54 メインヒロイン忘れられるw
「ハッ、ハローッ、ハワイユートゥディ。アイムファインサンキュー。アンドユー? じゃないじゃない。えーと。ハウドウユウドウッ、ハウドウユウドウッ。えーと。ミスターゴールデンヘアー」
先生、急に中一英語を話し始めてどうしたんですか?
「そりゃあこのカッコイイお兄さんとお話したいんだよ」
カッコイイお兄さんって、R-2号のことですか? 英語じゃなくても日本語で話せますよ。ただどういう解釈するか怪しいところがあるけど……
「えーっ、日本語通じるのーっ? もうっ、新田君たらあ、そういう大事なことは早く言ってくれないとー」
ぴこぴこぴこぴこ
先生、相変わらずハイテンションですね。でも、先生、R-2号は、日本語で話せることは話せるけど、言葉の解釈が相当怪しくて。
「だーいじょーぶ、大丈夫。まーかせて。これからは大人のじ・か・ん❤」
何ですか、それー。ここは学校なんですからね。
◇◇◇
「初めまして、カッコイイ金髪のお兄さん。私はこの学校の養護教諭猫屋新杏。二十五歳。水瓶座のA型。好きな色はパッション溢れるピンク。ただいま絶賛彼氏募集中です」
「……」
沈黙するR-2号。でもやがて、当惑しつつも口を開く。
「オキムネ。コノ女性ハ何ヲ話シテイルノダ?」
えーとね、R-2号のことが気になるみたい。親しくなりたいみたいで自己紹介しているんだ。
「あのーカッコイイ金髪のお兄さん。お名前を教えてもらえませんか? 彼女はいるんですかあ?」
「オキムネッ! 私ノ名前ハ何ダ? 『彼女』ッテ何ノコトダ?」
これだもの。結局、僕が通訳してやってるようなもんだよね。えーと、名前はR-2号というしかないんだろうなあ。「彼女」って「恋人」のことだよ。
「『恋人』? 私ハアンドロイドダゾッ! ソンナモノイルワケガナイ」
そうだねえ、でも、アンドロイドだから「彼女」がいるわけがないとも言えないしなあ。単に「彼女」はいないと言うしかないよ。
「エート。私ノ名前ハR-2号。『彼女』ハイナイ」
「えーっ、アールニゴウさんっていうんですかあ。素敵な名前ですね。それにっ! それにっ! 彼女いないんですかあっ! やったあっ!」
ぴこぴこぴこぴこ ぴこぴこぴこぴこ
大盛り上がりのねこや先生。うーん何だか、ねこや先生に聞かれたことを素直に答えたのは実はヤヴァかったかもしれない。そんな気がしてきた。
「先生ーっ、オキムネーッ、、R-2号さんっ!」
あっ、エリス。
「あたしはすっかり放置プレイ状態だが、さっき先生がつけた消毒液とやらで右のほっぺたが痛いのだっ! 痛いのだっ!」
ごめん。エリスのこと、すっかり忘れていたわ。




