってる犬咲が昔からの友だちなんだ。まあ、ねこやとも友だちなんだけどね。多分、校長先生とも親しい」
ほっ、ほう。鵜鷺先生のみならず、校長先生やねこや先生とも親しい。それは相当の「剛の者」の方では?
「ピンポーン。私はまだしも、ねこやと仲いいんだからね。はい。変わっています。でも気のいい奴だよ。それは保証する」
分かっております。今まで出会った方、みなさん「いい人」なんですよね。ただ「剛の者」なだけで。




