7 ♪ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃんw
絵栗鼠は下を向いたまま赤くなったり青くなったりして考え込んでいたが、やがて顔を上げた。
「ふっふっふっ、わあっはっはっ」
うわ、何だ何だ? 何かが切れたのか?
「見事だ。新田興宗。よくぞ、このあたしが出した試練をクリアした」
えーっ、これって「試練」だったの? うっそだあっ。
「やっ、ややや、やかましいっ! 目上の人の言うことは聴くもんだ。あたしはこれでも皇帝陛下だぞ」
はあ、そう言われましても、口でそう言ってるだけでは。何か証拠となるものを見せていただけると。
「証拠? それは『証』ということか?」
まあ、そうとも言いますね。
「……」
何真っ赤になって沈黙してるの? そんな変なこと言った?
「オキムネ。おまえ結構肉食系だな。あたしの『証』が見たいとは……」
いやその証拠を見せろと言っただけなのにそういう話になるの? ちょっと待って。
「オキムネ。おまえ、そんなに見たいのか?」
わーっ、いや僕だって「彼女いない歴=年齢」だよ。頬を染めて上目遣いで見つめないで。ううっ、鼻血が出そう。
絵栗鼠はそれから何も言わない。僕も何も言えない。沈黙が重いよー。
◇◇◇
♪ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん ちゃ~ちゃらら~ららら~
そんな中流れて来たBGMはラテン音楽の名曲「タブー」。日本では加藤茶が「ちょっとだけよ」のギャグのテーマソングに使ったことで有名で……
って、待て待て待てーっ、何でここでこの音楽が流れる!? メタルヒーローズ、選曲間違ってるだろ? おまえっ!
絵栗鼠も相変わらず上目遣いで見てるんじゃないっ! 分かったっ! 分かったっ! 皇帝なんだな。分かったってのっ!
ここで絵栗鼠は態度が豹変。
「やっと分かったか。手間をかけおってからに」
うーむ。はめられた?
◇◇◇
「ともかくだ。オキムネ。おまえは試練を見事乗り越えた。その功を賞して、おまえを地球ケンタウリ帝国参謀総長に任命する」
はい? あの僕、ただの高校生なんですけど。何なんですか? 参謀総長って。
「はっはっはっ、そう照れるな。オキムネの才覚を買って、建国のための知恵袋兼特攻隊長兼小間使いを任そうという話だ」
あの? わけ分からないんですけど。と言うか誰も参謀総長とかになりたいとは一言も言ってないんですが。
「なっ、なんだってー」
僕のその言葉に絵栗鼠は驚愕の表情。
ってそんな驚くほどのこと?
「いっ、嫌なのか? あたしの下で参謀総長務めることが?」
だから上目遣いで見るなーっ! ドギマギするだろうがーっ!
♪ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん ちゃんちゃかちゃんちゃんちゃんちゃんちゃん
そのBGMも流すなっ! メタルヒーローズッ!
それに目からピンク色の光線を出すんじゃないっ!