76 オキムネは変態の芸能人か?w
まあサダヨシは規格外だからいいとして、問題は僕とエリスを十重二十重に包囲している女子高生のみなさんだ。
「やるわねえ」
「本当。入学三日目にして教室で『あーん』とは何て大胆な」
「ねえねえどっちが誘ったの?」
「それが剣汰瓜さんの方みたい」
「何と! 肉食系なのね」
「うっわーん」
わあっ、泣きだした女子高生の方がいる。何だ何だ。
「暗黒の受験勉強期間を抜け、やっと高校に入ったのにスクールアイドルはいないわ、両片思いを異常な形でこじらしている生徒会役員の話は入って来ないわ、本当にガックリしてたの」
いや、このガッコ。油断ならないですよ。そのうちスクールアイドルも両片思いを異常な形でこじらしている生徒会役員も出てくるかもしれないですぞ。
「そこを入学三日目にして教室で『あーん』しているカップルに出会えるなんて高校入ってよがっだあ~」
何と感涙。良かったですねえ。きっとこのガッコはあなたを満足させられる気がしますよ。
「オキムネッ! よそ見をするなと言ってるだろうっ!」
◇◇◇
「「「「「キャーッ」」」」」
たちまち沸き起こる黄色い大歓声。何なんでしょうね。もう。
キーンコーンカーンコーン
あ、休み時間終わった。五時限目の休み時間十分しかないもんね。
「オキムネッ!」
わあっ、エリスに両肩を掴まれた。
「まだ『あーん』は終わっていないっ! 続きは放課後だっ! いいなっ!」
「「「「「キャーッ」」」」」
なんつー真剣な眼で見るんだよ。エリス。
しかし、放課後には何かあったような。
◇◇◇
六時限目は五時限目よりは授業に集中出来ました。こっちからエリスへの「あーん」はMPを削られましたが、逆に女の子たちの「キャーッ」で冷静になった感じ。
エリスはと見れば何やら高揚している様子、早くも気持ちは放課後か。うーん。可愛くはあるんだけど。
そして放課後はやってくる。
「オキムネッ、続きだ。あーん」
「「「「「キャーッ」」」」」
たちまち集まって来る女子高生のみなさん。しかし、みなさん飽きないんですか? ただ僕がエリスに給餌してるだけですよ。
ガラッ
「うわっ、何が起こってるの?」
あ、鵜鷺先生が入って来た。
「あ、ピョンちゃん先生っ!」
「新田君が剣汰瓜さんに『あーん』して食べさせてるんですー」
「ラブラブだよー」
「ピョンちゃん先生も一緒に見ようよ」
「ふうー」
鵜鷺先生、溜息を一つ。
「うちの学校。私が生徒だった頃から自由な校風だったけど、最近は凄い域まで行ってる気がするわ。それから『ピョンちゃん』言うな。えーと、何しに来たんだっけ。あ、そうそう、剣汰瓜さんに新田君、例の話するから生徒指導室来て」
「オーマイガッ!!」
雄たけびと共に膝から崩れ落ちるサダヨシ。このパターン何回目だ。
「とうとうオキムネの『不純異性交遊』がバレたんですねっ? どこで激写されたんですかっ? ラブ〇の前ですかっ? それとも『野外』ですかっ?」
僕は変態の芸能人か?
 




