67 「恋バナ」は食べ物に例えると甘くて美味しい「チョコレートパフェ」w
「お昼? お昼って老谷のばあちゃんが『今日は特別だよ』と言って持たせてくれたこの箱のことか? オキムネ」
老谷のばあちゃんが作ってくれたのか。そう言えば老谷夫妻は今日はどうするって?
「R-1号さんとR-2号さんと一緒に少し家を片付けてからマンションに戻るって言ってたぞ」
そうか。R-1号の方もいたんだ。老谷のじいちゃん、変なこと教えてないだろうな。まあ、そっちは、ばあちゃんもいるから大丈夫か。
「しかし、明日からはあたしが自分で作らねばならんことになった。オキムネ。学校終わったら、至高の食材を探しにいくぞ」
何でそういうところだけ最初の妙な知識が残ってるんだよ。昨日、老谷のばあちゃんが普通の食事を作ってくれただろうが。
「何? あれは老谷のばあちゃんが先攻で『究極の食事』を出したのだろう。だから、明日はあたしが後攻で『至高の食事』を出さねばならん」
いい加減「料理対決」から離れろ。
「ぷっ、クスクス」
あ、鵜鷺先生が笑ってる。
「二人とも仲がいいのね。微笑ましい」
ううむ、傍からはそう見えるのか。僕はエリスの「暴走」を止めているだけなんだが。
「でも、そろそろ二時限も終わるからクラスに戻りましょ」
「そうだ。そうだっ! 学生は勉学に励めっ! 大人はデートをするのだっ!」
「ねこやは校長先生にバレる前に早く割れた窓直しなさい」
かくて僕とエリスは鵜鷺先生と一緒に職員室に行って、一緒にクラスに戻ることになった。
何人かの先生がエリスの頬に付いているガーゼを気にかけてくれたが、もともとこの治療のために保健室に行ったこととかすっかり忘れていたわ。
しかし、どうなるのかねえ。R-2号は。まあ、心配しても何も出来ないんだけど。
◇◇◇
そして、僕とエリス、それに鵜鷺先生の三人で教室に入るとだ。
「うおおおおおお」
「剣汰瓜さんに新田くん。おめでとうっ! 結婚おめでとうっ!」
「ちくしょう。うらやましいぜ。このリア充があ」
「ピョンちゃん先生っ! どうだった結婚式は?」
鵜鷺先生、僕とエリスに席に戻るよう促すと淡々とした表情で教壇に上がった。
そして満面の笑みで問いかける。
「みんなー、『恋バナ』は楽しかったかな?」
「「「「「はいっ!」」」」」
おお、いい返事だ。良い子の返事だ。前の質問がああでなければ爽やかなんだが。
鵜鷺先生、目を閉じ腕組をして、しきりと頷く。
「うんうん。『恋バナ』は楽しいよね。そう。食べ物に例えると甘くて美味しい『チョコレートパフェ』というところだよね」
へ? 鵜鷺先生、何の話してるの?




