68 ねこや先生、謎の人と話すw
「うんうん。『チョコレートパフェ』は甘くて美味しい。あなたたち高校生も大好きでしょう。だけど、『チョコレートパフェ』だけ食べていたら大変よお」
「「「「「???」」」」」
「『チョコレートパフェ』だけ食べていたら、太るわ、ニキビだらけになるわ。これはもう大変っ!」
「「「「「!」」」」」
「そうならないには普通のご飯もキッチリ食べて、運動もしないと。すなわち高校生っ! きっちり勉学に励み、運動もしてこそ『チョコレートパフェ』である『恋バナ』も甘くて美味しい。それではレッツ勉学っ! 『公共』の授業スタートッ!」
「「「「「ええーっ」」」」」
「ノリが悪いよっ! レッツゴー『公共』っ! アーユーレィディー?」
「「「「「イエイッ!」」」」」
うーむ。鵜鷺先生もただ者じゃないですね。
◇◇◇
率直に言うと三時限目の「公共」。四時限目の「数学Ⅰ」。殆ど授業内容が頭に入って来なかった。
正直、鵜鷺先生は教えるのが上手。教室は何度も笑いの渦に包まれた。その度にエリスは僕をつつき「オキムネ。あれはどういう意味だ?」と聞いて来たが、あまりよく答えられなかった。ごめん。
四時限目は四十代くらいの男性の先生。あまり冗談も言わず、淡々と進めた。まあ、これが普通なんだろうけど。
さあ、四時限目終了のチャイムが鳴った。エリス。保健室行くぞ。ねこや先生とR-2号がどうなったか、気になって授業は上の空だったしなあ。
◇◇◇
「よし、行くぞっ! オキムネッ!」
何か気合が入ってるね。エリス。
「当然だ。相手はあの『にゃんこ先生』だぞ。どんな恐るべく『スリスリ技』を繰り出すか分からん。こっちも負けてられないのだっ!」
そっち? 自分の護衛用アンドロイドのR-2号のことは気にならないの?
「あ、そう言えばR-2号さんもいるんだったな」
不憫だ。R-2号。
◇◇◇
保健室の扉をノックすると「ハーイ」というねこや先生の明るい返事。
新田と剣汰瓜です。R-2号に会いに来ました。
「いーいタイミングで来たね。もうちょっとでDIYが終わるよ。部屋の中で待ってて」
ふう。少なくともねこや先生もR-2号も落ち着いているみたいだな。大騒動にはなってないみたいだ。
トントン
あ、また誰かが保健室のドアをノックしたぞ。誰だろう。騒動のタネにならなければいいけど。
「ねこやー。窓は直った?」
ホッ。鵜鷺先生だった。
「あーピョンちゃん。もうすぐ終わるから。剣汰瓜さんたちと部屋の中で待ってて」
見るとねこや先生は笑顔で新しい窓ガラスをはめ込もうとしている。隣でR-2号は淡々と言われるままに手伝っている。
結構いいコンビなのかなあ。
「まーあ、ねこや先生、精が出ますねえ」
「もっちろん、これで割れたガラスを危険物に出せば、証拠隠滅完了っ! あたしとアールニゴウさんの愛の障害はなくなる。校長先生にも怒られないっ!」
「はあはあ、『証拠隠滅』ですか?」
ねこや先生、さっきから誰と話してるんだ。ちょうど陰で見えないぞ。鵜鷺先生でもエリスでももちろん僕でもない。
あ、鵜鷺先生が顔面蒼白になっている。




