58 これで絶句するなと言う方が無理w
「じゃあ絵栗鼠ちゃん。あたしがお手本を見せるから同じようにやってみて」
「おっ、おう」
ハイテンションのねこや先生に圧倒されながらも頷くエリス。
「まずはバックハグ。ガバッ」
「こっ、こうか?」
背中からR-2号に抱き着き、腹部の前で両手を組むねこや先生。それを見て僕に同じことをするエリス。ぬおお。
「いいよいいよ。絵栗鼠ちゃん。次行ってみようっ! 愛しい人の首に後ろから両手を回し、愛しい人の肩に顎を乗せる」
「こっ、こうか?」
ねこや先生が何でこんなことをするのかさっぱり分からないといった表情のR-2号。しかし、こっちは思春期真っただ中。いかな相手がエリスと言えど、女の子の顔がすぐそばにあるとなると動揺しますとも。
「いいねいいねえ。じゃあ次行ってみようっ! 次が本命だよ。ほっぺたを使ったスリスリが出来ないのであれば……」
「うむ」
「体全体を使ってスリスリすればいいのよっ!」
「おおっ、なるほどっ! さすがはねこや先生なのだ」
「じゃあいってみようっ! スリスリスリスリスリスリスリスリ」
「スリスリスリスリスリスリスリスリ」
ぬおおおっ、R-2号は相変わらず「何なのだ。これは?」という表情。
しかしっ! しかしっ! 僕はアンドロイドではなくて生身の人間なのだっ! しかも思春期真っただ中の男子高校生っ!
そして、エリスはケンタウリ人だが、銀色のボディーだが、しかも小さいが、胸の突起はきっちりある。
それをこすりつけられるとなるとだよ。何度も言うがこの作品はR-18ではないので、回りくどい言い方になるが、つまりだ、両足の付け根の真ん中、体の前方にあるものにガンガン血流が入って来るのだよ。
キンコーンカーンコーン カーンコーンキーンコーン
うわっ、一時限目終わっちまった。しかし、ねこや先生にとってはそんなことは一切関係ないらしい。
「スリスリスリスリスリスリスリスリ」
「スリスリスリスリスリスリスリスリ」
相変わらず続く体全体のこすりつけ。やばい。いやマジでやばいってよー。
◇◇◇
ガラッ
「ねこやー。もう一時限終わったよー。随分時間がかかってるみたいだけど、剣汰瓜さん、大丈夫なの?」
うわっ、担任の鵜鷺先生が保健室に入って来たっ! そりゃそうだよねえ。こんだけ時間がかかってれば。
「!」
目の当たりにした光景に絶句する鵜鷺先生。そりゃそうだよね。ねこや先生はR-2号の背中に体をこすりつけていて、エリスがそれ見て僕の背中に体をこすりつけている。
ちなみにR-2号がこの保健室に突入してきた時に割った窓ガラスはそのままで放置。
これで絶句するなと言う方が無理ですよね。
 




